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猫と奇跡の虐げられ子の話

作者: 山田 勝

 はあ~、面倒くさい。息を吸うのもめんどくせー、お魚が口に飛び込んで来ないかな。


 オイラは猫ちゃんだ。ボス猫だ。つまりとても偉いのだ。樽の上で仲間達を見守る。

 ボスだから一番高い位置にいられるのだ。


 集会を開いているとやってきた。大きな猫たちだ。



「うわ、猫ちゃん!猫ちゃんだ」

「マーシ、走ったら猫ちゃんたち逃げるわ」



「ミャー、ミャー」(騒がしいの来た)

「ニャー、ニャニャー」(逃げるぞ)


 仲間達は逃げ出したが、オイラは逃げないというか面倒くさい。


 それに。


「猫ちゃん!猫ちゃん!」


 オイラにとっちゃ大きな猫は子猫も同然。


 しばらくモフモフして、


「ナデナデ~」


 抱っこされて。


「猫ちゃん!可愛い」


 そうすれば飽きる。オイラはされるがままにする。それが処世術だ。


「マーシ、行くわよ」

「はい、お母様」


「猫ちゃん。マーシの相手してくれて有難うね。はい、お魚よ」


 時々、お魚をくれる。


「ウミャ」(頂くぜ)


「猫ちゃんバイバイ!またね」



 ふう。静かなところで頂くか。


 くわえて池の畔を歩いていたら。


 バチャン!


 蝶々に気を取られて落としてしまった。


「ウミャー、ミャーミャー!」


 悲しいぜ。雌猫に拒否された時と同じくらい悲しいぜ。


 すると、池の中からお魚を持った大きな猫が現れた。



「これ、トラよ。お前の落としたお魚はこのオリハルコンのお魚か?それとも普通のお魚か?」


「ウミャー」(そっち)


 前足で落としたお魚を指した。


「このオリハルコンのお魚は売ると1万匹以上のお魚と交換できるぞよ。それとも、この小さなお魚一尾か?」


「ウミャー、ミャー」(くどい。そっちだ)



 すると、ピカと輝いて大きな猫は言いやがった。


「正直猫よ。褒美にオリハルコンのお魚もあげよう。それにいつも子供になでられて感心だから守護聖獣の力を授けます」


「ウミュー」(お魚)


 言いたいことだけ言って空を飛んでいった。

 大きな猫、猫だけどよく分からない。



 今日は寒い。寝所に早く行こう。

 この街には猫用のシェルターがある。

 猫ギルドが作ってくれたらしい。


 樽を横にして藁とかおいてある。


「ニャー!ニャー!」

「ミャーン、ミャミャーン」


 仲間が騒がしいのでのぞいてみると。大きな猫が寝ていた。

 騒がしい子供だ。


 ブルブル震えてやがる。

 オイラは中に入る。


「猫ちゃん?ごめんなさい・・・家を追い出されたの。いさせて」


「ウミャー?」

 何だ。言葉が分かる。


「ウミャ、ミャーミャー」(おい、害はなさそうだ。暖め合おうぜ)


「ニャー」

「ミャー」


 その子を中心に丸くなった。猫はシェルターで丸くなるのだ。


「グスン、グスン」


 しかし、その子は泣いてばかりだ。うるさくてかなわない。


「猫ちゃん?」


 オイラは外に出た。


 この時間でも起きている奴はいる。


「ワン!ワン!ワオ~~ン」


 犬が遠吠えをしていた。


 こいつは昼間っから寝ている阿呆な犬だ。


「おい、犬、シェルターに大きな猫が来ているんだけど、知らねえか?」


「ワン!あの子は近所じゃ有名な虐げられ子だワン!親が新しくなって追い出されたみたいだワン!可哀想だワン!ご主人も気にかけていたワン!」



 家を教えてもらった。さあ、行くぞ。


「猫、俺、どうして夜眠れないんだろう。遠吠えしたらご主人に怒られるよ」


「阿呆、昼間、道で横になって寝ているからだ!」

「あ、そうか」

 全く、犬って奴は。


 その子に家に行った。

 親らしき奴が大きないびきを立てて寝ていた。隣に雌がいる。

 大きな猫は一年中発情をしているから困ったものだ。


 オイラはグーグー寝ている男をジィと見つめた。


「ウウ、何だ、大きな猫がーーーー」


 寝言を言っている。オイラは化け猫になったらしい。


 家の中で臭いおしっこをしたり。爪とぎもしたぜ。


 それからランプの油をなめたりしていたら、雌が叫びやがった。

 起きていたのか?


「キャアーーーー、あんた、化け猫よーーー!」


 何だ。オイラの陰が大きくなっている。

 騒がしいから。


「ウミャー、ミャン!ミャン!」(ニャンニャンビーム!)


 目から光線を出して気絶させた。


 そして、シャルターに戻り。

 その子に寄り添って寝た・・・







 ☆次の日。


「ウミャー」(ついてこい)

「猫ちゃん」


 大きな子猫を池までつれてきた。

 光輝く食べられないお魚をやる。


「ミャン」(ほら、やる)

「これは・・・」



 すぐに大人に届け出てなんやら騒がしくなった。


「奇跡だ!」

「女神様が顕現されたのね!」


 司祭が来て、奇跡の少女としてあの大きな子猫は・・・

 どっか連れて行かれた。



「猫ちゃん、有難う・・・グスン」

「ウミャー」(拾い食いするなよ)


「さあ、リリーちゃん行こう。親切な里親が見つかったよ」

「お義父さんは・・・」

「ああ、あれは頭がおかしくなって・・・救護院に閉じ込められるよ」



「おい、化け猫が出たんだ!本当だよーーー!」


 叫ぶ義父親を尻目に大きな子猫は立派な馬車に乗せられた。


「ウミャー、ミャン」(またな)


 そして、オイラは・・・


「うわ。猫ちゃんだ!」



 今日もなでられる毎日だ。



 ・・・この街に女神教の祝日に奇跡が起きたとされるが、本当の奇跡は誰にでもなでられるトラの存在かもしれない。

 奇跡は気がつかないものだ。


最後までお読み頂き有難うございました。

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