パーティー
2組に全員がそろったところで、皆で円になって座り、真ん中に大量のお菓子とジュースを置いて、
パーティーをした。久しぶりに食べる系統のお菓子やジュース、冷水ではあるが、ちゃんとシャンプーと石鹼でお風呂に入れたこと、そしておしゃれができたことで、皆心に余裕ができたのか、楽しそうにおしゃべりしたり、大きな声で笑ったりする光景が、教室に広がった。こんな風に楽しい時間を過ごしたのはいったいいつ以来だろうか。あの日以来だな。
「いやマジでありがとう。お前たちがショッピングモールに向かったときは仕方ないとはいえ正直自殺
しに行くようなものだと思ってたけど、この食べ物とか服とかがあるっていうことは凄くうれしくて、
幸せだと今感じてる。これからは俺たちもついていくから遠慮なく言ってくれ。」
そう言った奏多は、ゾンビの返り血で赤黒かった髪が、元の髪色に戻っており、ぐしゃぐしゃだった髪型も、かっこよく整えられている。
「わかった。頼りにしてるからね。」と返事すると、一香達が「男子だけじゃなくて私たちもゾンビと戦えるからね。てかもう今日から積極的に戦うことにした。」と言ったら、ほかにも何名かの人が一緒に
ゾンビと戦いたいと志願してきた。多分その理由は絶対に危険なショッピングモールに行った私たちがこれほどの戦果を抱えてきたことが、皆の心を動かしたのだろう。昨日までは近くのコンビニにすらついてきてくれたのは優君と奏多の二人だけだったのに、今は19名が立候補してきた。
「うれしいけど、その話はまた明日やろう。とりあえず今日は思いっきりパーティーを楽しもう。」
と私が言うと、皆元の場所に戻り、紙コップにジュースをなみなみと注いだ。
「じゃあ、皆コップをもって~」というと、皆コップを持った手を掲げてくれた。
「乾杯!」という私の合図で、皆ごくごくとジュースを飲み、目の前のチョコレートやポテトチップスをおいしそうに食べた。
そのパーティーは就寝時間を過ぎても続いたが、だんだん皆疲れてそのまま眠ってしまった。見張りも
いなかったけど、3年の教室を全部制圧してくれたおかげで、無事に次の朝を迎えることができた。