反則の二日後
敵がやっと見えた。
私の城の南側は、平地になっているので、
遠くまで視界に入る。
待望の敵軍が、
やっと、
登場してくれた。
おかしな話だ。
戦争なんて、したくはないのに。
敵が来てくれて、
こんなに嬉しいとは!
あまりにも、待たされ過ぎた。
昨日は限界だった。
イライラして。
そんな中、
西太后が、
土方歳三を連れて、
やって来てくれた。
さすが、
皇帝の妃に選ばれただけのことはある。
気が利く女だ。
私の気を紛らわしてくれる
つもりだったのだろう。
でも、
申し訳ない事に、
二人のことは、
すっかり忘れていた。
私が英雄召喚をして、
異世界に呼び出したのだが。
西太后の話は、
弓隊について、だった。
エルフの奴隷を、
弓隊にするという名目で、
売春婦から解放することになっていたのだが、
これも、
放置していた。
すいません。
本当は、忘れていました。
弓隊は、
戦わせるつもりは全くなく、
戦争が終わったら、
すぐに解散させる予定だった。
作った理由は。
北側
川
堀 城 堀
堀 堤防 堀
川堀 堀 堀 堀
落とし穴 川
西
側 堤防 川
堀の周りに、
落とし穴を作って、
そこに、
竹やりを仕込んでおいたのだが、
ネトウヨ君なら、
当然、
警戒するだろう。
その時に、
手先の器用な人間を使って、
竹やりを切らさせるんじゃないかな?
それを牽制するためだけに、
弓隊を準備しようかな?
と思ったのだけれど。
弓を買い与えることもなく、
そのままに、
していたら。
西太后の報告によると、
弓は、
エルフ達が、
自力で作ったらしい。
エルフとは、
元々、弓を扱う種族なので、
お手の物なのだとか。
敵軍の到着が遅れたので、
装備が、
かなり充実した
と、
喜んでいた。
さすが、西太后。
何事もプラス思考だ。
土方歳三のほうは、
「策が有るから、兵を与えてくれ!」
と、
言い出すかと、思ったが、
肥料の話題しか、
しなかった。
そうだよな。
戦争で負けて死んだんだもんな。
もう、
二度と、
戦争と係わり合いを持ちたくないだろう。
彼の二度目の人生は、
一度も人を殺すことなく、
ただの農夫で終わらせてあげたい。
そんなことを考えながら、
敵を眺めていた。
そして、
気付いてしまった。
距離が離れていて、
ハッキリとしたことは言えないが、
敵軍が多過ぎるような。
魔物の素材的には、
私の三分の一くらい
と予想していたのに。
遠目ながら、
大型の魔物が、
十体以上いる。
こんな事が有るのか?
例えば、
つるはしゴブリンの五倍の高さだと、
5の3乗は125なので、
それだけで、
つるはしゴブリン125体分の素材が必要で、
巨大化の素材や、
装甲の素材も含めると、
300体くらいの素材を使ってしまう。
それが、
十体いるだけで、
私のところと、
あまり違わない。
でも、
もっと嫌なことが有って。
敵軍は、
どうも、移動していないらしい。
ここにきて、
まさかの心理戦?
ネトウヨ君は、
私を焦らして、
城から討って出るのを、待っているのか?
つるはしは、
高い所から振り下ろせるように、
どうしても、
使いたい。
平地で戦わせるわけには、
いかない。
もしかして、
遅れて、やって来たのは、
これが目的だったのか?
私が、
しびれを切らして、
城から、
おびき出されるように。
いやらしい。
いやらし過ぎる。
ネトウヨっていうのは、
現実について行けないだけで、
根は、
良い奴じゃなかったのか?
そんなことを妄想していたら、
敵軍の後ろに、
巨大な影が見えた。
共産主義魔王
滅亡まで、
反則の、
一日は、まだ終わっておりません。




