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第10回書き出し祭り感想まとめ  作者: 天崎 剣
【本文感想】第一会場

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27/48

第一会場1~5

【10-1-1.落日の刻、影は彼方へ】


 町にたたずむ〝蜃鬼〟という謎の存在が、本文では特に強調されているような気がしました。

 厳重に入国審査並の手続きを取らないと近づけないという設定に、まず驚かされます。そして、そこまでして守らなければならない存在までに昇華させているところにこだわりを感じました。

「国内外の観光客はシャットアウト」するほど徹底してその存在を守られているわけですけど、Google Earthでも見られないようになってるのかな……? その辺どうなんだろうと、余計な心配をしてしまいました。一昔前ならともかく、今は色んなサービスがありますからね。地上からは見られないけど、Google Earthと衛星写真には映ってます、とかだったら、SNSバズりそうだなぁ、なんて。


 雰囲気が良いですね。

 金田一耕助シリーズみたいな、辺鄙な田舎に来てしまったという様子がとても丁寧に描写されていると思いました。

 民宿の描写も丁寧ですよね。

 ただ、本当に民宿で生計立てているのかちょっと気になるところ。というのも、前段として「国内外の観光客はシャットアウト」「許可をもらって訪れる人間も数年に一度の頻度」というのを提示されているわけですから、民宿も片手間にやっている程度なのではと推測してしまうのです。

 だから尚更、「二階の二◯三号室」が気になりました。

 そんなに部屋がある。ということは、以前は審査などなく町に沢山人を呼んでいたのか。はたまた、市内からの客を沢山泊めるときがあるのか。でも、民宿って普通、よそから来た人を泊めるところですよね。市内の人間ならまず泊まらないでしょうに。

 二階から外を眺めるシーンがあるので、このために二階に上らせる必要があったのだと思いましたが、それにしては部屋数が多いな、と。

 もし仮に、本当に外部からの観光客受け入れを極端に制限しているのだとしたら、民宿ではなく、民泊でもいい気がします。


 重箱の隅はこれぐらいにしておいて、実際本文はと言いますと、ものすごく読みやすい。

 不気味な〝蜃鬼〟の様子をこれでもかと示していますよね。これはとても効いていると思います。うずめちゃんの可愛さよりも、〝蜃鬼〟の不気味さが絵面的にものすごく強くて、最後のカーテンのところは、思わず本当に、自分の背筋までブルッと震えそうになるくらい不気味さが強調できていると思いました。

 良いですね……!

 本当に、導入部分だけなんですけど、「あれ? 続き?」と思わせてくれる書き方には感服しました。



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【10-1-2.妖怪屋敷の箱入り娘】


 不思議な少女との出会いが丁寧に描かれています。

「着物のようなもの」と、多分普通の着物だと思うんですけど、そんな程度にしか和服を捉えていない少年と、「何百年ぶりかしら」と恐ろしい言葉をサラッと呟く美少女との出会い。この時点で、二人の境遇がかけ離れていることを暗示しているのでしょうか。


 凛花の口調がちょっと古めかしいのは、長く生きているから……?

 スマホに興味を持つ場面なんかでそれを示しているので、多分そうなんですよね。

「私は人間」と凛花は言うわけですけど、明らかに普通とは違う状態に置かれていることもしっかりと伝わってきます。


 この屋敷の中だけ、時空が歪んでいるのか、時が止まっているのか、そういうことなんだろうなぁとは思うんですよ。「七月下旬の炎天下」「燃えるような紅葉」とありますから、恐らくそうなんでしょう。

 そこで、第一話では出てこない「あいつ」が、何らかの理由で凛花を閉じ込めている。そして、彼女がわがままを言うためには、体の一部を差し出さなければならない。彼女の指が欠けている理由も、最後の部分でこっそり教えてくれるので、余計不気味に感じます。


『帰らずの屋敷』だと、凪も認識しているにもかかわらず、「俺が連れてってあげる。一緒に遊びに行こう」となるのは、ちょっと危機管理能力に欠けるな、と思ってしまいました。

 凪は軽い気持ちで向かったのでしょうが、実際その屋敷に入ってしまった状態でも同じ心境でいられるのでしょうか。その辺、大丈夫か心配になってしまいます。

 また、「それが何を示すのか、その一端が頭によぎる」状態だったのに、凛花を連れ出す決断をしてしまう浅はかさにも、少し違和感を覚えました。


 そして一番気になったのは、本文で主人公の名前、出てこないんですよね……。

 あらすじには出ているので、まぁ気にしなければ気にしないで良いんですけど、やっぱり、名前はそのキャラクターに存在感を出すための大切なものですから、作中で、是非凛花に、凪の名前を呼んで欲しかったですね。



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【10-1-3.夢の続きを、僕は雨天に綴る。】


 とてもゆったりとした雰囲気のお話ですね。

 夢と現実の間を行ったり来たりして、どれが夢で、どれが現実なのか。そういう感覚を読者にも与えてくれます。


 主人公の夏樹は中学生で母親と二人暮らし。作家だった父親は早くに他界。母は朝早くから夜遅くまで仕事に行き、普段の家事は夏樹が行っている。――と、ここまでが本文から読み取った主人公の家庭環境ですが、こうやってまとめて書いてしまうのではなく、細々としたエピソードから本人の事情を伝えてくる手法、凄く良いと思います。一人称だと、全部自分で語りがちなんですよね。楽なので。これをしない、というのはある種の技術を持っている方だとお見受けしました。


「明晰夢」が何度も出てきます。

 これは父親の記憶ではないでしょうか。

 転校生の白河が何故父親の名前を夏樹に聞いたのか。彼が父親に似ていたから?

