戴冠式
今日は、
道糞の王位就任式が、
挙行された。
一昨日、
道糞から、要請が有って。
式は、
私の城の南側、
勇者の剣の前面に広がる
平地で行われた。
勇者の剣は、
道糞の力の源と、
なっている。
この異世界は、
未発達な資本主義社会なので、
親の財産を継げなかった者は、
一生、
浮き目を見ることは無い。
自分の力で、
のし上がって行けるのは、
道糞の様な、
限られた存在だけ。
そんな資本主義社会で、
唯一、
無料で引ける宝くじが、
この、
勇者の剣なのだ。
人生、
一発逆転を賭けて、
様々な人達が、
勇者の剣を、
訪れる。
その人達を吸収して、
発達していくのが、
道糞の浮浪者軍。
その、
勇者の剣は、
ソ連城の南堀の外堤防上に、
鎮座している。
残念な事に、
私の城は、
ソ連城と、
呼ばれる様になってしまった。
まだ、
クレムリンよりかは、
マシなのか?
その堤防は、
平野部分よりも高いので、
よく目立つ。
道糞が、
そこで、
王冠を頭に載せてくれ、
と、
私に言って来た。
でも、
魔女王に丸投げしておいて、
正解だったよ。
彼女は、
今度建設する
国連の代表者に、
急遽、
決まった。
その彼女が、
新国王に、
王冠を載せる。
つまり、
国連の初代総長の
お披露目も、
兼ねているのだ。
国連総長が、
道糞の王位を承認し、
後見人として、
王位を授ける。
そういう形式にした。
私は、
道糞と、
平和友好条約を結んでいるだけで、
常に、
対等な関係だ。
そもそも、
私は、
道糞の上に立てる様な
器では、
無い。
もし、
この異世界を統一出来る
英雄が居るとすれば、
それは、
道糞だと思う。
ゴブリンの勇者は、
器的には、
道糞を凌ぐだろうが、
なにしろ、
野心が無い。
それに、
魔物将軍に、
されちゃているし。
でも、
最短コースに居るのは、
間違いなく、
魔女王だ。
魔物軍を操れるし、
道糞の上司の
国連総長に就任している。
ただ、
その国連の平会員は、
道糞しか、
いないが。
魔女王は、
気付いていないけど、
私は、
当然、
国連には、
加盟していない。
彼女にバレたら、
「赤帝様が関わると、
日本人ウケしないから」
と言って、
ゴマかすつもりだ。
表面上は、
彼女との関係は、
良好である。
でも。
どう考えても、
彼女は、
ゴブリンの勇者に惚れている。
今日の式典でも、
彼女は、
誰かを探していた。
しかし、
見つけられなくて。
浮かない顔をしていた。
さすがに、
「タカアキラー様が、
何処に、
いらっしゃるか、
ご存知ありません?」
と、
私に尋ねる様な、
無神経な事は、
しない。
私も、
異世界に転移して来て、
魔王になったからには、
女に、
権力や財産を狙われるのは、
仕方がないだろう。
寂しいけど。
チャンスさえ有れば、
女は、
誰でも、
野心を剥き出しにする。
でも、
他に、
好きな男がいれば。
ゴブリンの勇者が好きなのに、
魔女王は、
私のところへ、
毎日、
やって来る。
この現象を、
希望的観測を除いて、
シビアに考察すると。
三つの条件が、
浮かび上がる。
簡単、確実、早い。
この三つが、
最低でも、
揃っている事を、
意味する。
例えば、
彼女の狙いが、
私の財産なら。
楽に、
私の財産を利用出来て、
それは、
失敗すること無く、
しかも、
欲しければ、
すぐに手に入る。
こういう状態が、
すでに、
出来上がっている
と、
彼女は、
判断しているだろう。
一つでも、
条件が欠けていれば、
女は、
好きな男の方へ。
私に残された
時間は、
あまり無いようだ。
共産主義魔王、
異世界の魔王数、残り六十七。




