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ヤタノカラス  作者: えるらんでぃす
13/13

中等部はチュートリアルから・続/装備編


◇◆◇◆◇◆


チャイムが鳴り少しすると、三条さんが鷹揚に入ってきて講壇につく。ほんとうに教鞭のよく似合う人だな。


「おはよう諸君。お決まりの出欠確認は無しだ。君らにはいちいち必要なかろう。本日は装備についてだが。装備と深く関連しているクラスからおさらいをする。知ってのとおり、基本クラスは前衛が【アタッカー】【スカウト】【ガード】、中衛が【シューター】【ドライバー】、後衛は【メカニック】【ウィザード】【オペレーター】である。【シューター】は若干前衛寄り。【ガード】と【オペレーター】の二つは中衛よりで、それぞれ特技や任務によって立ち位置は微妙に変化する。アタッカーは文字通り最前線で戦闘をこなす。スカウトも名の通り先行偵察を主としある意味もっとも危険な場所へ真っ先に向かう事になる。シューターは前衛のサポート及び避難経路の確保。ドライバーはチームの車両の運転又はドローン等の操作。メカニックはチームに関わる全てのハードウェアの管理開発。ウィザードはチーム関わる全てのソフトウェアの管理開発が主となる。その後ランク上昇に伴い、上位クラスである複合上位職や特殊上位職、特化上位職となるが、このクラスに個人昇格できなければAランクには上がれない。また、上位クラスは非常に多く種類も多岐にわたる。ちなみに私はAランク。複合上位職アルケミストで現役の鴉でもある。ここまでで質問は?」


「はい!三条先生は神器保持者は神器保持者と聞いていますが、どんな神器か教えてください」

元気よく答える彼女は先日自分が模擬戦で三条に尋ねられた時に答えたうちの一人で『南部 伽奈』。彼女は後衛のメカニック志望ではあるが先日の模擬戦で三条の猛攻をいくつか捌くことができた女子だ。


「それは先ほどの質問と寒冷性が低いが、まあよい。のちほど少しだけ見せるのでその時に少し説明しよう」

三条がそう言った瞬間、物凄い歓声が全員から上がり、ちょっとビックリした。そんなに凄いことなんだな。

南部なんてガッツポーズをとっていた。


「さて、装備についての話に戻る。主に装備関係で密接に関係してくるクラスはメカニックとウィザードではあるが、それを使用する点においてチームの全員が知識として身につけておかねばならん。各専属の武器や装置。羽織の下に着用する装具、各種装置、車両やドローン、それらのハード面やシステム等のソフト面の制作と整備。と仕事量は非常に多い。非常時以外はこれらの作業の補助も全員で分担しなければならん。そこで、共有の基礎知識はクラスに関係なく最低限必要となる」


三条は皆を見回し、質問は受け付けず話を進める。


「まずは武器について。知っての通り、我々が使用する武器である神器又は疑似神器は使用者の意思によって様々な形を形成する。が、共に形成が完了するまでには日数がかかる。神器については既に形が成された物を継承するこで使用可能になるものもある。が、大抵は生まれ変わり、その場合はマナの量もかなり必要になる。この辺りは神器に認めはられなければ始まらず。Aクラスになった時に資格を得て、未使用神器の選定の儀を受けることができる。神器は【三柱】【四聖】【五王】【八部】【十花】と30ほどが文献等の情報も含めて確認されているが、これらの神器もいまだ未発見の物が複数ある。それ以外にも存在するのではと言われている。が、これも不確かだ。そして、未だ持ち主を認めていない神器も数多くある。また、Aランクの時点で認められなくともSに昇格した後に認められるケースもあり、そこも良く解ってはいない。なので、主にBランク以上の鴉が所持する武器は疑似神器となるわけだが、性能は神器とは雲泥の差があるのは言うまでもない。そして、疑似神器の形成には一週間ほど必要になる。疑似神器の構成には疑似神器核と希少金属の磁念石と呼ばれるもの、そして制御盤。この三つが疑似神器となり自分たちのみを守る武器となる。神器核が使用者からマナを吸収する機器、磁念石は柄や持ち手の部分と共にマナを刃や打突部等に変える機械、制御盤はその出力やマナの変換効率をあげる装置だ。神器核や磁念石の生成と整備をメカニックが、そして、制御盤の管理や調整にウィザードが必要になる訳だ。こういった分担をすることで効率を良くし生存率も上げ、成果につなげる。そのためのチームである。ここまでで質問は?」