 母親と白河、そして父の駿也には何か繋がりがありそうでした。まさか、夢に出てきた少女は転校生の白河本人だったのでしょうか。――そうに違いないと思わせる彼女の挙動を見ていると、真相が知りたくなります。

 

 ここまで来ると、あらすじの部分が、「実は父親が白河に宛てて残した手紙なのではないか」とわかります。

 あらすじ、というよりは本文の前、表紙カバーのそで(折り返し部分)に紹介文のように載せられている文章か、もしくは本文が始まる直前ページの真ん中に、プロローグのように置かれる文章に相当するのではないかと思いました。

 作品を一冊の本だとなぞらえるなら、とても綺麗で贅沢なあらすじです。


 勿体なかったところ。序盤の「()」の表現は必要だったかどうか。三人称の中の一人称というわけでもないですし、果たして効果的だったかどうか気になりました。あまり見ない表現ですし、さして物語の中で重要な言葉というわけでもないようでしたので、これはあくまで私の感覚ですが、そのまま一人称の中に溶かしても大丈夫な台詞だったんじゃないかと思いました。


 けれどそんなことはほんの些細で、文章も明瞭で読みやすく、ただただ上手いなと唸らされました。

 結局、白河という少女は何者なのでしょう。

 父親は彼女とどのような関係だったのか。


「あなたと過ごしたこの一ヶ月」「雨模様の毎日」

 いつの時代か、父親は白河と梅雨の期間一緒に過ごしていた。そして、「一生涯忘れることはない」と断言させる程の強い印象を残した。

「ありがとう」「さようなら」と綴った父親との関係性、気になります。

 読み解けば読み解く程、興味深いお話です。

 続き、ありますか……?



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【10-1-4.貴方が落としたのはこの金髪の少女ですか? それとも銀髪の少女ですか?】



 うっかり異世界ファンタジーだと思ったんですけど、現代日本だったか……。

 そうか、アニメとかラノベ系の世界観なら金髪銀髪の日本人いるね☆

 ……というところから始まりました。

(現実世界の常識からなかなか出てこれない系読者なので、こういうことはよくあります)

 金の斧銀の斧のお話になぞらえるために、多分そういうことになったんだというのは、直ぐに分かりましたが……。


 片方、レナはハーフ? かな?

 言葉の端々が不自然にカタカナなので、何となくですか。

 お陰で、すんごい台詞の応酬でも誰が喋ってるのか一目瞭然でした。


 本当にハチャメチャなお話ですよね。

 でも、まぁお祭りだし、こういう話があるのも良いかも。


 色々ツッコみたいところがなくはないんですが、(夜中に学校の裏庭で何してんだ、とか)何でそんな変な言い伝えがあるのかとか)気にならないくらい、勢いでガンガン押してくれました。

 なんだかんだ書き慣れている人だと思いますよ、コレ。

 いや、かなり。


 で、結局どっちが渡道のことを好いてたんでしょう。

 結末は……考えてあるんです、よね?



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【10-1-5.俺はサル山のボスになる。】


 正直、あらすじで吹き出してたので、この展開は全然考えていませんでした……。

 コレ、ネタじゃ、ない……?


 とても強烈なフレーズだと思うんですよ。「俺はサル山のボスになる」やべぇ。

 誰だってそう思っていたはずです。

 そんなやべぇ台詞をタイトルに持ってくる。しかも、あらすじの中でも堂々と「サル山のボスになれたのか」って書いてるし。


 中身、全然思ってたのと違うじゃん……。そして、ラストぉ……。


 めちゃくちゃ文章上手いですよね。会話文、特に。

 冒頭からの会話、本当にその場で聞いているような感覚に陥ります。

 殆ど会話文なんですよね。一人称だから、それよりもっと多く会話をしているような感じです。

 絶妙なツッコミと、丁度良い間(空行)で、飲みながら会話してる感じが伝わってきます。


 この状態からの、まさかの小林……。


 ものすごく、タイトル通りのアレだし、あらすじにも書いてある通りだったので、正直にやられたと思いました。

 ヤバい。面白い。

 猿山のボスの話をしていたはずなのに、途中から変なことになってる。

 でも、その会話の流れも凄く自然で、コレは作者がニヤニヤしながら画面越しに見てるヤツだ……!


 細かいことが気にならないくらい、(というか既に頭の中が猿山のボスでいっぱいなのでそれ以上何も考えられない状態だった)面白かったです。

 このあと、続き、あるんでしょうか……?(なさそうだな)

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