『ロ~賢者』
ネトウヨ君が、
やって来た。
従者を連れて。
その従者は、
私に会いに、
わざわざ、西国から、
来てくれたのだそうだ。
昨日は、
雪のせいで、
足元も悪かっただろうに。
北側の山を見ると、
麓まで真っ白だ。
その情熱を買って、
その人の話を聞く事にした。
本当は、
卵かけ御飯の事を、
聞きたかったのだが。
この異世界には、
特許制度が無いので、
大体の知識や技術は、
秘伝である。
一子相伝を聞き出すためには、
それなりの手順を踏まないと。
その人の主張は、
前世の感覚からすると、
国連を造って、
集団的自衛権を行使しよう
だと、
思われる。
どうも、
この人は、
ネトウヨ君が、西へ旅立つ
きっかけとなった
地球防衛軍の人のようだ。
結局、
彼は、
私に、
国連を造る
場所と資金を出せ
と、
言っている。
うーん。
国連ねえ?
前世の国連は、
元々、
戦争を美化するためのものである。
勝ったアメリカが正しく、
負けた日本は悪。
日本を売っぱらった人達は、
当然、
国連が大好きだ。
もちろん、
私は、
好きなわけ無いよな。
そんなのを、
創設するのはねえ。
とりあえず、
判断の元となる
西国の情勢について、
聞いてみた。
彼は、
西国で、
布教活動をしている時に、
平和主義者の噂を聞き付け、
東へ向かったのだそうだ。
その道中、
見たものは、
やはり、
戦乱だったらしい。
ただ、
この辺とは違って、
ほとんど、
小競り合いを繰り返している
だけ。
まだ、
様子見の段階のようだ。
従って、
魔王空白地帯は、
生まれていない。
彼の話に依ると。
ネトウヨ君が、
私の国に侵略したのが、
この異世界での
戦争の始まりらしい。
ネトウヨ君が、
知らん顔しているので、
彼は、
張本人がここに居ることに、
気付いていないのだろう。
話はズレたが。
だから、
私にも、
異世界が乱世になってしまった
責任の
一端が有る
と。
前世の日本では、
ネトウヨは、
対立構造を造るため、
工作員が、
演じていたものである。
それに誘導されて、
ネトウヨ君のような
素人も、
大量発生したが。
実は、
共産主義国家が創られた
二つの主な目的の内の一つも、
対立構造である。
共産主義者が、
ほとんど、いなかったロシアや、
ゼロに近い中国が、
選ばれたのは、
裏が無いと。
では。
何処に?
いたのか?
というと、
第二次世界大戦で負けた所。
しかも、
マルクスの資本論が売れたのは、
日本くらいだったらしい。
世界中で絶版になるなか、
日本でだけ、
買えたのだが、
1990年代初頭に、
絶版になった。
当たり前だが、
出来た国は、
偽共産主義国家なので、
戦争で、
アメリカが味方した。
話を元に戻すと。
彼も、
大河を越えて、
私の国に入った辺りで、
巨大槍軍団を見たそうだ。
雪で、
視界が悪かったが、
あの規模の軍隊は。
えっ?
あっちのほうが、
降ってるの?
そう言えば、
雪雲が、
北の山脈を越えられない
のを、
忘れていた。
となると、
今回の雪の水源は、
南の海だ。
北の山が大雪だったのも、
斜面が南向きだったからか?
ここで、
福沢諭吉が、
報告に来た。
旧ネトウヨ国内で、
ゴブリンの勇者軍と
最後の加盟国軍が、
衝突したそうだ。
ハイエナ部隊は、
間に合ったのか?
と、
聞くと。
敵を殲滅した後、
ゴブリンの勇者が、
待っていてくれたようだ。
さすが!
ゴブリンの勇者!
配慮が行き届いている。
最後の加盟国の魔王も、
逃げれば良かったのに。
共産主義魔王、
異世界の魔王数、残り六十七?




