二十七話〜先輩とケーキ屋でデート〜
「先輩、ちょっと近くのケーキ屋に寄りたいんですけど良いですか? 」
「……良いけど……急にどうしたの……? 」
「先輩にお土産を買おうかなと思ってまして……」
僕はせめてものお詫びにケーキを渡そうと思っていた。
出掛ける前に財布を持って家を出たのはそれが理由だ。
「……ケーキで私の機嫌を良くしようとしてない……? 」
少し怒った様な口調でそう言う先輩。
「そ……そんな事思って無いですよ……」
流石に魂胆がバレバレか……。
「ふふ……そう……。なら良いけど……」
「有難う御座います。じゃあ買って来ますね」
僕は先輩の玄関の前に自転車を止め、「ダーク・ベリーズ」と言う遥が教えてくれた名前のケーキ屋に向かおうとする。
「……翔……! 」
先輩が僕の手を咄嗟に掴む。
「先輩……。どうしました? 」
「……私も一緒に行きたい……」
上目遣いで呟いた。
先輩の行動は破壊力が高過ぎる。
「良いですよ。一緒に行きましょう」
正直萌え死にしそうだ。
断る理由は無い。
「……有難う……。翔と……デート……」
先輩は嬉しそうにそう言うと、優しく僕の手を握った。
「先輩? 」
「……手……繋いだら……嫌……? 」
泣きそうな顔で聞く。
「少し吃驚しまして……。嫌では無いですよ」
「そう……良かった……。嬉しい……」
先輩と手を繋ぎながらケーキ屋に入る。
「いらっしゃいませー」
僕は挨拶をしてくれた店員の顔を見た。
「どうも」
そう言って軽く会釈をする。
「……ザッハトルテと……チョコレートケーキが……食べたいの……」
先輩が耳元で囁いた。
いちいちやる事が反則だ。
「ザッハトルテとチョコレートケーキを下さい」
「畏まりました」
店員がショーケースからザッハトルテとチョコレートケーキを取り出す。
「ご会計850円になります」
僕は財布から千円札を取り出して店員に渡した。
「千円で宜しいですか? 」
「はい」
素早くレジの会計が行われる。
「お釣り150円になります。レシートはどうしますか? 」
「有難う御座います。レシートは要らないです」
「了解致しました」
僕はお釣りを財布に入れる。
「……ケーキの箱は私が持ちます……」
「有難う御座いましたー。またお越し下さいませ」
僕達はケーキ屋を後にした。
次回は先輩の家編です




