六十四話〜カーブの特訓〜
非常に遅れてしまいすみません
今回は長野視点です
明けましておめでとう御座います
今年も宜しくお願い致します
7月10日 (火)16時
息を切らせながら、俺はグラウンドへ走って向かう。
もう白山が来ているかも知れないからだ。
グラウンドに着き、辺りを見回す。
星野キャプテンの隣に白山が居た。
「あっ! 長野君! 」
俺に気付いた白山が駆け寄って来る。
折角今日から変化球を教えて貰うのに、遅れて来て申し訳なく思った。
「ごめん白山! 待たせたか? 」
俺は頭を下げた。
「ううん。私も少し前に来た所だから大丈夫だよ」
白山はそう言うとにっこりと微笑んだ。
きっと天真爛漫とは白山の様な女性の事を言うのだろうな。
休み時間に白山と話していると、自然と笑顔になれる。
「本当か? 有難う」
「えへへ、どう致しまして。それじゃマウンドに行こっか」
「ああ」
マウンドに一緒に向かう途中、ふと星野キャプテンの居る方をチラッと見た。
俺と白山に気付くとバットを振る手を止め、そっと微笑んで手を振ってくれた。
俺と白山はキャプテンに礼をする。
事前に緑川先輩に事情を話すと快く協力してくれた。
「長野君、じゃあ始めよっか」
「宜しくな。白山」
白山が隣に立つ。
「えっとね……。まずはストレートを投げる時の握りにして」
「了解」
言われた通りに握る。
「そしたら、人差し指をボールの縫い目に沿う様に掛けてみて」
「こうか? 」
白山に見せる。
「少しだけだけどズレてるね」
白山はそう言うと俺の人差し指に触れた。
「あ……」
思わず声が出てしまった。
凄く繊細で柔らかな手だった。
ずっと触れていて欲しい位に心地良かった。
「どうしたの? 」
不思議そうな顔で俺を見る。
「い……いや、何でもない。気にしないでくれ」
照れ顔を見られたくなかったから、そっぽを向いてそう答えた。
顔を見るのが滅茶苦茶恥ずかしい……。
「ハハッ……。長野、お前なーに照れてんだよ? 」
緑川先輩が茶化して来る。
「い……いえ……」
「もー! 緑川先輩っ! 茶化さないで下さい! 」
そう言う白山も少し怒りながら照れていた。
「悪い悪い。お前ら二人は仲良いなと思ってさ。ミット構えてっから早く投げてくれ」
先輩は少し悪戯っぽい表情でそう言った。
「次はボールを浅く持って、手首を使わずに軽く握ってみて? 」
「分かった」
言われた通りにボールを握る。
「そうしたら、人差し指と親指からボールを抜く様にして投げるんだよ」
「緑川先輩、行きますよ! 」
「おう! 」
緑川先輩のキャッチャーミットに向かって投げる。
シュッ……ポスッ……
「先輩、曲がりましたか? 」
「ダメだ、全然曲がってねー。スローボールみたいな感じだぞ」
「そんなぁ……」
白山がとても残念そうな顔をする。
諦めずにその後も10球程投げてみたが、曲がる事は無かった。
「すぐに投げれる様になるのは難しいからそんな顔すんなって」
先輩がフォローする。
「先輩の言う通りだ。滅茶苦茶練習して投げられる様になるから心配しないでくれ」
白山にそう言った。
「えへへ……。そうだよね! 私も結構頑張って投げれる様になったから! 」
すぐに明るい笑顔になる。
チームと白山の為に絶対に投げれる様になってやる!
俺はそう心に決めた。
白山と緑川先輩に礼を言う。
すると白山が少し恥ずかしがりながら言った。
「どう致しまして。長野君は天才だからすぐに投げれるんじゃないかって思ったんだ……」
「白山……。俺は天才なんかじゃない。俺が居た朝乃宮はとてもレベルが高い中学だったんだ」
「じ……実はね……。長野君に聞きたい事が有るんだ……」
何故か怯えた表情になる白山。
「白山、どうしたんだ? 」
「あ……あのね……。二つ上の先輩に神代彰って言う人が居なかった……? 」
震える声で言葉を紡ぐ。
「あー……。俺が一年の時にエースだった先輩だな……」
神代先輩は物凄く実力の有る人だった。
エースで4番だったな。
唯一欠点が有るとすれば、捕手のリードを全く信用しない先輩だった……。
「やっぱり……。私の事は何か言ってなかった? 」
どうして白山は、神代先輩の事を聞いて来るんだ?
とても気になってしょうがない。
「別に白山の事は聞かれた事は無いけど……。どうしたんだ? 何か有ったのか? 」
俺がそう聞くと、今にも泣きそうな顔をしながら言った。
「実はね……。私の大嫌いな人なんだ……」
先輩が白山と知り合いだったのか…?
頭が混乱してくる。
「付き合ってたのか……? 」
恐る恐る聞いてみる。
「違うの……。私の従兄弟だよ……」
「え……? 」
俺は雷に打たれた様な衝撃を受けた……。
最後まで読んで頂き有難う御座いました
次回まで長野視点です




