少年と説明とダンジョンを進む
そんなことがあったのが三日前。
魔法で照らされた洞窟を、僕とアスモデウスは進む。
「この【漆黒と深淵の魔窟】は私の住処なの」
アスモデウスは言うけれど、じゃあなんでこんなに襲われるのかと疑問に思う。
「流石に十年もいないと、変なのが入り込んでるわねぇ」
とアスモデウスは言った。
先の見えない暗黒の洞窟は歩いているだけで不安になる。何処から襲ってくるのか分からない恐怖に怯え続けなければならない。
「大丈夫。ここは私のダンジョンなんだから」
聞けば、僕らの住んでいた大陸と、この魔大陸では魔力の濃度が段違いらしい。魔大陸に戻れたことで周囲の魔力を吸収し、僕の中から出られたとのこと。
「座標指定なしの転送魔法だなんて、よっぽどあなたが怖かったのね。お陰様でここに座標を合わさせてもらったけど。思ったより魔力使ったけど、あのお爺さん、大丈夫だったかな?」
初めて知ったのだけど、どうやら僕は追放されたようだ。
どうして僕が追放なんてされなければならないのだろう。僕が彼らに何をしたというのだろうか。僕はただ、普通に過ごしていただけだ。それをあいつらは、勝手に怖がったに過ぎない。
僕の犯した罪は、十年前から一つだけだ。
そのことを考えると、僕は改めてあいつらを生かしておく訳にはいかない、と決意を改める。
「もう結構歩いたんだけど……まだ目的地には着かないの?」
「まだまだ、もう少しよ」
「お腹も空いたんだけど」
「もー、人間って不便ね! そこら辺にモンスターがいるでしょ!?」
「何で生なんだよ……また僕の中で眠りたいの?」
「それはちょっと勘弁して欲しいなぁ……なんて」
どうも悪魔喰らいのスキルを持つ僕の中は、悪魔にとっての天敵らしい。
僕に喰われ、僕の中で僕に魔力を吸われる。それが死ぬまで無限に続くのだそうだ。
僕に実感はないけれど、僕は彼女の力を吸い続けていた。
アスモデウスが衰弱し、死ぬ寸前まで、だ。
このダンジョンにやってきて膨大な魔力を吸収し、アスモデウスは僕の中から外へ出るだけの力を得た。スキルだけで使いこなせていない僕の檻を、力技で脱出したのだ。
だからこそ、改めて捕らわれることを恐れているのだ。
僕は彼女に対する切り札を持っている。
「あ、あれがいいな」
僕は目の前を横切るミノタウロスを指差す。
「えー……まあいいけどぉ」
「何だよ、不服そうだな」
「アレ、筋肉が多くて食べられる場所少ないのよねぇ」
「美味くない?」
「美味しいけど」
「じゃあ行け」
「はいはい」
アスモデウスは少し反抗的な部分が目立つが、しかし僕が命令するとその通りに動いてくれる。
気分がいい。
こんなことはあの街にいた時はあり得なかった。
あんな思いをするのはもうごめんだ。
「どう? 美味しい?」
「美味い。けど筋ばっているな」
「それはしょうがないでしょ」
アスモデウスが瞬殺したミノタウロスは、魔法で火を通すと中々だ。
調味料も何もないのに、肉の味がしっかりしていて……こんな風に誰かと一緒に食べることなんて、今までなかった。
「どうしたの? ご主人様?」
「いや……何でもない」
この感覚は、正直嫌いじゃなかった。
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