六話〜好意〜
「お兄ちゃん、お腹空かない? 」
ソファーに座ってワイドショーを観ていると、遥がそう聞いてきた。
「うん、お腹空いたよ。 そろそろお昼だね」
部屋の時計を見てみると、針が11時50分を指していた。
「了解だよ。 じゃあ今からお昼ご飯作るね」
遥はそう言ってエプロンを付けて台所に立った。
僕は椅子に座って料理が出来るのを待つ。
10分程待つと、遥が料理を持って来た。
「出来たよ。 召し上がれ」
遥が作ってくれた料理はオムライスだった。
真ん中にはケチャップでハートマークが描かれていた。
「遥……これは? 」
僕は恥ずかしがりながら遥に聞いた。
「えへへ、お兄ちゃんへの愛情たっぷりだよ」
遥が両手でハートマークを作りながら照れる。 正直言って滅茶苦茶可愛い。
料理も上手で容姿も良いのに、何故彼氏が居ないのか不思議な位だ。
「ほら、早く食べないと冷めちゃうよ。 食べて食べて」
「うん、頂きます」
僕はオムライスをスプーンで一口大に切って、口に運んだ。
「美味しい……」
卵はトロトロの半熟で、ご飯と混ぜられたケチャップは程良い量で酸っぱ過ぎず、鶏肉は一口噛むと肉汁が口の中に溢れ出た。
正直僕は遥に対してお金を支払っても良い。
そう思える程の完璧なオムライスだった。
「うふふ、喜んで貰えて良かった。 私も頂きます」
遥も自分の分のオムライスを口に運ぶ。
「うん、美味しく出来てるね。 良かった」
遥も満足した様だ。
僕達はあっという間に平らげた。
「ご馳走様でした」
食べ終わりお皿とスプーンを流し場に持って行く。
「遥、僕が洗うからゆっくりしてて良いよ」
「うん、お兄ちゃん有難う」
遥がソファに座ってテレビを観る。
僕の家のルールは遥が部屋の掃除と料理、食料等の買い出しをして、食器とコップの後片付けは僕がやると言うルールだ。
洗濯と風呂掃除、ゴミ捨ては父さんがやっている。
母さんが居なくても、こうして三人で協力し合って生活出来ている。
僕はとても幸せだ。
「よし、後片付け終了」
僕は後片付けを済ませて、遥の居るソファへ向かった。
「お兄ちゃん、お疲れ様」
「うん、有難う」
お礼を言って遥の隣へ座る。
「ねぇ……お兄ちゃん。 ちょっと聞きたい事が有るんだけど……良いかな……? 」
遥が顔を赤くしながら僕に聞いた。
「うん、どうしたの? 」
「私ね……お兄ちゃんの事が……どうしようも無い位に……大好きなの……」
僕は実の妹からの告白に言葉を失った。
「私達は兄と妹の関係だから好きになっちゃダメなのは分かってる……」
成る程……。そうだったのか……。
「遥は料理も上手で可愛いのになんで彼氏を作らないんだろうって思ってたんだけど、彼氏を作らないのはそれが理由なの? 」
僕は照れながら遥に聞いた。
「理由は他にも有るんだけど一番の理由はそれだよ……」
「そっか……」
遥の顔を見ると、恥ずかしさと告白してしまった恐怖で今にも泣いてしまいそうな顔をしていた。
「遥……」
僕は遥を抱き締めた。
「お兄……ちゃん……」
「ごめんね……。僕が遥を……苦しめていたんだね……」
「ううん……そんな事ないよ……。お兄ちゃんには光先輩が居るって分かってて……大好きになっちゃったから……」
「遥……隠し事しててごめんね……。 光ちゃんとは……春休み中に別れたんだ……」
僕は泣きながら遥に本当の事を話した。
「そう……なんだね……。 グスッ……別れを切り出したのは……光先輩から……? 」
「そうだよ……。理由を聞いたけど泣いて僕を抱き締めて話してくれなかった……」
「そっか……」
遥も泣いていた。
「好きになっちゃって……本当にごめんなさい……」
「遥のせいじゃない……。僕が……」
「悪かった」 そう言おうとした時だった。
「んっ……」
遥が僕の唇にキスをした。
「お兄ちゃんは悪くないよ……」
「じゃあ遥も悪くない……。 自罰的になるのは止めて……? 」
僕も遥の事が好きだ……。でもそれは妹としてであって、一人の女性としてと言う意味ではない……。
「うん……分かったよ……。 有難う……」
遥が強く僕を抱き締める。
「お兄ちゃんから……キス……して……? 」
「え……? 」
「それで全部……無かった事にするから……。 私に隠し事した事も……」
「遥……」
僕は右手で遥の頭を撫でて、唇にキスをした。
「お兄ちゃん……。有難う……」
「うん……。遥、話してくれて有難う」
僕達は体を離すと、お互いに手を握り合って眠りに就いた。
六話終了です。
遅くなってしまい申し訳御座いませんでした。m(_ _)m




