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人切り野間

 今日は、

道糞がやって来た。


 従者を連れて来ていたので、

話を聞いてみると、

魔王だった。

それも、

西国に新しく出来た国連の総長の。


 なんと、

その新国連の総長は、

道糞と、

竹刀で試合をして勝ったらしい。

その竹刀は、

道糞と勝負するために、

その国連総長が、

自ら考案したものだそうだ。


 前世の知識を活かして、

怪我をしない様に。


 そう。


 その新国連総長は、

前世の日本では、

剣道経験者だった。

前世の日本の剣道は、

実戦とは、

全くの別物だが、

魔王の強靭な肉体が、

本気になって戦えば、

人間では、

勝ち目が無いようだ。


 私も、

前世では、

中学の時に、

剣道をしていた。

だから、

この異世界では

剣を持たない。


 人を切りたくなっちゃうから。


 その人が、

憎いとか、

嫌いだとか、

間違っているとか、

犯罪者だからとか、

そんな普通の理由では無くて、

ただ単に、

人が切りたい!


 人が切りたい!


 だから私は、

平和主義者なのだ。

軍隊を持ったら、

戦争がしたい。

専守防衛なんて、

真っ平御免なのだ。


 この新国連総長も、

同じ気持ちだったようだ。


 でも、

『聖なる剣』の噂が、

商人達からもたらされると、

その誘惑に、

勝てなくなって。


 確かに、

攻撃力、防御力、素早さ、HP、

これらの各能力が高く、

剣道の技術力を誇る魔王が、

自動修復機能と自動回復機能を持った

『聖なる剣』を装備すれば、

最強の様に、

思われるが。


 実戦と剣道とは、

根本的に異なっていて。


 例えば、

返り血対策。


 人間が、

人間の血を浴びれば、

病原菌の問題が。


 アニメの様な

お子ちゃまの世界では、

敵の血が付いた剣を舐めたりするけど。


 現実には、

前世の医療の世界では、

例えば、

採決のために針を人体に刺す場合など、

患者の血を扱う時には、

医療従事者は、

眼鏡やゴーグルで目を守り、

ゴム手袋をして、

手の小さな傷から、

感染するのを防いでいた。


 たぶん、

いくら強くて、

自動回復機能が有っても、

大量に敵を倒せば、

その返り血で、

病気に。


 って言うか、

その前に、

返り血自体が、

気持ち悪いんですけど。


 でも。


 その新国連総長は、

剣道をしていた時に目指していた

最強を求めて。


 『聖なる剣』の材料の

魔王のコアを探しに、

東国への遠征を決断した。


 そして、

商人達の誘導に乗り、

西日本連合とその対立組織の和解に奔走し、

新国連を立ち上げ、

初代総長に立候補し、

東征の先頭に立った。


 つまり、

新国連軍は、

すでに、

道糞朝鮮帝国へ、

到着している。


 やっぱりなあー。

こんな展開だと、

思っていたよ。

私が知らない内に、

話がドンドン進んでいる。


 その新国連総長は、

「野間です」

と、

表敬訪問しに来た。


 そして用件は。


 魔王業廃業の予約だった。

六名分の。


 十五日前に発生した

大地震に伴う津波の

被災コア数『6』に合わせて、

出陣魔王数も、

6に制限したのだそうだ。


 まあ、

『聖なるシリーズ』は、

最大で6しか手に入らないから、

適切な判断か?


 さて、

その新国連軍の陣容だが。

道糞の報告では、

馬車隊らしい。

荷馬車部隊の周りを、

馬に乗ったゴブリン部隊が、

護衛しているのだそうだ。


 たぶん、

他の魔王達も、

魔物を元の素材に戻す技術に、

気付いたのだと思う。

大型魔物は、

自力歩行させるよりも、

一旦、

素材に戻して、

荷馬車で戦地まで運び、

戦闘状況次第で再生させ、

戦力化して、

投入した方が、

移動時間も少なく出来るし、

当然、

経費もかからず、

戦果も上げられるから。


 共産主義魔王、

異世界の魔王数、残り四十七?





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