第二会場1~5
【10-2-1.エルマンデルへの福音書】
これ、めちゃくちゃ好みなんですけど……。
設定の段階で心臓を打ち抜かれていたんですけど、本文読んだら尊死しました。早いとこエーヴァルトに祈って貰わないと。
独特の世界観、そして重厚な雰囲気。
主人公エーヴァルトとゴエイの対比、協会の事務員の怪しさ、死の謎。
大量に情報が詰め込まれているのに、全然読みにくくない。それどころか、心地よく雰囲気に飲み込まれる感覚すらありました。
言葉の一つ一つが洗練されていて、これは読む価値があります。
絵面が浮かび、物語がしっかりと動いているのを俯瞰しているような錯覚に陥りました。
なんだろう、素晴らしいと思うと全然言葉が浮かばなくて済みません。
エーヴァルトの威厳と、その背景は気になりますね。「コイツに目ぇ付けられた時点で詰んだ」とゴエイが言うくらいですから、よっぽど強いんだろうなぁ……。
ショタで強くて地位高いとか、それだけで本当にツボで(さっきからすみません)、連れてるのはオッサンとか(もうこの時点で息をしていない)どストレートにぶち抜かれてしまってちょっと取り乱しました。
続きを、続きをください……。
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【10-2-2.偽りハネムーン〜宮廷魔導師、意中の相手と極秘任務で偽装中〜】
これは、乙女ゲー好きの皆さんが喜ぶヤツではないでしょうか。
正直色恋沙汰はよく分からないのでアレですが、ぐいぐい読ませる文章力は凄いですね。かなりの手練れだと思います。
最初に夢の内容が来たので、それが夢だと分かるまで少しふわふわしてしまうのが勿体なかったです。
「二人から求婚される夢を見る」とあらすじにも書いてあるのですが、唐突に夢の内容が詳細に描かれていたので面食らってしまうんですね。まさか冒頭から夢だなんて、それこそ読者は夢にも思わないので、一体何を読まされているんだろうと首を傾げてしまうわけです。
構成の順番を少し変えたり、もしくは明晰夢であると初めから暗示するなりして、読者を引き込むという手はあろうかと思いました。
出来れば第1話で、コンラートからの無茶振りを差し込んで貰いたかったなぁ、なんて。
1話目の内容が殆ど夢の中身に支配されてしまっていて、本題にたどり着くまでが長かったために、書き出しとしての力が弱くなってしまっている気がしました。
読者としては、「この【台本】を参考に、二人で新婚旅行の下見をしてきて」なんてとんでもないことを言い出すコンラートのお顔を、早めに拝みたいじゃないですか。
こういう女性向けファンタジーは本当に範疇外なのですが、どんな物語でもやはり書き出しで如何に読者を捕まえるかということに関しては一緒だと思いますので、参考にしていただければ幸いです。
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【10-2-3.古谷刑事の事件簿~被害者遺族のJKが同棲を求めてくる件~】
色々と気になるところがありますが、一番は、被害者家族とは言え、第一発見者ですし、一番最初に任意で事情聴取されて、その様子が尋常ではなかったらもう少し詳しく話を聞こうかとか、アリバイの裏を取ろうかとか、そういうことになりそうなんですけど、春香はそういう対象ではなかったのでしょうかね……? ということです。
実際殺人事件に遭遇したこともないですし、任意で事情聴取なんてこともまず経験がないので、一体どういう流れが本当なのか、いくら刑事ドラマを見るのが好きでも分からないので、これはあくまで私個人の違和感として捉えていただければ結構です。
家族が惨殺されている現場がある。刑事が偶々その発見現場に居合わせた。夜に外出していたその家の子どもが悲鳴も上げない。……この時点で、重要参考人だと思うのです。
「婦警の話によると、庄司春香は終始落ち着いた様子だった」「落ち着いていた、というよりは、何事もなかったという様な平静さ」となれば、怪しく、ないですか……?
死亡推定時刻は? 凶器は? 庄司春香のアリバイは?
未成年だろうとなんだろうと、まずはそこですよね。
違うのかな。なんか、引っかかりません?