ちょっとした疑問をもった俺だったけど、誰も質問するものはなく、皆が真摯に聞きいっている空気に負けて質問するこができなかった。


「よろしい。では、次に防具。先ほど説明したようにメインは羽織となる。ただ、これは斬耐性がそれなりにあるのだが、衝撃に対してはそれほど期待できない。ので、各チームが羽織の下に重ね装備や羽織自体を部分的に強化改良したりしている。それぞれ独自の考案で自身チームの総合的な防御力アップにつなげている。中には全体装備の例として鴉全体に情報提供しているところもある。武器や防具とは別に補助装備として、閃光手榴弾や音響手榴弾。携行型結界装置等の様々な装備も多く存在する。最近では、ドローンを使った戦術や調査等も利用するチームも増えている。開発や運用にもそtれなりに資金は必要なので、それぞれ悩み所ではあるみたいだがな。また、そういったドローンの操作もドライバーが活躍することもあり、クラス特有の能力を生かした戦術も進化考案されていて、最近では企業と共に共同開発をしているチームもあり、闇に対する協力関係が民間レベルでも行われているのはとても良い傾向にあると言える」


三条さんがいったん言葉を止め、皆を見回してから話を進める。そういえば、親元がそういった企業の経営者だったりするっていう話も前にしていたな。


「そういった、後方支援としてメカニックやウィザードの存在は大きい。ウィザードの中には独自でОSを構築して飛躍的に性能を上げている者もいる。ま、私のことだがな」


この人はぁ…。俺は三条さんへの認識が少しずつ固まっていくのを強く感じている気がする。たぶん、間違っちゃいないだろう。


「AランクやSランクに上がっていくチームはそういった要素が高レベルで纏まり相乗効果を大いに発揮していくことが絶対条件にあると思う。そして、願わくば君たちの中からそういった高みに上がっていく者が居る事を期待する。その期待も込めて、これから私が所持する神器十花【藤凪】を皆に紹介しよう。では、私は神器を取りに戻る。皆は訓練棟へ移動して待機」


俺たちは訓練棟へ移動するのだが、皆一様に足早で進んでいく。最後尾を歩いていると、皆の喜びが足元から伝わってくるのがよく解る。そんなに凄いことなのか実感の湧かない俺は隣を歩く優弥につぶやく。


「神器を見るのってそんなに凄いのか?」

「凄いもなにも、鴉を目指すもので古代神器を目にする機会なんて殆ど無いから。僕もそうだけど、初めて本物を直で見る人が殆どじゃないかな。疑似神器と違って形状は様々で中には芸術の域にある者も少なくないし、その力は凄まじいとも言うしね、もう伝説の存在さ。皆結構興奮してると思うよ」

「優弥は興奮しているようには見えないけど?」

「そんなことないよ!さっきから足が震えてるから。一真くんはどうなの?」

「俺は・・・わからないな」

「そうか~。まだ、日が浅いってのもあるのかもね」


訓練棟へ着くと、皆整列して待機してはいるが、色々と話し声は聞こえてくる。神器は凄まじい力を発揮する、代償として大量のマナも必要とするので扱える者自体が極端に少ない、扱う者によって形状が変わるものもある、神器の管理は大変、神器も瘴気の影響を受ける事もあるらしい、等々だ。しかも、神器には意思があり、認めた人間にしか扱う事ができない。実際に声を聴いた俺が言うのもなんだが、それはなんとなく分かる気がする。そうすると榊さんは神器に認められる凄い人なんだな。でも…、【雪椿】だったか、少し悲し気な感じだったな。あ、これは誰にも話さないでおこう。

