第四会場6~10
【10-4-6.恋人たちの転生無双~異世界でもお幸せに~】
BLでした。
タイトルだけではちょっと分からなかったんでアレですけど、そっちか~。そして、異世界転生。
なるほどね~。これは考えも及びませんでした。
異世界でBLするの???
どちらかが女性になって転生してたりします?
世界観によりますけど、場合によっては同性愛が禁忌っぽい設定もあるじゃないですか。宗教的に。そういうところ含めて、どのように展開していくのか、この時点ではちょっと分からないので、興味はあります。
文章は読みやすいんですけど、地の文がぎっしりなのと、冒頭の一字下げがないので、ちょっと読みづらさがあるのが勿体ないですね。一字下げてるところと下げてないところがあるのはわざとなのかなとか、「四阿」(難読漢字)とか、もう少し読者に寄り添っていただけるとありがたかったです。
読めない、読みづらいというのは、それだけで続きを読むのか判断する材料にされてしまうのです。いくら面白くても、そこで判断されたら嫌だな、ということで、少しだけ気にかけていただけると幸いです。
エピソードは丹念で、無理のない進行になっているのは好感が持てます。
唐突さが少し緩和されるだけでも、説得力は増すと思います。
今後どうなっていくのか、この時点では判別が付かないのでアレですけれど、タイトルからして多分ハッピーエンドだと思いますので、安心して読めるのは良いですね。
どうなっていくのか、期待しています。
--------------------
【10-4-7.バカは死んでも治らない! ~死ねない俺と、死んだあいつ。そして、死ねるお前~】
死に対して異常な興奮を持ってしまったラブリアの変態さ加減が何とも……。
この性格、見習いたいくらい前向きで良いですね。
これがもし、「また死ねなかった……」的なヤツだったら、このテーマはしんどすぎますから。面白いところでバランス取ってきたなと感心しました。
対してジーベンは、目的のために死なない体を酷使している感じ。
復活の仕方も違いますよね。ラブリアは綺麗な状態で、ジーベンは傷跡が残った状態で復活。
この対比も良いですね。
ちょっと画面が全体的に血なまぐさいのですが、これは結構面白くなりそうな予感がします。
それぞれ違う目的を持っていて、でも「死なない」という共通点がある。かといって、相手の気持ちが分かるかどうかは別。更に、別に仲間というわけでもない。
「この言霊をかけてくれたあいつの仇を取るまで」ということは、ジーベンはその言霊を誰かに貰ったわけですよね。この裏事情も、ジーベンが無茶をする原因になっているはずなので、そこも気になります。
そして勿論、ラブリアがどうしてこんな変態になってしまったのかも。
とても期待が出来そうなお話でした。
面白かったです。
--------------------
【10-4-8.赤錆の雨】
純文学的なしっとりとした作品。
鬱々とした日々が、「赤錆の雨」というタイトルをしっかり反映しているように思えました。
特に何が起こるでもない、いわゆる日常的な風景や心情を綴るのは、かなりの技量が必要です。
主人公の閉塞感が重い塊のようになって、物語の進行すら遅くしているのではないかと思える程に、じっくりじっくりと語っています。
ライトノベルやライト文芸にはくくれない作品だなと思いました。
それもあって、読んで全然面白くないと思う層も一定数いると思います。
しかし、それはそれとして、対象としている相手が違うわけですから、問題はないでしょう。
この内容なので、やはり字下げはきちんとしていただきたかったかな。
内容が重いのと、字がびっしりなので、その方が読みやすくなったのではないかと思いました。
大変細かくて恐縮ですが、やはり人目に出すものですし、そんなところでツッコまれたら嫌だなというところは先に対応しておくのが良いのでは、という老婆心です。
最後の最後、鍵となる人物が現れましたが、この先、どうなるのか見当も付きません。
彼女の人生は、何色かに彩られていくのでしょうか。
気になります。続きを期待したいです。
--------------------
【10-4-9.アダルティ・チルドレン】
異世界へ行きたいというわくわく感と、後半の逃避行。
その対比によって、後半のスピード感が増しているように思いました。
苔の生えた扉から漏れる光の先にあったのがこの世界では……、結構しんどいですよね。
明らかにこの世界が異常なことを入り口で教えてくれます。
女性の死体、仮面の男。そこからの攻防、そして、初めて誰かを刺した感触。
この、息もつかせぬ一連の流れは素晴らしいと思いました。引き込まれます。
これ、面白いのは、男を刺したアルマではなく、ルイの方が成長しちゃうんですね。
「嘘や裏切り、罪悪感を抱くと」とあらすじにあるので、老婆が言ったように嘘だけが成長を促すわけではない。
あの咄嗟の行動の時、「ナイフは、アルマよりもルイの方が近い」のに、ルイは動かなかった。
これが原因でしょうか。つまりは、ルイはアルマにやらせようと思った? 自分が相手を刺すのをためらったから? 自分が手を下すより、アルマがやってくれたならと、どこかで思ってしまったから?
これは気になる。
話の流れも、語りも、どこか完成されたような、隙のない作りになっているように思えました。
面白い……!
この後、大人陣営と子ども陣営がどうのとかあるんでしたっけ?
どのような社会構造になっているのか、気になりますね。
子ども陣営にしたって、大人の恩恵を受けなければ生きていけないだろうに。どういうからくりを用意しているんだろう……。
期待して2話目を待ちたいと思います。
--------------------
【10-4-10.青を飲み、死に向かう僕たちは、あの日観た映画に思いを馳せる。】
自分の命を絶つための薬。
設定として面白いなとは思いましたが、現実には絶対に存在してはならないし、存在すべきではない薬ですよね。もし、死にたくなる程酷く傷ついてしまったなら、簡単に飲んでしまうかも知れない。短絡的な感情で手にして、それを手放せば、逆にそれをどうにかして入手した何者かが自分を殺すかも知れない、そういう薬です。
創作の中だからこそ許される、とても恐ろしく、美しい薬なのだと思います。
それを、違法と知りながら処方する女医。
彼女もまた、死に囚われた一人なのだろうと思いました。そうでなければ喜々として薬を渡したりしない。
死というものはとてもナイーブでデリケートな問題なんですよね。宗教的に死を選ぶことを許されないとか、そもそも人間の尊厳とは、とか、様々な要因があって、一筋縄ではいかないんですね。どこからが命でどこからは違うのか、これは中絶に関してですけど、そういうのもありますし、安楽死に関しては特に、殺してくれと本人が言って、それで賛同した医師が依頼殺人で逮捕されるわけですから、なかなかに難しい、そして人間にとっての永遠のテーマなのだろうと思います。
流がどのようなつもりでその薬を適正年齢前に入手したのか、女医がそれを適当だと判断して処方したのは何故か。この辺りがまだ見えていないので何とも判断つきませんが、何かしらきっかけがあったのでしょうか。
そして名の知らぬ少女もまた、薬を持っている。彼女は一体何を考えて薬の交換を持ちかけたのか。
テーマが重い割に、主人公の感情に極端な上下がないのも、多分演出なのだと思いますが、作品に合っていると思いました。
思春期特有のふわふわとした感覚とでもいうのでしょうか。本当に彼は、自分がとんでもないものを手にした実感があるのだろうかとさえ思ってしまう程、現実味が薄いといいますか、そんな感じがしました。
果たして彼らは、薬を使わずにいられるのか。
一体どのように話を紡いでいくのか、続きを待ちたいと思います。




