新たな戦い
時間が無かった。
早く、
つるはしゴブリンを城から出して、
素材だけでも回収させないと。
城の門を開けて、
木の橋を降ろしている暇はない。
ゴブリン達を、
次々に、堀へ飛び込まさせた。
つるはしを持たせたまま。
泳ぎ切ったゴブリン達は、
何とか、
素材の方へ向かってくれた。
戦場泥棒達の姿は、
まだ見えない。
間に合ったのか?
結論から言うと、
戦利品は全て回収出来た。
ハイエナ共がいなかったわけではない。
彼等は皆気絶していたのだ。
全ては、
ネトウヨ君のお陰だった。
ネトウヨ君が、
鉄の装甲を誇示するために、
魔物を落とし穴に突撃させてくれたので。
あの咆哮に、
人間は耐えられないらしい。
あの時は、
エルフの弓隊が全滅してしまい、
もう、
ダメか?
と、半分諦めたのだが、
何故か、
ラッキーになってしまった。
戦場泥棒達も、
あれに、やられたらしい。
隠れたまま、意識を失っていた。
そのお陰で、
全品回収出来た。
それどころか、
ハイエナ達が用意してきた、
荷車や馬車まで。
中には、
見知った商人の紋章が付いた
馬車まで有った。
私に見つかる
とは思ってもみなかったのだろう。
結局、
現時点での戦利品は。
泥棒達の荷車 39台。
馬車は、
ネトウヨ軍とハイエナで、26台。
同じく馬 52頭。
捕虜は、
敵軍の御者と泥棒で、 百人以上。
スコップは、 約五百。
そして、
数えられないのが、
魔物の素材と兵糧と金。
敵軍の馬車の中身は、
兵糧だとばかり思っていたが、
莫大な金も入っていた。
あと、
黒髪の若い男も、椅子にもたれて眠っていた。
たぶん、
ネトウヨ君だと思う。
結果的には、
私は大儲けをしてしまった。
戦争で儲ける
という奇跡が起きた。
全ては、
ネトウヨ君のお陰。
今となっては、
そういうことだろう。
やはり、
戦闘をしなかったのが、
皮肉なことに、
勝因のようだ。
戦えば、
自軍の被害は、
凄まじいものになっただろうし、
戦利品の魔物の素材も、
壊れていたハズ。
それに、
ネトウヨ君のコアが破壊される前に、
負けてしまえば、
私が死んでいた。
ネトウヨ君のコアが破壊された件だが、
これは、
ほぼ、
間違いないだろう。
魔物が素材に戻っているのだから。
何が起きたのか?
誰がやったのか?
全くわからない。
ネトウヨ君が目覚めたら、聞いて見よう。
これはギャンブルに勝ったようなものだ。
現実の博打で、
例えば、
競輪や競馬で大穴を当てた時、
一緒に行った友人に、
酒や食事をご馳走するのが、
普通である。
中には、
ご祝儀と称して、
お金を配る場合もある。
ゴルフとかでも、
ホールインワンを達成したら、
金銭的利益を得ていないのに、
かなりの額を散財しなければならないらしい。
これらは全部、
妬み対策である。
人間の行動原理は、妬み。
リアルが充実している人を妬むのは、
なにもネトウヨだけに限った話ではない。
人間なら、誰でもする。
これの恐ろしいところは、
本来なら自分を応援してくれる立場の人間、
身近な人達が、
敵に回ってしまうことである。
四面楚歌などという、
生易しい状況ではない。
戦争で生き残ったのは、
隠し様が無いが、
利益を得たことは、
絶対に知られてはならない。
ネトウヨ軍は、撤退したことにしよう。
その後の事は、知らない。
そして、
隠し事をしている
と悟られないように、
大々的に祝勝会を開いて、
わざと目立とう。
大穴を当ててしまった私は、
領民からも妬まれるのだろうから、
その対策にもなる。
真田の親父が、
酒を大量に用意しておいてくれたので、
それを放出してしまおう。
真田の提案だから、嫌だけれど。
真田?
もしかして?
真田の親父は、
これを見越して、
祝勝会を開こうと言って来たのか?
酒に興味が無い私のところへ、
わざわざ酒を持ってきたのも変だし?
はは、まさか!
考え過ぎだって!
でも、
あの親父、怖い。
共産主義魔王
滅亡まで、
長い一日が、やっと終わる。




