第二会場11~15
【10-2-11.英雄学院のマガイモノ~偽物が本物に至るまで~】
やや詰め込みすぎかな、というくらい短い中に色んな情報が詰まっていました。
気持ちは凄く分かるんですけどね。あんまり書きすぎると、読者の理解が追いつかなくなってしまうので、丁度良いあんばいで止めて、後は少しずつ情報を小出しにした方がリスクが少ないと思います。
シーン数の多さが顕著なので、ちょっと挙げてみます。
①英雄について憧れたことについて
②母の死
③天啓と英雄刻印の説明とロイの天啓
④(②の直後)絶望と、少女の悲鳴〜立ち上がるまで
4000字の制限がある中ではかなり多い方だと思います。
冒頭、母・セフィアの死。
とても印象的で、恐らくこのお話の中でも肝になってくるシーンだと思います。
そこから一拍置いて、「天啓」「英雄刻印」の解説が入りますが、これをまるっと削除して、作中で会話に挟んだり地の文で少しずつ解説したりと、情報を如何に小出したほうが、読者にも伝わりやすいのではないかと思った次第です。
そして、母の死の直後のシーンに戻るわけですが、時系列の飛び飛びはとても危うい手法なので、webでは特に注意した方が良いかと思います。時系列順にエピソードが並んでいた方が読者の頭には残りやすいのではないでしょうか。
全体的に圧倒的な情報量を詰め込むために、細かな描写が抜けているのが大変勿体ないと思いました。場所ですとか、容姿ですとか、小道具の詳細ですとか、視覚に対しての情報が少ないため、読んでいても画像が結びにくいという状況に陥りました。
コレはあくまで私がやっている方法ですけれど、なるべく五感を意識して描くと、足りない情報がなんなのか整理しやすいのではないかと思います。
綿密に考えられたお話のようですので、今後に期待したいと思います。
--------------------
【10-2-12.404 Not Found】
タイトル・あらすじで話題をかっさらっていた作品ですね。
内容もまた衝撃的というか、凄いところから発想を飛ばしてきたなと感心してしまいます。
主人公を放棄したい側と、主人公になりたい側の、両方の願望が合致しなければ、こんなことにはならなかったんだろうなぁと思いますが、通常、後者はあっても前者はないわけですからね。
いや、本当に凄いところから引っ張ってきてますよね。
素直に面白い、と思いました。
けれど多分、コレは短編であって、次に期待するものではないだろうなと。
それでも確実に、この企画を盛り上げるためには必要な作品だったのではないかと思います。
それも、高い筆力と構成力があってこそ。中途半端な筆力ではコレ、書けないような気がするんですよね。
大変面白かったです。
作者が知りたい、と思わせる一作でした。
--------------------
【10-2-13.転生して凶悪な悪魔に人殺しスキルをもらったので、悪魔を裏切って追い詰めます!】
洗礼式なのに悪魔に目を付けられる主人公って、なかなか不幸な体質ですよね……。
ちょっと気になったんですけど、「君の前世は珍しい」とは、どういう意味だったのでしょうか。
前世の記憶では普通のJKっぽいし、記憶も相当普通でした。もしかしてこの中に、珍しいものが何か隠されていたのかどうか。第2話以降に出てくるのかも知れませんけど、冒頭から引っかかってしまいます。
一体何が悪魔を固執させるのかが分かれば、もう少し物語に入り込めそうなのですが……。
あらすじ感想の方でも書いたのですが、前世が特殊というわけでもないこの状態で、一体どのように展開していくのか、見当が付きません。
6歳児をそのまま主人公にするのは危険なので、転生者に、というのは分からないでもありませんが、設定としてやはり前世女子高生はちょっと弱いかな、という気がしました。
そして、当然のように「ユニークスキル」「コモンスキル」という言葉が出てきます。
私は全然そういう方面の話を読まないので、ちょっと面食らいました。多分、これが「Not for me」ということなのでしょうが、出来ればちょっとでも本文で解説して欲しかったなぁと思いました。
筋書きは大変面白いのですが、独自の設定が多く、その解説が極端に少ないために、読者が置いてけぼり状態になってしまっているのが勿体ないところ。
恐らくは書き方を少し変えるか、手を加えるだけでもだいぶ読みやすくなるのではないかと思いましたが、あくまでこれは、「Not for me」な私の感想ですので、参考にしていただければ幸いです。
--------------------
【10-2-14.君に、さよならを言うために】
これはですね……、もう、好みの作品でした……。
上手いし……。
荒廃してしまった町、少し前まで普通の暮らしをしていたなんの罪もない住民達が犠牲に。
既に死んでいる住民がそこにいる。無感情に「処理」していく。
この設定だけでもう、ご飯おかわりできそうなんですけど。
惜しむらくは、「処理」するのに使用しているナイフには特殊加工がしてあるのかどうかや、そもそも幽霊をどのような原理で殺していくのか、よく分からなかったところでしょうか。
「国から支給されたマスクをつけると、死んだ人が見える」からと言って、幽霊ならば手応えはないはずなのに、しっかりとナイフで刺している。この辺がちょっとどうしてなのかが分かれば、更に説得力が増したように思います。
それ以外は、本当に、良い……くらいしか感想が浮かばない程どストライクでした。
続き、続きが知りたいです……。
--------------------
【10-2-15.フェアリーフォーチュン・ティーカップ!~有楽内まなかはみんなに勇気を届けたい~】
これもまた、極端に他の作品とは毛色の違う作品。児童文学ですね。
背表紙が水色だったり黄緑色だったり黄色だったりする文庫を読んでいるような軽快さです。
このテンションで書き切ってくる。
実はかなりの実力者で、普段は全然違うものを書いている方ではないでしょうか。
物語の密度も適当ですし、登場人物もそれぞれ際立っていて、言うことがありません。
タイトルの方は「フェアリーフォーチュン・ティーカップ」で作中では「フォーチュンテリングカップ」なのは、テオの存在を、おじいちゃんがくれた時点では知らないから? でしょうかね。
こちらも門外漢なので、あまりツッコむようなことは出来ませんが、間違いなく、上手いと思いました。




