裏目
瞬殺だった。
北へ向いていた巨大槍の穂が、
反転し、
謎の魔物軍へ向かうと。
福沢諭吉が、
淀君の襟元から、
手を入れただけで、
南方国の魔王の理性が飛んだようだ。
淀君の猿芝居で、
謎の魔物軍への攻撃を、
要求されると、
あろう事か、
それに従ってしまった。
通常は、
移動速度の遅い
大型魔物相手なら、
人狼は逃げ切れる。
でも、
南方国の魔王が乗った馬車を、
勘違いして、
追いかけ、
オーバーヒートを起こしていた
謎の魔物軍は、
動けなかった。
蹂躙劇が始まった。
そして、
呆気なく、
謎の魔物軍は潰滅した。
この、
淀君のスーパープレーのおかげで、
私が有利になったのか?
というと。
たぶん、
逆なんじゃないかな?
南方国の巨大戦力の前では、
謎の魔物軍は、
戦力外だ。
その証拠に瞬殺されている。
援軍としての価値は、
無い。
でも、
謎の魔物軍は、
馬車を四台、
連れて来ていた。
中には、
兵糧が、たんまりと入っているだろう。
それが、
南方国軍の手に渡ってしまった。
そろそろ、
南方国軍の兵糧が尽きても、
おかしくない頃だったのに。
私の籠城期間が、
さらに長くなってしまう。
複雑な気持ちで、
戻って来た、
淀君と福沢諭吉を労っていると、
道糞が、
飛び込んで来た。
彼は、
朝鮮砦を失った後も、
偵察だけは、
欠かさずに続けている。
あの朝鮮の英雄が、
一度や二度の全滅で、
へこたれるわけないのだ。
謎の魔物軍の本体が、
動いたらしい。
朝鮮砦から出陣して、
南方国へ向かったとのこと。
南方国へ攻め入った
ということか?
どうも、
騙されていたのは、
私のようだ。
ネトウヨ君が、
塩の値上がりが、どうのこうの
と言っていた。
それで、
私の塩の買い占めに怒った
どこかの魔王が、
私のところに遠征しに来た
と、
思っていたのだが。
南方国の魔王が、
塩の輸出規制をしようとした時、
私のところに、
大量の塩が集まって来た。
そのため、
塩の値段が高騰した。
それに対して、
元日本人の、どこかの魔王が、
過剰に反応したようだ。
日本人は、
何故か?
塩は重要な戦略物資である
と、
捉える傾向にある。
たぶん、
初期設定の時に、
海に面した領土が残っていなくて、
悔しい思いをした
魔王だろう。
となると、
旧ネトウヨ国の西に接する
内陸国か?
確か?
旧ネトウヨ国の西側には、
大きな山が有って、
それを越えて来たのか?
西接する内陸国の魔王は、
浮浪者達に請われて、
旧ネトウヨ国を平定すると、
南方国が、
がら空きなのに気付いた。
最強の巨大槍軍団は、
私の国で、
立ち往生している。
そこで、
援軍を送るフリをして、
その隙に、
欲しかった海洋国を、
手に入れよう
という作戦なのだろう。
もしかして、
馬車を必死になって追いかけて来た
のも、
馬車に乗っている魔王を、
狙ったものなのか?
それに、
人狼に長槍を持たせた
部隊編成も?
大型魔物を使わず、
融通が利く人狼にしたのは、
巨大槍軍団から逃げる時のため。
長槍を装備させたのは。
1 援軍が来た
と、
勘違いさせて、
巨大槍軍団に、
私の城に突撃させる。
2 その際に、
後ろから
追軍する。
3 私の兵と戦闘になったら、
裏切り、
巨大槍軍団の背後から、
長槍で突く。
どう考えても、
あの巨大槍軍団の弱点は、
背中だ。
あれだけ長くて重い槍を抱えていては、
後ろからの奇襲に、
対応出来ない。
うーん、
やっちゃったよ。
どうせ、
クレーンゴーレムを出すのなら、
攻撃させれば、
良かった。
そうすれば、
南方国が滅んだのに。
共産主義魔王
次の戦争まで、そろそろ長過ぎた戦争が終わる。




