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五十四話〜父さんの話〜

長らくお待たせ致しました

 



 あれから20分程、僕の部屋で色々な事を話した。


 会話の内容は将来の事や部活の大会の事などだ。


 光ちゃんは僕と一緒にマンションを借りて同棲する様だ。


 大学には進学しないのかと聞いたが、『大学よりもカケちゃんが大事! 』と言った。


 そう言ってくれるのは嬉しいけど、光ちゃんは足が速いのだから陸上が強い大学でもっと才能を伸ばして、プロの陸上選手になって欲しいなと思っている。


 僕がプロ野球選手になる事を伝えると、『カケちゃんならきっとなれるよ! 』と言って励ましてくれた。


 プロに行けなくても大学で野球を続けるつもりだ。



 僕達は今、リビングに向かっている。


 ガチャ……


 扉を開くと、ソファに父さんが座っていた。


 「こんにちは、お邪魔してます……」


 父さんに会釈をしながら、少し恥ずかしそうに光ちゃんが挨拶をした。


 「おお! 光ちゃん、いらっしゃい! 翔と復縁してくれて有難う」


 嬉しそうに父さんはそう言った。


 「いえいえ、お礼を言うのは私の方です。カケちゃんのお父さんも私がカケちゃんと復縁出来る様に協力して下さったんですよね? 」


 「何だ、知っていたのか」


 「はい、さっきカケちゃんの部屋でお話しした時に教えてくれました」


 僕を見てウインクをする光ちゃん。


 「光ちゃん、君に聞いておいて欲しい話が有るのだが……」


 突然暗い表情になる父さん。


 「どんなお話しですか? 」


 少し驚いた表情をしながら、光ちゃんは言った。


 「多分翔はこの話を君にしていないと思う」


 「俺が話す事で、光ちゃんは嫌な気分になってしまうかも知れない……」


 「……」


 光ちゃんは何も言わずに、僕の手を握りながら目を閉じている。


 「それでも聞いてくれるかな? 」


 暫くの間、静寂が流れる。


 「はい……。覚悟は出来ました」


 光ちゃんは、真剣な眼差しで父さんを見ながらそう答えた。


 あの事か……。


 僕はもう何の事か予想は付いていた。


 「光ちゃん、有難う。この家には母親が居ない事は知っているよね? 」


 「はい……」


 「まだ翔が4歳の時に、元妻が他の男と浮気をして家を出てしまってね……」


 「そうだったのですか……」


 驚きの表情を隠せない光ちゃん。


 「ああ……家出をして一ヶ月後位かな。元妻が離婚届を送って来たんだ」


 「カケちゃんのお父さんはその時、どうしていらっしゃいましたか? 」


 「勿論直ぐに書いて送ったよ。イライラしていたからね」


 「勝手に浮気をして、カケちゃんと遥ちゃんとカケちゃんのお父さんを捨てるなんて最低な人だったんですね……」


 光ちゃんの声に怒気が篭っている。


 「離婚届は直ぐに受理されて翔と遥の親権は俺に渡ったよ」


 「今は何処に住んでるか分からないのですか? 」


 「全く分からないな。だが交通事故を起こし、女性を死亡させて服役したと風の便りに聞いた事が有る」


 父さんのその言葉を聞いて僕は背筋が凍った。


 とても嫌な予感がする。


 アイツが先輩のお母さんを……?


 光ちゃんの手を握っている右手の力が段々抜けて行く。


 放心状態になりそうだ。


 「そうなのですか……。本当なら益々許せないですね……」


 「だろう? 暗い話をして済まなかったね。光ちゃんには一つだけ約束をして欲しいんだ」


 「お気になさらずです。どんな約束でしょうか? 」


 「翔一筋で浮気をせずにずっと一緒に居てあげて欲しいんだ」


 「そんな事お安い御用ですよ! 卒業したら結婚してって私からプロポーズしましたから。ねっ! 」


 至福の表情をしながら僕に抱き付く光ちゃん。


 急に抱き付かれて僕は我に返った。


 「う……うん……。父さん、卒業したら光ちゃんと同棲するよ」


 「了解だ。光ちゃん、翔の事を宜しく頼む」


 「任せて下さい! 私そろそろ帰りますね。お邪魔しました」


 光ちゃんはそう言うと、父さんにお辞儀をしながら玄関に向かった。



 僕も一緒に付いて行く。


 「カケちゃん、またね! 」


 「うん、また明日学校でね! 」


 靴を履いて帰ろうとする光ちゃん。


 「あっ、忘れ物しちゃった……」


 「え? 」


 チュッ……


 光ちゃんが僕の唇にキスをした。


 

 

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