親父の作戦
土方歳三がやって来た。
四人の人間を連れて。
その四人は、
地味で貧乏な
冒険者風の格好をしており、
一人だけ、
女も、いた。
その女も、
貧相な胸
という印象しか与えない。
前世だったら、
オタクの中に、
腐女子が混じっている
そんな感じだ。
年齢は、
四人共、
日本なら若者、
異世界なら中年
って、ところだろうか?
何故?
土方歳三が、
そんなサエない連中を、
わざわざ連れて来たのか?
というと。
勇者だった。
土方歳三は、
勇者様御一行を、
御案内申し上げていたのだ。
その情報、早く言ってよ!
知ってさえいれば、
逃げたのに!
だいたいさあー。
勇者に面会する魔王って、
大物過ぎるだろう!
私は、
暴力を否定する平和主義者だから、
当然、
逃亡させていただきます。
でも、
土方の説明に依ると、
一度、
勇者になったら、
もう、成長しないらしい。
つまり、
勇者は、
戦うことに意味が無いので、
冒険者からも引退するのだとか。
当然、
魔王討伐などしない。
そして、
故郷の自由都市へ戻り、
街の代表者に就任する
のが、慣例なのだそうだ。
うん?
自由都市?
なんか、
嫌な予感しかしないので、
その辺を、
勇者達、本人に聞いてみた。
北側
山 ドワーフの
里
河
大 河
河
河
私の国
大 山 自由都市
河
元
西 ネトウヨ
側 国 大
河
彼らは、
ネトウヨ魔王のコアを破壊した後、
故郷の自由都市へ戻る途中、
私の城へ寄ったのだそうだ。
自由都市?
なんか、
ドワーフの里に派遣した
真田の親父が、
頭に、
こびりついて離れない。
親父は、
自由都市経由で里へ向かったハズだ。
「黒目黒髪のオッサンが訪ねて来なかったか?」
と、尋ねると、
驚いたような顔をしたので、、
もう、
確定だろう。
いやあー、
おかしい
とは思っていたんだよ。
商人が工作員を出すわけないからさ。
商人からすれば、
大義名分も無しに、
他国へ攻め込む戦闘狂だからね、
ネトウヨ君は。
その彼がいなくなってしまえば、
平和な世の中に戻ってしまう。
まあ、
真田しかいないだろう。
たぶん、
真田の作戦はこうだったのだろう。
まず、
目的だが。
ネトウヨ魔王が、
私の国へ攻めて来るので、
それを阻止したい。
これは、
間違いない。
そのための方法は、
1
軍隊が使えないので、
工作員を送り込むしかない。
2
工作員に狙わせるなら、
ネトウヨ魔王のコアか?
それに、
うってつけなのが、
冒険者の盗賊のスキル持ち。
3
冒険者は自由都市にいるので、
ドワーフを籠絡する
と言って、
立ち寄る。
4
ドワーフを酒で釣る
ことにして、
酒を集める。
この酒は、戦後の妬み対策に使用。
5
ドワーフを籠絡する目的は、
つるはしにする。
このお陰で、
つるはしが大量に集まり、
戦争に間に合う。
6
コア破壊に成功。
まあ、
こんなところだろうか。
うーむ、
それにしても、
困ったねえ。
完全に、
真田に、
おんぶに抱っこ
状態になっている。
親父に裏切られたら、
全てが崩壊してしまう。
なんとかして、
対抗策を考えねば。
やはり、
英雄召喚をやりまくって、
真田に匹敵する人物を登用するしかないのか?
一応、
勇者達に確認してみると、
彼らは、
全員、
盗賊のスキル持ち
だった。
ダンジョン内で、
宝箱探しを専門にやっていた
パーティーらしい。
戦闘は、
あまり得意ではない
そうだ。
勇者になれた恩恵だが、
元々、
素早さ、賢さ、器用さ
といったものが高かったので、
魔法を得たらしい。
女が回復系で、
男が攻撃系、
風、炎、氷の三人だ。
盗賊プラス僧侶、
盗賊プラス魔法使い
といった感じだ。
ところで、
真田の親父の策略によって、
滅ぼされたことを知ったら、
ネトウヨ君は、
私を恨むのだろうか?
彼が生きていれば?
の話だが。
まあ、
一応、秘密にしておこう。
共産主義魔王
滅亡まで、あと十四日。