三十話〜最悪な鉢合わせ〜
PV32000超え、ユニーク6800になりました!
読んで下さって有難う御座いますm(_ _)m
執筆の励みになります!
「……有難う……。もう大丈夫……」
落ち着きを取り戻した先輩が言った。
「良かったです」
「……翔に話して……本当に良かった……」
こんな僕でも先輩の役に立てたんだな。
「お役に立てて嬉しいです」
「……翔……」
先輩の手が僕の頬に触れる。
「先輩……? 」
「……んっ……」
チュッ……
頬にキスをした。
その時、ドアが開いた。
ガチャリ……
「麗奈……ただいま」
男性と目が合った。
恐らくこの人が先輩の父親だろう。
ヤバい……。
「あの……これは……違うんです……」
先輩はまだ目を閉じてキスをしている。
「何が違うと言うのだね? 私の可愛い一人娘を君は誑かしたのか? 」
「い……いえ……。せ、先輩……助けて下さい」
僕は先輩に助けを求める。
だが――
「……ん……。こんな事して……蒼井さんには悪いけど……」
希望は簡単に打ち砕かれる。
「私の娘から離れろぉぉぉ!! 」
怒号が飛び交った……。
「……お父さん…それは違う……。……翔は私を誑かしてなんかしていない……」
我に返った先輩が必死に弁明してくれる。
「だがお前は、この少年にキスをしていたじゃないか」
「……あれは……私の話を聞いて慰めてくれたから……」
「話? 何の事だ? 」
「……実は……」
先輩が僕に話した内容を伝える。
「な……何? お前……あの事を話したのか? 」
先輩の父親の顔が顔面蒼白になる。
「……うん……。……翔になら……話しても良いかなと思ったから……」
「何て事だ……」
信じられないと言った様子で頭を抱えている。
「君……名前は? 麗奈とはどう言う関係なんだ? 」
「僕の名前は星野翔です。先輩は、僕の所属している野球部のマネージャーを務めていました」
「……私が高校の時……お父さんによく話してた人……」
「ふむ……ああ! 思い出した! 君が星野君か」
「はい。先輩にはとてもお世話になりました」
良かった。疑いは晴れたみたいだ。
「麗奈が君の事を話す時は本当に嬉しそうでね」
「そうなんですか」
「……お……お父さん……」
先輩が恥ずかしがりながら言う。
「お、もう12時50分か。麗奈、父さんは午後の仕事に行って来るよ」
先輩の父親はそう言うと玄関へ向かう。
僕も先輩と一緒に玄関まで見送りに行く。
「……お父さん……。行ってらっしゃい……」
「行ってらっしゃいませ」
僕はお辞儀をする。
「ああ、行って来ます」
爽やかな笑顔で出発して行った。
「あの……先輩? 」
「……何……? 」
「先輩のお父さん……お昼ご飯食べましたっけ? 」
「……お父さんは会社で食べてからお昼休みを家で過ごすの……」
「そうだったんですか」
「……うん……。会社は近くに有るから……」
「成る程です」
「……さて……私の部屋に行こうか……」
「……え? 」
先輩の部屋?
「……何を想像しているの……? 」
「あ……あはは……」
「……翔の変態……」
少し怒った顔でそう言う先輩。
バレバレか。
「……そんな事はしない……。……さあ……行こ……」
「はい」
僕は二階へ続く階段を上がって先輩の後に付いて行った。




