表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

かくおの短い物語集

「裸足の少年と赤い男」

作者: かくお

街中を裸足で歩く少年に男が声をかけた。


「なんで君は裸足なんだい?」


少年は不思議そうな顔。


「え?逆になんでみんな靴を履いているの?」


質問に質問で返すとはまだまだ子供だな、男はなるべく分かりやすく教えてあげる事にした。


「ん?だって、そうだな、裸足じゃ足が痛くなるじゃんか」


「そうかな、アスファルトは平らで歩きやすいよ」


アスファルトだけならそうかもね。


「何か落ちてるかもしれないから危ないぜ」


「え、こんなに平らだもん、危ない物が落ちてりゃすぐに気付くよ」


気付けばいいけど気付かなけりゃ危ない。


「割れたガラスとか落ちてるかもだよ?」


「え?どこにもガラスなんて見当たらないけど」


男は腕を組んでウーンと考え始めた。


少年にはそんな男の様子が全く不思議だった。


「話がそれだけなら僕は行くよ」


「え?ああ」


男は不服そうだが、少年にはやっぱり意味が分からない。


スタスタと少年が歩き始めるのを見て、男は諦め「ま、一杯飲んで帰るか」と呑み屋さんに入ろうとした時、店先に積まれたビール瓶を見つけた。


「そうだ、これなら分かるだろう」


そこから瓶を一本抜き取り少年の前に蹴り飛ばしてみた。


それに気づいた少年が立ち止まると、男はしたり顔で言った。


「ほら、そういうのが落ちてるかもしれないだろ?」


少年が転がるビール瓶を見つめ黙っていると、さらに男はしたり顔。


「な、裸足でそんなの踏んだら危ないだろ?」


フー、と少年は長いため息をついて振り返った。


「何を言ってるんだ?危ないのはビール瓶じゃなくてお兄さんの方だよ」


少年はビール瓶を拾い店先に戻した。


男の顔が真っ赤に染まるのを少年はじっと見ている。


「そんな事より、お兄さんも裸足になってごらんよ、自分が何者か分かるからさ」


男の顔は赤いままだが、少年はまた歩き出した。


その背中を見つめる男は、思い出した様に少年に声をかけた。


「またどっかでな!」


少年は振り返る事なく片手を上げてその場を去った。




おしまい。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 良くも悪くも不思議な雰囲気が漂っていること。意図されたものではなさそうという意味で良くも悪くも。 [気になる点] 場面や周囲の様子の描写が後出し気味になっているところ。主人公のスタンスもわ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