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その2
あの後、すべてのことは、イレブンが処理をした。
浜崎は、病院に搬送され、健康を取り戻し、無事に家に戻った。真之介がいたあの家は、真之介とはなにも関係ない家だった。二条という名前で選び、いづなと真之介によって、妖術をかけられていた。その家の人たちは、イレブンの士によって妖術を解かれ、元の生活に戻っている。
二条真之介は、庭に倒れていた。そのまま二週間眠り続け、目覚めたときには、三年前、妹の夜子が亡くなってからのことをすべて忘れていた。
旭も、なにがあったのか、よく覚えていたなかった。
焔の名を叫んでいた。気づけば、意識を失って倒れた真之介と、小さな紫の光を宿したガラス玉だけがそこに残り、いづなの姿は消えていた。
真之介の手首の黒い痣もまた、消えていた。
旭の力なのか、いづなの力なのか、それは誰にもわからなかった。
(第九章「エピローグ」その3へ続く)