第一会場16~20
【10-1-16.俺のプラモが最終防衛兵器なんだが!?】
面白かったです。
こう、普段何気なく触っているものが巨大化して戦うのは良いですよね。ロマンです。
プラモもひとつひとつ丁寧に作っている様子がうかがえましたし、何より完成品も凄く大切にしていて、プラモ好きの程度がよく伝わってきました。
世界の終わりにこんなことするかなぁなんて思ったりもしたけれど、最後の最後は好きなことをしたいという気持ちは分かりますね。心残りになりますもん。こういうときの心境って、確かに静かなものかも知れないなぁ。どうせ終わる、分かっているからこそ、静かに好きなことをして過ごしたいのかも。
心理描写が丁寧ですよね。
周囲のあたふたさ、緊迫感はきちんと伝わってくるのですが、巧の周囲だけはいつも通り、いや、いつもより静かな時間が流れてる感じ。
一つずつニッパーで部品を切り離していく緊張感、細かい部品を組み立てる集中力が、この周囲の喧噪とは逆の熱量を持っていて、心地よく感じるのかも知れません。
勿体ないのは、視点が同じ話の中で急に切り替わるところですかね。
区切り線はありますが、同じ画面の中での視点切り替えは混乱を生みます。
リスクを伴うので、出来るだけ同一視点でいった方が良いのでは、と思いました。
視点変更に関しては賛否両論ありますので、絶対に止めた方が、というものではありませんが、一読者として思った次第です。
--------------------
【10-1-17.烏森の魔女が助けたのは、『心の欠けた僕』でした】
魔女はもっと年上のお姉さんかなと思ったんですけど、そうでもなかったですね。「高校生くらい」とのことなので、魔女というより魔女っ娘って感じでしょうか。
「秋弥にすでにかけられていた『母の呪い』」に関しても、本文で言及がありホッとしました。
母親が死の間際、秋弥にかけた言葉が呪いとなっている、ということで間違いないと思うんですけど、これは後々、その死の原因や呪いの詳細も明かされていくのだと推測します。
魔女と名乗る彼女の、その信憑性を疑う場面。もう少し魔女らしい何かがあれば良かったかな、などと。文字数の縛りもありますから、書きすぎるとはみ出してしまうのは勿論なんですけど、現代の何も知らない少年に、その存在を知らしめるためには、「知らない言葉を唱えながらマグカップに手をかざす。瞬く間に藍色の水が現れ、差し出された。」だけでは少し弱いかな、と思いました。
寝ていたベッドの周辺には「妖精」も飛んでいたので、それに関しての知識や、もしくは「妖精」との絡み動作があっても良かったかも知れません。
前段のいじめ~沼までのシーンに字数を割いていたのは、物語の必然性を高めるためだと思いましたので、バランス的に難しいところかとは思いますが、メインは魔女だと思いますので、そこを強調していただきたかったところです。
心臓のくだりは、なるほどそれで魔女は欲しがっていたのかと、あらすじ内の疑問を回収していて好感が持てました。心臓がなければ普通、生きてはいないはずなのですが、その辺は後々解説されそうですし、どんな仕組みなんだろうと考えるのは無粋なわけですね。
現実世界に存在している魔女という不思議な生き物を語るには、この文字数では難しいものがあったと思いますが、十分に印象づけていると思いました。
惜しむらくは、あらすじのまとめ方といいますか。
「1ヶ月、魔女に花を届けなければならない」→「1ヶ月間、魔女に花を届け続けなければならない」ですとか、「秋弥にすでにかけられていた『母の呪い』」については混乱も誘うので、もう少し前の段階で差し込むか、もしくはいっそのこと書かずに本文のみで伝えた方が良かったのではとか、そういうところは気になりました。
まとめるの、難しいんですけどね。
細かいところが気になってしまったので、念のため。
全体的な雰囲気含め、今後の展開にも期待できそうなお話でした。
--------------------
【10-1-18.人形のように生きていたら本当に人形になったので】
一人称で怒濤のように増える人形の様子を勢いで書き切った作品。
