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六十話〜渡しそびれたプレゼント〜

大変遅れてしまいすみません。

 



 「カケちゃん、ちょっと遥ちゃんの部屋に行って来るね」


 僕の部屋の前で立ち止まった光ちゃんは何かを思い出したかの様にそう言った。


 「良いけど……。どうしたの? 」


 そう聞くとウインクをしながら人差し指を唇に当てた。


 「それは秘密。行って来るね! 」


 女の子同士の会話だろうか?


 「了解だよ。行ってらっしゃい」


 僕はそう言って光ちゃんを見送った。



 ⭐︎光視点⭐︎


 「遥ちゃんに誕生日プレゼント渡してなかったな……」


 高一の時からずっと遥ちゃんに誕生日プレゼントをあげていた。


 今年は高校最後の年なので部活や進路の事等で忙しく、中々時間を作れなかった。


 本当に申し訳無く思う。


 遥ちゃんの事はカケちゃんと同じ位大切に思っている。



 そんな事を考えていると遥ちゃんの部屋の前まで来た。


 私は扉をノックした。


 「は〜い」


 遥ちゃんの声が聞こえて扉が開いた。



 「光先輩、どうしたんですか? 」


 驚いた表情の遥ちゃん。


 いきなり私が来たから無理も無いだろう。


 「ちょっと遥ちゃんに話が有るんだけど、今大丈夫かな? 」


 「はい。暇だったので大丈夫ですよ」


 そう言うと遥ちゃんは笑顔で私を部屋に入れてくれた。


 部屋の中は昔とほぼ変わっていない気がする。変化した所と言えばぬいぐるみ等が増えている位か。


 私が今までにあげた物もちゃんと大事に飾ってくれていた。


 「遥ちゃん、誕生日おめでとう! 今年はプレゼント渡すの遅れちゃってごめんね」


 私は遥ちゃんへのプレゼントを渡す。


 実はこの間カケちゃんと一緒に雑貨屋に行った時にこっそりと買っておいたのだ。


 「お気になさらないで下さい。有難う御座います! 開けても良いですか? 」


 嬉しそうな表情の遥ちゃん。


 「うん、良いよ」


 私がそう言うと、遥ちゃんは小箱を開けた。


 星型のツインテール用リボンを見た遥ちゃんはとても喜んでくれた。


 「光先輩凄いです! 丁度新しいリボンが欲しいなと思っていた所なんですよ」


 「そうだったんだ。喜んでくれて良かったよ」


 気に入ってくれて嬉しい。


 「有難う御座います! 毎日付けますね」


 「ふふ、どう致しまして。じゃあね」


 私はそう言って遥ちゃんの部屋から出て、カケちゃんの部屋に戻った。



 ⭐︎翔視点⭐︎


 ベッドで横になっていると、光ちゃんが戻って来た。


 とても嬉しそうな表情だ。


 「ただいま! 」


 「お帰り、光ちゃん。何だか嬉しそうだね」


 「ふふっ、遥ちゃんに誕生日プレゼントを渡したよ」


 「そうなんだ。プレゼントを買ってたんだね」


 「うん。この間連れて行ってくれた雑貨屋さんで買ったんだ」


 恐らく僕が光ちゃんの誕生日プレゼントを選んでいる時に買ったのだろう。


 「成る程ね。何をプレゼントしたの? 」


 僕がそう言った時、部屋のドアが開いて遥が入って来た。


 「お兄ちゃん、光先輩! 見て下さい! 」


 そう言われて遥を見ると、見覚えの無い星型のリボンを付けていた。


 「遥ちゃん、とても良く似合ってる! ほら、あのリボンだよ」


 光ちゃんがリボンを指差して言う。


 「成る程、光ちゃんはセンスが良いね。遥にピッタリだ」


 僕達がそう言うと、遥は喜んでお礼を言って自分の部屋に戻って行った。


 遥が部屋を出て少し時間が経った時。


 「カケちゃん、夜空を見ようよ」


 光ちゃんがそう言った。


 天の川が見たいのだろう。


 「うん。良いよ」


 そう返事をしてベランダへ続く窓を開け、一緒に空を見た。



 雲一つ無い満天の星だった。天の川がはっきり見える。


 「すっごく綺麗だね……。神様からのプレゼントかも……」


 感動しながらそう言う光ちゃん。


 「そうだね。でも光ちゃんの方がもっと綺麗だけど」


 僕がそう言うと赤面しながら顔を隠す。


 とても可愛い。


 「織姫と彦星は一年に一度しか会えないけど……」


 顔を隠しながら話す光ちゃん。


 「うん……」


 「私達はずーっと一緒だからね……」


 そう言う光ちゃんの顔からは涙が溢れていた。


 「光ちゃん……どうして泣いてるの? 」


 僕は驚きながらそう聞いた。


 「うぅ……一度別れて色んな事が有ったけど……カケちゃんは許してくれた……」


 「光ちゃん……」


 僕は泣く光ちゃんの頭を優しく撫でながら話を聞く。


 「……っ、色んな人達にも……迷惑掛けちゃって……」


 「白山さんとか? 」


 「うん……。カケちゃんを盗られたくなくて……ついあんな事言っちゃった……」


 「そうだったんだね……。大丈夫、ちゃんと謝れば白山さんはきっと許してくれると思うよ」


 光ちゃんの顔をしっかり見ながら言う。


 「そうだね……有難う……。今度会ったら白山さんに謝るね……」


 「どう致しまして」


 僕がそう言うと、彼女は僕に抱き付いて思いっ切り泣いた。


 「……何で……だろ……泣いちゃダメなのに……っ、……! 」


 「どうしても苦しい時や悲しい時は泣いても良いよ」


 僕は光ちゃんの頬に優しく触れる。


 「カケちゃん……」


 「ずっと耐えると(つら)くなるからね」


 僕は光ちゃんの唇にキスをする。


 「んぅ……」


 少し吃驚しながら光ちゃんも応えてくれた。


 「ねぇ……。もう一つプレゼントが欲しいんだ……」


 「どうしたの? 」


 僕がそう聞くと、嬉し涙を浮かべながら光ちゃんは言った。


 「ずっと一番大好きなカケちゃんとの……家族の証……」


 「光ちゃん……」


 僕達はその日、恋人から家族になった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

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