第四会場1~5
【10-4-1.Killing Body】
映画の冒頭を見ているような、とても不気味な書き出しでした。
死因を特定できない死体という、何とも不可思議な死体を解剖する――「生きている人間を解剖しているかのような感覚」というのが一番、ゾッときました。
下手なホラーより、こういうのが怖いんですよ。
言葉選び、不気味さ、不可解さ。バランスがとても良くて、一般書籍を読んでいるのとさほど変わらない……プロの犯行ですね。この小説は、プロの犯行ですね!!
怖いのに次から次へと読めてしまう。本当に、なんというか。知りたくはない、でも知りたい、というせめぎ合いが起きてしまうくらい、読めてしまうんです。怖いですよね……。
描写がとにかく丁寧です。見習いたい。
「キリングボディ」とは何者なのか。
そもそも彼女は「キリングボディ」に殺されたのか。
「キリングボディ」の目的とは何か。
犠牲者には共通点があるのか……?
この短い間に、疑問がどんどん湧いてきます。
知りたくないけど知りたい……。一体、「キリングボディ」とは、なんなんですか……?
続きをください……!
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【10-4-2.カルト・スクランブル】
オカルト小説家にとんでもないことを提案してくる、不気味な元担当……。
心配しているのか、面白がっているのか。その両方なのか。
知らないうちに変なことに巻き込まれていく白井。
これは上手いですね……。
冒頭からすっかり楽しませていただきました。
とにかく、キャラが良いです。元担当の明津の、あんまり近寄っちゃいけないオーラとか。奈良坂さんの一歩引いて遠慮がちな様子とか。
こういうのをサラッと書けちゃう実力者なんですよ、きっと。
衝撃的な最後のシーン。勢いが生きていて、そのまま現場検証やっちゃいそうです。
その前に消防と警察ー! 早く呼んでー!
面白かったですねぇ。筋書きがもう面白いって訴えてましたけど、期待を裏切らず面白かったです。
「実際ぼくは怪奇現象というものを信じてるわけではなかった。あったら面白い、という考えのもとにこういったフィクションを書いてきた」と白井が本音を漏らすシーンには思わずニヤリとしてしまいました。
本当はそれでいいのにねぇ。余計なことを持ちかけるから、こういうことになるんですよ、明津さん……。
果たして、怪奇現象はあるのでしょうか。
白井は新作を書き上げることが出来るのでしょうか。
こちらも、期待して待ちたいと思います。
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【10-4-3.残念ながら原稿は命より重いです。】
最高です……!
他に言葉が要らないくらい最高でした。
編河の非人道的編集魂とか、ヤバい。
「月刊少年ヴァンプ」が最後「週刊」になっていたり、編河が途中で「編集長」に昇進してるところが気にならないくらいヤバい。(誤字ですよね)
誘拐犯とのやりとりがもう、面白くて面白くて、笑い転げながら読みました。
ノンストレス~!
こういうのが挟まるからたまりませんね。素晴らしい。
面白いから良いんですけど、この場合、誘拐犯に頼むのは「誤字脱字ないか等確認」じゃなくて、「ベタの塗り残しの確認」の方がしっくりきたかな。台詞の部分は先にネームが編集部に行ってそうだけど、どうなんでしょう。昔は写植って言って、台詞部分をシールみたいなのに印刷して、それをくリ抜いて貼ってたんですよ。編集さんの仕事だったようです。今はアナログ原稿もデジタル化して、データ上で写植作業を行うらしいので、(参考:プロのマンガ制作現場が実践する「もっとも効率的なマンガ原稿の制作手順」https://ichi-up.net/2019/52)誤字脱字~とかはそこでチェックするものではないように思います。
まぁ、気にしなくても全然構わない箇所だとは思うんですけど、ベタはデジタルでもアナログでも塗り残しやらかすこと多いので。
あとは、人気漫画家で締め切り当日なら、アシスタントさん雇ってそうなんですけど、彼は雇ってないのかな、とか。月間一本だし、木下の人間性的に雇えていたのかどうかも微妙ですが、こんだけ締め切りギリギリだと、編集さんの方で、アシスタントさん入れた方が良いと進言してると思うんですよね。この辺は、この内容なので誤差の範囲だとは思いますけど。
本当にね、笑えるのが一つ挟まるとそれだけで心がホッとします。
存分に楽しませていただきました。
それでもって、あらすじの「人違いで木下を誘拐してしまった犯人を巻き込んで。」のところが非常に気になるので、ここもいずれ回収されることを願ってます。
面白かったです!
