第四会場11~15
【10-4-11.風が通る道】
貧しさから奉公に出された少年アルミンの話。
けれど本当に、貧しいだけでそうなったのかどうか。
親は本人に伝えることをはばかったのか、それとも本人にはいう必要がないと思ったのか。
この辺り、ちょっと分かりませんが、かなりしんどい出だしです。
おしんでも、本人には伝えてたのにな……。
何も知らない10歳の子どもならば、新しいところに連れてこられたとちょっとウキウキしてしまうのは分からないでもないですよね。そこがまた辛い。
読んでいる方は、最初の場面で確実に身売りだろうと分かっているんですから。
希望すら抱いていたアルミンが、どれだけこの後どん底に突き落とされるのだろうと思うと、胸が痛みます。
お屋敷の側では新しい奉公人の体でアルミンを受け入れているわけだから、なおさらですよ。
タイトルにある「主人である美しい少年・エーミールの、友情の記録」という言葉を信じるならば、彼を人間として扱ってくれそうなエーミールを待つしかない。早く、出てきてどうにかアルミンの心を救って欲しい。そんな気持ちになります。
本文もとても読みやすくて良いんですけど、やっぱり字下げがちょっと気になりました。
「」内での改行も、今のところ文章がそれぞれ短いので良いのですが、長文が必要になってくれば見にくくしまうのではないかと思います。
この辺は、本人の自由といえば自由なのですが、誰かからツッコまれる前になるべく標準的な表記に直していくのをおすすめします。評価の基準が適正な表記である読者は一定数いますから、そういった、物語の本筋とは違うところでツッコまれるのを避けるためです。
拘りもあると思いますから、あくまで、そういう意見もあると参考程度で結構です。
一旦どん底まで落としてから上げていくような感じになるのかな、とは思いますが、そうなるまではしんどい展開が続きそうです。
アルミンに、幸がありますように祈っています。
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【10-4-12.レディ・ヴィランのたわわごと】
面白かった~!
けど、もう少し、あと何行かで丁度良くなるのに、ここで切ってしまうんですか? 勿体ない~!
それぞれのキャラが生き生きしてて良いですね。
地球は多分ピンチなんですけど、あんまり心配しなくても良さそうというか、どうにかなりそうっていうか、そういう謎の安心感がありました。
言うなれば、戦隊ものみたいな、あれ、これ解決したら元に戻るヤツか、と何故か認識してしまっているあの感覚に似ているような。
レディ・ヴィランも良いんですけど、伊土と一緒にいるカエル、良い味出してます。伊土よりめっちゃ喋ってるし、なんなら自分が主役だと思ってるくさくて好きです。武器に変形しても喋るとことか、たまりませんね。良いです。とても良いです。
既に大量のファンを抱えている、レディ・ヴィラン……。さぞ美しいんでしょうね……。
ドロンジョ様みたいな感じなのかな……。
逃げずに野次馬してしまう日本人は、妙にリアリティあるんですけど。多分そういうのが出たら喜んでしまうに違いないですよね。身の危険を感じたら逃げるけど、ゴジラなんか、遠くで見えるだけだったらずっと見てそう。
全体的な雰囲気がとても好みでした。
上手いし~。
だからこそ、あとちょっとで丁度良いのに尻切れトンボなのが気になりますね。
調整してこうなったのか、うっかり切ってしまったのか。
う~ん。
続きがあるなら読みたいです。楽しいひとときをありがとうございました。
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【10-4-13.間取聖太郎と奇怪な日常。あと魔導書】
あらすじが目次だったヤツですね……。
こちらはこちらで、ある意味問題作といいますか、わざとなんだろうなとは思うんですけど、やっぱり企画趣旨を考えるとちょっとどうかなと思ってしまう人は少なからずいたのではと思いました。
書き出しを出し合う企画なのですが、4000字の書き出しとして「第一話「一頁目」」と「第二話「オレンジジュースの透塀」が掲載されているので、ちょっと厳密には違うよな、という話になってきます。
それの何が、ということになると、まぁ、趣旨をご覧なさいよということに繋がっては来るんですけど、そうですね、書き出しの4000字(つまり、第1話に相当する4000字)じゃないですから、気になりますよね、という話です。
結局あらすじ部分に第1話ないし第0話を持ってくる作品があったので、なるほどと思わざるを得ませんけど、この辺り、評価の分かれ目ではないかと思っています。
で、そんなのはさておき本編ですが、とんでもないものをまた出してきましたね、という内容。
魔導書が、意思を持って自分で動くとか。魔法生物???
これには驚かされました。
本が本を読むとか、飲食するとか、色々とツッコミが止まらないんですけど、主人公・間取の飄々とした語りでなんか全部吹っ飛んでしまうんですよね。
オレンジジュースのところなんか、何で水差しまでわけわからないことになってんのと。
書かれてはいないですけど、間取自身が「豊潤な魔力がある」ことが原因で、普段利用する色んなものが魔法生物化してるってこと、あり得そうですよね。
間取本人は全然気が付いてないけど、実は周囲にやたら魔力を振りまいていたら、もしかして、ですけど。
面白かったです。
色々冒頭に書きましたけど、面白かったです。
少なくとも、趣旨云々抜きで、存分に楽しませていただきました。
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【10-4-14.酒と肴とあれやこれ。】
雑学を沢山ちりばめた、短編、かな……。
多分日本、多分ちょっと昔。
これという名称が出てこなかったんですけど、黄櫨染が「この国でただ一人だけが使うことを許される、特別な色」とあったので、日本かな、と。
螺鈿とか、二藍、浅葱、なんかで、雅な感じが出ているし、どっかの時代のお貴族様なのかな……? その辺がぼんやりしていて、ちょっとわかりにくかったです。
何かしら、決定的な言葉があれば画像を結びやすいんですけど、やっぱりそれなりの言葉がない限り、憶測でしかないので、曇りガラスの向こう側を見ているような感じになってしまうんですよね。
その辺り、明示して欲しかったなぁと思いました。
物語は本当に単に酒と嗜好品、杯についてやんややんや語っている感じでしたので、大きな波があるでもなく、淡々とした印象でした。
間違いなく文章力は高いし、見せ方も知っておられるような感じでしたが、ここに刺さる人って一握りだよなぁと思いながら読み進めました。
なんというか、普段読まない最たるものでしたが、楽しませていただきました。
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【10-4-15.異世界トリックスターの苦悩】
設定がちょっと極端で、どちらかというとラノベより少年漫画向けのシナリオのような感じでした。
現代日本だと捕まって直ぐに留置所だと思うんですが、独房は少ないみたいですし、第一日本には終身刑がないので、ナンダカナーになってしまうんですね。多分、これが漫画ならそこまでツッコまないかな(媒体によって許容範囲は変わってくるので)と思いました。
空き巣に入るべく生まれてきた秋洲節斗というネーミングも分かりやすくて良いですし、絶望からの新たな需要、そして異世界という流れも良いと思いました。
こういう軽い感じだったら、このくらいの展開でも良いのかな、というくらいサクサクと話が進みます。全体的にシリアス感がないので、読んでいてストレスもないのは良いですね。
これからどんな風に空き巣の能力が試されていくのか、何でわざわざ異世界から……その世界には盗みの上手いヤツはいないのかとか、色々と明かされていくのだと思います。
今後の展開が楽しみな作品だと思いました。




