バイオリン
掲載日:2026/08/11
ギギギ、ギィィィィと。最近、音が聞こえるようになった。
ストレスのせいだろうか。
私はとあるアパートの404号室、角部屋に住んでいる。
片側の部屋には、人が入っていないので、静かなもの___だったのだが。
何かがきしむような音。
周りの部屋の人に尋ねても、そんな音は聞こえないという。
やはり、気のせいだろうか。
それか、ドアが風で軋んでいただけなのかもしれない。
今日は早く寝ようかなと、私は思った。
今日も、ギシギシと、音が聞こえる。
もしかしたら、事故物件なのかな、その幽霊がでてるのかな___とか、下手なバイオリンのようだとか
、くだらないことを考えながら、私は目を閉じた。
どうやら、隣の部屋に人が越してきたらしい。
なんでもバイオリンをやっているそうだ。
「まだ下手ですが....迷惑かもしれません。遠慮なくいってくださいね」
「かまいませんよ。いずれうまくなります」
彼女は縄を引きずりながら、部屋に入っていった。
彼氏らしき男も一緒である。
「ほら、早く来て」
「ご、ごめんって...」
やけにおどおどしている男である。
今日も、ギィギィと音が聞こえる。
今日は一段と強く。
バイオリンの練習だろうか。
音が、重なる。
ギギギギギ、ギィ、ギギギィィィィ。




