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ハメられた

 参ったよ。


 まさか?

魚のいない河の魔王が、

女性だったとは!


 この異世界の魔王は、

全員、

元日本人の転移者

だとは、

思っていたけれど。

全て、

男だと、勘違いしていた。


 だって、

魔王って、

男じゃないの?


 女の場合は、

魔女とか、

魔女王みたいな

変な呼び方じゃないの?


 これで、

その魔女王が、

自由都市を取り戻す

気が無いことが、

確定した。


 女は、

そんな馬鹿では、

ない。


 まあ、

間違いなく、

彼女の狙いは、

移住先の確保だろう。


 彼女の国は、

ダンジョンから溢れた魔物達が

跋扈している。


 そんな、

ランダムで現れる連中を

相手にするよりも、

隣の魔王空白地帯を領有したほうが、

遥かに、

マシだ。


 南方国へ、

攻め込む気だろう。


 その証拠に、

西太后が行っている外交交渉に、

こんな、

要請が有ったそうだ。


 魚のいない河を遡って、

自由都市まで進軍したい。

そのための戦艦建造技術者、

つまり、

ドワーフを派遣して欲しい。


 船を作って、

何をするつもり?


 魔物退治が目的なら、

魔物が蔓延る

陸上に、

軍を進めるべきだ。


 船を使うのなら?


 今、

南方国は、

こんな感じになっている。


         北側


         ↓

  南方国    大

         河

         ↓



         ↓

         大

   外堀←外堀←河

         ↓

         大→外堀→外堀

   堀←堀←堀←河

   ↓     ↓

西  堀 南方国    寒村

側  ↓

   堀     ↓  塩田

   ↓     河口

   海

     海側


 南方国では、

急ピッチで、

外堀の工事が、

進められている。

でも、

海側から攻めれば、

堀とか、

役に立たないよね。


 実は、

私は、

これを期待していた。


 わざわざクレオパトラを呼び出して、

魚のいない河の魔王を、

唆そうとしたのは、

このためである。


 そう、

実験がしたい。


 この異世界に於ける

海戦を知りたかったのだ。

実際に、

やってみたらどうなの?


 やっぱり、

平和主義者は、

戦争を研究しないとね。


 前世で、

まだソ連が健在していた時に、

日本が、

経済協力をした事が、

有った。

ソ連人を初めて見た日本人は、

驚いて、

テレビで、

こう言っていた。


 ソ連人は、

利潤というものを、

理解していない


 利潤が解らなければ、

共産主義は、

成り立たないだろ!

と、

思っていたら、

それから数年で、

ソ連が崩壊してしまった。


 これと同じで、

戦争を研究しない

平和主義者なんて、

説得力がない。


 でも。


 戦争を研究するために、

戦争をさせる


 非道い話だが、

他人にやらせないと。


 金がかかり過ぎるし、

犠牲も出る。


 戦争なんて、

自ら行う人間が馬鹿なのだから、

仕方がないんだよ。


 さて、

その海戦だが。


 南方国城は、

大河の河口に有る。


 その大河が、

大量の土砂を運んで来てるので、

海は、

遠浅だろう。


 遠浅というと、

源頼朝が鎌倉を選んだ理由

を思い出す。


 三方を山に囲まれ、

残りが浅い海なので、

鎌倉は、

防御力が高い

と、

言われている。


 その辺を試したいんだよね。


 それと、

造船技術そのものも

そうだが、

やはり、

この異世界の

航海術を知りたい。


 船が座礁しないのか?


 海の地形は、

どこまで、

判っているのか?


 南方国へ攻め込むのなら、

船で、

大型魔物を運んで、

海岸から。


 とは、

思うけど。


 実験してみるのは、

リスクが高過ぎて。

ここは、

漁夫の利を得たい

ところだよね。


 そろそろ、

妄想は、

これくらいにして、

現実的な対応をするか。


 相手が女なら、

外交交渉なんて、

しないほうが、

良いだろう。

うまく、

利用されちゃうだけだし。


 西太后は、

即時撤退させよう。


 自由都市遠征計画を、

引き延ばす必要も、

もう、

無いしね。


 それに、

南方国防衛力強化のために、

ゴブリンの勇者を、

すぐに派遣しよう。


 共産主義魔王

異世界の魔王数、残り六十八。


 




 



      

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