十五話〜遥のお願い〜
「さて、風呂掃除するか」
僕はスポンジにお風呂用の洗剤を付けて浴槽を洗う。
「隅々まで綺麗にしないとね」
風呂掃除は僕が保育園の頃からずっとやって来たから、もうすっかり手慣れた物だ。
「よし、風呂掃除終わり」
僕は5分も経たない内に掃除を終えると、リビングに戻って父さんに報告をする。
「父さん、風呂掃除終わったよ」
「有難う。 翔、先に入って良いぞ」
「うん、じゃあお言葉に甘えさせて貰うよ」
僕はそう言うと再び風呂場へ向かう。
その時だった。
「ね……ねぇお兄ちゃん……一緒にお風呂入ろ? 」
遥がとんでもない事を言って来た。
「え……? 」
「長い間一緒にお風呂に入ってなかったから……」
遥は頰を赤らめながら僕に聞く。
確か最後に遥と一緒にお風呂に入った時は、僕が小六くらいの頃だ。
昔はあまり恥ずかしくは無かったが今はもうお互い高校生なのだ。
恥ずかしく無い訳が無い。
「そ……そっか……」
僕は俯きながらそう答えた。
遥に今の僕の顔を見られたくない。
恐らく完熟トマトの様に赤いだろう。
「うん……お兄ちゃん……駄目かな? 」
遥が照れ臭そうに言う。
「う……うん……良いよ」
僕は遥の悲しむ顔を見たくなかったから、そう言うしかなかった。
「本当? 有難う、お兄ちゃん! 」
遥の顔が笑顔になる。
「良かったな、遥。 でもちゃんと二人とも隠せよ? 」
そう言った父さんの顔も赤かった。
恥ずかしいのか、将又酔っ払っているのかは定かではない。
「も……勿論隠すもん! お父さんの変態! 」
「父さん、当たり前だよ……流石に隠さないのはヤバいよ……じゃあお先に行って来ます」
僕と遥は父さんのセクハラ発言に呆れながらリビングを後にした。