そうこうしてると、三条さんがとても長い木で作られたケースを持って訓練棟に入ってきた。それと同時に歓声が起きる。その木製のケースに凝った意匠などはなく、家紋が一つだけ彫られていた。


「さて。皆、待たせたな」

三条さんがそのケースを床に置き留め金をはずし蓋を開け、中から純白の袋に包また物を取り出す。


「これが、私の持つ神器『藤霞』だ」

瞬間、大歓声が訓練棟を包み込んだ。そして、その純白の袋から出てきたのは薙刀だった。

柄の部分は所の意匠が施されてそれが微妙に交じり合っていて、あれは花かな?とても上品で綺麗だ。刃の部分には鞘が被せられているけど、きっと波紋もきれいなんだろうな。そして、鍔の所からは紫色の三本の組紐が垂れていて、紐の先端にそれぞれ鈴が一つずつ付いている。三条さんが【藤霞】の石突をドンと一突きすると、鈴が美しい音色を棟の隅々まで響かせる。紐はつけているが、見た目は普通に画像とかで見た薙刀と特段変わった感じはしなかった。『雪椿』の時も思ったけど、知らない人が見れば普通に美術品と言われても、これが神器なのか判別は付けられないんじゃないかと思う。


「この『藤霞』に誰か触れてみろ」

その一言に、最前列にいた南部さんが即座に三条の前に出る。彼女はゴクリと一息唾を飲むと『藤霞』に手を伸ばす。触れようとして手が近づくと『藤霞』が小刻みに震える。手が近づくにつれ、震えは強い振動に変わり今にも触れようとした瞬間「キーン!」と金属が弾ける大きな音が『藤霞』が発する。女性はその音に驚き身じろぎをする。


「大丈夫か?」

三条が彼女を気遣う。

「これが神器の拒否反応だ。神器が認めた者、又は持ち主が許可した者のみが触れることを許される。神器には意思があり、会話もできる。なんとなく言っていることが分かる程度のものから、ハッキリと対話で意思疎通できるものもいるが私は前者だ。この神器の解明が私の研究でもある。神器は非常に自尊心が高い。認められる為の絶対条件もいくつかは分かっているのだが、いまだに判明していないことは多い。神器にはそれぞれ特徴があり、この形状も主に依存している。神器の認められ方はハッキリと基準は解っていないが、以前の形状のままのパターンと新しい主に依存して形状が変わるパターンの2種類ある。私の『藤霞』は後者で、この形になるまでに半年かかった。神器はまだまだ解明されていな事も多く研究者を常に悩ませている。能力や解放などは秘匿であるため話はできないが、今後そういった機会も訪れるだろう。ま、百聞は一見にしかずということだな」


チリーン


三条さんがその場で『藤霞』を袋にしまおうとした直後、組紐の先端の鈴が一つ鳴った。『藤霞』を持つ手は動いていなかった。


チリリリリンリィーン


今度は最初の鈴の音に答えるように、残り二つの鈴も重ねて鳴る。


「ん!どうした?藤霞??」


三条さんが鈴たちを優しく撫でながら『藤霞』に問いかけると。それに答えるよう、何かを伝えたいのか鈴の音の三重奏が始まる。それはとても幻想的で音が鳴り響く事にここの空間が浄化されているように感じる。


「珍しいな。とても喜んでいるのか?」


三条さんがそう口にした。次の瞬間、俺の視界が一瞬真っ白になり目の前には『藤霞』だけが見える


そして…


 (( そこの人 そこの人 ))


その言葉がおれの頭の中に直接聞こえる。そして鈴の音も鳴りやまない。



…次回『中等部はチュートリアルから・続々/エネミー編』

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