増えましたね……。
「陶器の体」「球体関節」とは、ちょっと想像していませんでしたが、増えるところはバイバイン並でしたね……。
正直ダンジョンものはさっぱり分からないので、「報酬部屋」「ボス部屋」の表現には面食らいました。それで通じる人にとってはニヤニヤするところだったのでしょうか。
何となくですけど、メタ的といいますか、この世界観で主人公が一人称で呟くにはあまり相応しくないのではないかと思ったのです。
主人公の具体的な名前ですとか功績ですとか、そういうことはほぼ語られていませんから、そういう発言をしても不自然ではない(現代から転生した、など)設定があるのであれば、許容できなくもないと思いますが、やはりメタ的発言は興ざめの原因ともなりますので、当然のように差し込まれるのは少し危険かなと感じました。
同じ意味で、「一部の方々にとっては極めて大切なこと」「愛されボディ」などというところも、やはり一定数にはニヤニヤの原因となるでしょうが、この世界観に合っているかどうかと考えると微妙な気もします。
そしてこれは私の勝手な解釈かも知れませんが、こちらの話は短編として成り立っているようにも感じました。あらすじも大体一話目の詳細で終わっているところを見ると、この続きは元々考えられていないような気がしてしまいます。
タイトルと世界観のインパクトは大きかったので、この書き出し祭りにおいては十分目立った作品だったのではないでしょうか。
--------------------
【10-1-19.あやかしお悩み相談所】
これはプロの犯行ですよね……。
あらすじの時点でそんな気がしてたんですけど、読んで再認識しました。面白かったです。
それぞれのキャラがしっかり立っていて、頭の中ですんなり画像が再生されますし、何より間合いやら掛け合いやら、そういうのがとても自然で、目の前でドラマを見ているような気がしました。
あやかしもの、最近流行なので大体あんな感じなのかなぁと想像できてしまうんですが、最後のオチにはやられました。それぇ~? みたいな。
小梅がひたすらにめんこいですね。「ニコニコしながら、額に青筋」とか、「妖怪の総大将に向かって眉を吊り上げる」とか、可愛いだけじゃなくて、自分というものを持っているところが凄く可愛かったです。
ぬらりひょんはどうするんでしょう。
「ちゃんとお金を払って家系ラーメンを堪能」することができるのでしょうか。
続き、ありますよね?
--------------------
【10-1-20.キミは放課後のアイテムマスター】
あらすじは第0話でした……パターン。
使い方はそれぞれなので、これが吉と出るか凶と出るか……。
全体の流れとしてはとても面白そうですし、二人のやりとりは生き生きしてて、如何にもラブコメのお手本的展開でした。
ニヤニヤしちゃいますね。
先輩の方は本当にネタ探ししてるッぽいのと、単に取材対象として後輩を見ているような感じなのに、完全に後輩は先輩に気がありますもんね。その言葉のやりとりが上手い!
「マジカルベリー」の紹介の仕方も、実際に食べさせてみるとか、その効果を経験談と共に話すとか、これは書き慣れてる人だと見せつけられているくらいの上手さです。
出来るならば、設定を本文に差し込んでいただきたかったかなぁ、なんて。
一人の読者として読んだときには、あらすじはやっぱりあらすじなんですよね。そこがどうも勿体ないような気がして。
というのも、企画の趣旨からすればこれは「書き出し」祭りなのであって、作品を読むとあらすじが1話目、本文は2話目なんですよ。
そこがどうしても気になってしまいます。
これは作品の優劣に関わることではなく、あくまでも企画趣旨との関係と申しますか、少なくともこれらの作品を読んでいる人たちは第一話をどう書くかを見ているわけなので、少し釈然としない思いを抱えてしまうんじゃないかと(私だけかも知れません)思った次第です。
と、そんなことを考えてしまう程に作品のレベルは高く、連載すれば直ぐに人気でそうなシチュエーションだと思いました。
今後の展開も楽しみです。




