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傷痍軍人

 この頃、

頓に、

冒険者の来訪が増えた。


 もちろん、

勇者の剣を試しに来るのだが。


 冒険者は、

東の自由都市から、

やって来る。


               北側


                山


           ダンジョン 鉱山 


            ドワーフの里

                ↓


                河


                河

西

側 城 丘 谷         ↓   

            山 自由都市

                ↓


                河

         

     


 冒険者の場合、

かなり高額の金を、

落として行ってくれるので、

ありがたい。


 男の冒険者達は、

主に風俗で、

ランクの高いエルフを、

指命してくれる。


 でも、

それよりも上客なのは、

女冒険者達だ。


 エステで、

体を磨き、

顔のお手入れをして、

ホストクラブで豪遊するのが、

彼女達の

お決まりのコースらしい。


 ホストで人気が有るのは、

やはり、

土方歳三

真田幸村

のツートップだ。


 どうも、

英雄というのは、

女性を引き付ける

オーラを持っているらしい。


 ホストクラブを流行らせるためにも、

英雄召喚に勤しまなければ。


 女冒険者達は、

さらに、

整形も、

やっていってくれる。


 異世界では、

美容整形を、

魔法でやるので、

安全、短時間で出来る。


 しかも、

前世の技術では不可能だった

美人を作ることも出来る。


 誰でも、

絶世の美女になり得るのだ。


 だから、

料金を、

高額設定にしておかないと、

希望者が殺到してしまい、

運営出来なくなってしまう。


 それに、

世の中の女性全員が美女

というのも、

それはそれで、

多様性が無くなり、

あまり好ましいことではない。


 一日に一人施術する目安で、

金額を設定してあるのだが、

それでも、今、

順番待ち状態になっている。


 冒険者達は、

自由都市では、

修行僧のような生活をしているのだろう。


 ダンジョンに篭り、

ただ、ひたすら

レベル上げをしている。


 そのストレスが、

私の国へ来ると、

爆発するようだ。


 その自由都市だが。


 これだけ多くの冒険者が集まるようになったのは、

ドワーフが、

宣伝してくれたおかげらしい。


 勇者の剣の台座を作ったドワーフが、

ドワーフの里へ帰る途中、

自由都市に、

立ち寄った。


 自由都市から、

河を北へ遡り、

故郷へ戻るのだ。


 冒険者とドワーフは、

武器や防具の需給関係で

繋がっている。


 そのドワーフが、

「あの魔王は、

わざわざドワーフの里から呼び出しておいて、

『日用品を作れ』

と吐かしやがったんだぜ!」

と、

言い回っていたのだそうだ。


 その言葉が、

冒険者の心に響くらしい。


 自由都市には、

ダンジョンの魔物との戦闘で、

手や足を失った者、

目の見えない者などが、

普通にいる。


 そういった人達は、

やはり、

物乞いをしているそうだ。


 前世の日本では、

傷痍軍人と呼ばれた

方々がいた。


 子供の頃、

お寺の初市に行ったら、

お堂の前に、

手や足の無い人と、

目の見えない人が、

包帯をぐるぐる巻いて、

軍歌を流していた。


 私は、ただ、

その軍歌が怖くて、

怖くて。


 「お前も、こうなれ!」

と、

呪われているような

気がして。


 最後に傷痍軍人を見たのは、

1990年代初頭だった。


 おばあちゃんの原宿

巣鴨の地蔵通りの入り口の前で、

物乞いをしていた。


 その時は、

本物か?

まだ生きていたのか?

と、しか思わなかったが。


 現実の戦闘で傷ついた者は、

物乞いになるしか無いだろう。

盗賊になるのは、

作り話だ。


 人類史上の奇跡だった

豊かで格差の無い

日本の高度経済成長期ですら、

そうだったのだから。


 話はズレるが、

共産主義を標榜していた

1980年頃の中国にも、

乞食がいたそうだ。


 資本主義国家の日本が、

世界で最も共産主義に近い国

と、

当時、言われていた由縁だろう。


 共産主義魔王

次の戦争まで、あと二日。


 


 


 

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