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【10-4-4.ターミナル・ヴェロシティ】
ドッペルゲンガーが物理的に存在している世界。なるほど~、これは設定結構凝ってますよね。
ドッペルゲンガーは見たら死ぬヤツですけど、〈ダブル〉はどちらかというとクローンのような位置づけのようです。そこに特殊能力が追加されている、みたいな感じ? 死ぬときに〈トリンケーブル反応〉が出ればそれが〈ダブル〉に違いない、と結論づけられる、みたいな?
ここで疑問ですけど、一般に知られているドッペルゲンガーは、特定の人物に擬態して、その人の振りをしているわけなのですが、こちらのドッペルゲンガーは、別人格として本人とは別の名前で暮らしているのでしょうか。
また、本人と出会うことで何かしら不都合が生じる設定はあったのでしょうか。
例えば、本人のフリをするだけではなく、いつの間にか本人と入れ替わり、本人は殺されてしまうとか。逆に本人に見つかったら消失してしまうとか。
この辺ちょっと気になります。
仮に本人との接触はさておきとして、という存在なのであれば、このドッペルゲンガー設定は特に有効に働かないのではないかと思ったのですね。他人のそら似でも良いし、なんなら人間とは違う人間ではない生物、みたいなのとか、実は宇宙人です、とか、そういうのに振り替えできちゃうような気がしなくもないんです。
こうなってくると、ドッペルゲンガーとは果たして何者か、ということをもう少し突き詰めたらどうなのかという結論に至ってきます。
「全く同じ顔、同じ声、同じ性格、同じ身長、同じDNAの、同一人物」が現代に存在するとしたら、例えば各種セキュリティを簡単に突破されてしまう問題は確実に発生しますよね。
銀行口座を勝手に開設される、または解約される。
会社の重要機密を複数の生体認証でしか開かない特殊な金庫室に入れていたのに、金庫荒らしに遭う。
自分のDNAを引き継いだ、全く知らない子どもが存在し、相続問題に発展する。
古典的な、いわゆるなりすましだけではなく、現代だからこそ起きうるドッペルゲンガー問題というところにまで掘り下げた上での設定であれば、特に違和感はないのですが、この辺はそれとも、2話目以降に出てくるのでしょうか。
もう一つ。
「ターミナル・ヴェロシティ(自由落下の終端速度)」というのが、今のところサンシャイン60から飛び降りての出勤、というところにしか活かされていませんが、この辺りもどうにかなっていくのでしょうか。(しかも久地以外は利用していない)
まだまだ秘密が眠っていそうなので、1話で判断するのは難しいですが、気になった点を羅列しました。
架空の組織もの、それぞれのキャラも生き生きしてますし、謎を追っていくスタイルも良いですよね。
今後どう展開していくのか、気になる作品でした。
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【10-4-5.俺のギアスが世界を制す】
他の人とはちょっと違う誓約、というのは面白い発想ですよね。しかも、見た感じしょうもないような内容のものが多くて。
考えようによってはありだと思います。だからこそスヴェンは受諾するのだろうし。
一つ一つのタスクはたいしたことがないけど、積もり積もると面倒くさい。学校の宿題みたいですよね。
「白い文字」が浮かび上がるって、おもしろいですね。
しかも、ランダムで。
これ、一つずつ取捨選択していくんでしょうか。
「保留していた誓約」と書いてあったので、そういうことですよね。
ちなみにこちら、まさか一通り覚えてる? 保留された誓約は、どのようにして管理しているんでしょうか。まさか、ずっと視界の端っこに映りっぱなしということはないでしょうし、SFっぽいステータス画面が浮かんで、済と未済に分けて管理している? とか?
その辺どうなっているんでしょう。
スヴェンが仲間に話さないのは、しょぼいから……?
友達はみんなカッコいい誓約なのに、自分だけが変な誓約に四苦八苦しているところ、けなげですよね。私だったらめんどくせーって投げ出してしまうと思うんですけど、ちゃんと対応しているところが好感持てます。
主人公は他者より少し劣っている、という設定(いまのところ)ですが、タイトルには「俺のギアスが世界を制す」とあるので、このハンディキャップを個性として伸ばしていく的な展開が望めそうです。
これからにも期待が持てそうな作品でした。
面白かったです。




