表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1st Mission 美しき魂  作者: 時幸空
第七章 笑顔の向こう
16/29

その2

「夜子が泣いていたよ」

 真之介の横で丸くなっていた白い小さな生き物が、むくりと顔をあげた。小さな頭部についた大きな耳をぷるんと震わせる。

「早く始末しろって催促してるのかな」

 真之介が滑らかな白い毛並みにそって、指を滑らせた。布団から抜けだし、ブラインドを開く。冷えた空気が素足を撫でる。ガラス窓の向こうでは、赤や茶、黄色に色づき始めた庭園が、朝陽を浴びて金色一色に姿を変える。

「いい朝だね、いづな。人狩りにはもってこいだ」

「嬉しそうですね、真之介殿」

「そりゃそうさ。ずっと探してたんだからな。まさか名前まで換えているとは思わなかったよ。夜子が死んで、水野が死んで、焦ったんだろうね。次は自分だって。ふふ。親に泣きついてるあいつの顔はちょっとみてみたかったな」

「それで?」

「放課後、学校で会おう。図書室に来てくれる? 彼は図書委員なんだ」

 真之介が振り返ったときには、小さな獣は姿を消していた。代わりに白いかっぽう着姿の早池が立っている。

「すばやいね、いづな」

「この格好をしているときは、早池とお呼びください、ぼっちゃま」

 いづなは、年齢不詳、性別不詳の顔で笑ってみせた。


(第七章「笑顔の向こう」その3へ続く)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