それに、女子高生の護衛だからと男性刑事をあてがうかな。女性には女性を付けると思うんですよ。何かあったとき、異性では何かと都合の悪いこともあります。(トイレの中で何かあっても駆けつけづらい、など)それを男性刑事一人にやらせるのもどうかな、と思ったり。
婦警さんもいらっしゃるようなので、女手が足りないわけではないようですし、もし単にこのシチュエーションを確立させるための人員配置なのだとしたら、ちょっと浅はかかな、とか。
せめて婦警さんとバディを組んで春香を保護するのでは、とか。
家族全員が殺されている状態。親戚など、春香の身元を預かってくれる人間を探して保護して貰うことはなかったのか、もしそういう状態ならば、児童相談所などに保護して貰う方法もあったのではとか、気になります。
小説はフィクションで全然大丈夫なんですけど、フィクションをフィクションと思わせないような展開、構成、設定を希望してしまうのが読者なんですよね。あり得ないなと思う設定でもぐいぐい読ませてくれる、あるいは見させてくれるようなお話もありますけれど、すみません、私はどうも引っかかってしまって。
細かいことが気になるのが悪い癖です。
参考程度に、こういう風に捉えた人もいましたよ、くらいに思っていただければ幸いです。
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【10-2-4.ブレイブ・オブ・ブレイブスレイヤー:勇者殺しの英雄外典】
これが壮大な物語の幕開けになる、そういう思いが端々から伝わってきました。
しかし、重厚な筋書きとは一線を画すようなところがあちこちにあり、物語に入り込むことが出来ませんでした。
「暗黒騎士(笑)」とか「勇者(+ラウル)」とか。(笑)はどうかな。この世界観ではどうかな。
わざとふざけてるように見せる展開、というのは、読み進めていけば分かるんですけど、ちょっと……興ざめしてしまいます。
筋書きはシリアスなんですよ。
かつて教団に所属し、勇者を倒すための魔剣に選ばれたラウルは、光の勇者フィーアに敗北したのを機に、勇者一行と共に旅することになる。それから1年後、旅は最終局面を迎えようとしていた。しかし突如、ラウルは追放されることになる。
けど、どうもドタバタ劇で済まされてしまっていることが気になってしまって。
恐らくは、登場人物の多さがその一因です。一度に肩書き含めて大量の人間を出してしまったため、ごちゃごちゃしてしまったのだと思います。画面がごちゃつくと、誰が何をどう喋っているのか、どういう人員配置なのか分からなくなってしまって物語に入り込みづらくなります。
そして、それぞれの登場人物の個性が見えない(属性は書かれていますから、そういうことではなく、人間としての個性)ため、記号が大量発生しているような気持ちになってしまうわけです。
これは「書き出し祭り」という字数制限のある企画での提出作ですが、通常連載時にも通用すると思うんですね。
まずは情報の整理。
一度に沢山の情報やエピソード、人物を出さない。
本当に今必要なことだけ伝える。
そうやって、精査に精査を重ねますと、案外すっきりとした書き出しになるんじゃないかと思うんですよ。
あらすじではだいぶ長いことかけて復讐劇が描かれそうでしたので、ここで読者に躓かれたのでは勿体ないですよね。
面白そうな話でしたので、少しでも参考になれば幸いです。
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【10-2-5.アデル嬢の平穏な日常】
主人公登場しない第1話……。
しかし、妙な満足感がありました。
それは単純に、このシチュエーションを作り上げるために緻密に練り上げた設定が、如何に説得力があって、如何に面白そうだかにかかってくるわけですが、それら全部がとても成功しているからだと思います。
女装が見たい。
身分差(「厳密な階級制度がない時代」とはありますが)、女装男子、メイド。どれも捨てがたいのに、全部入りなんて贅沢すぎます……!
これが大真面目にストーリーの中で重要になってきているから良いんですよね。よく分からないけど女装しますとか、特に意味ないけどメイド出しますとか、そういうのは要らないんです。そうでなければならない、という状況が良いんです。
ストレスフリーで気が付いたら最後まで読んでいました。
第一話で女装が見られなかったのは残念ですが、女装して女子校に侵入したロビンが女装をバレずにアデルと過ごせるのか、注目したいです。
気づいたらアデルそっちのけでロビンのことばかり考えてしまってますね。
私はロビン推しで行きたいと思います。




