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二十六話〜心配で堪らない〜




 自転車に乗り、烏道まで進んで行く。


 「やっぱり自転車でも結構距離が有るな」


 遥が先輩の家へ遊びに行く時は、いつも徒歩だったから大変だったのだろう。


 幸いな事に坂道があまり無いのが救いか。


 見通しの良い交差点を渡ると烏道一丁目と書かれた街区表示板が視界に入る。



 「やっと烏道だ」


 そう呟いた時、前方からこちらへ歩いて来る人物が居た。


 水色の髪でセミロング、緑色の目の色でツリ目の女性……。


 先輩だった。


 「先輩、どうして此処に? 」


 「……翔が迷子になったら嫌だから迎えに来たの……」


 僕が驚きながら聞くと少し困った様な顔でそう言った。


 「そうだったんですか……。わざわざ有難う御座います」


 「……家に来いと誘ったのは私だから……」


 先輩はそう言うと涙を流し、僕に抱き付いた。


 「せ……先輩? 」


 予想外の行動に頭が混乱する。


 「……翔……ごめん……。私の配慮が足りなかった……」


 「え? 」


 「……一回も私の家に来てないのに……遥抜きで来いなんてSeinで返信して……」


 先輩は声を震わせながらそう言った。


 「あの事ですか……。別に気にしてないですよ」


 先輩が泣いた所を見たのは去年の卒業式以来かも知れない。


 「……本当にごめん……」


 「大丈夫ですよ」


 僕は先輩を慰める為にそう言って優しく抱きしめ返した。


 「……翔……。有難う……」


 先輩は満面の笑顔を僕に見せると泣き止んだ。


 「どう致しましてです」


 あんな笑顔の先輩を見たのは初めてかも知れない。


 クールビューティーなイメージの有る先輩だから。


 「……翔……。私の後ろを自転車でゆっくり付いて来て……」


 「了解です」


 僕は先輩に道案内をして貰いながら到着した。

 

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