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十三話〜楽しい食卓〜



「大丈夫だった? 」


溜息をついた僕を見て、遥が心配してやって来た。


「大丈夫じゃないかも……」


恐らく、先輩のお仕置きとやらを僕は受けるのだろう。


お仕置きの内容によっては、今週の土曜日が僕の命日になってしまうかも知れない。


「遥……」


僕は涙目になりながら遥の顔を見た。


「ど、どうしたの? お兄ちゃん」


慌てた様子の遥。


「僕、土曜日に先輩の家に行って来るよ。 もし僕に何か有ったら、父さんの事を宜しく頼むよ」


「お兄ちゃん、何か有ったらって流石にそれは大袈裟だよ〜。 麗奈先輩は優しい人だから、酷い事はしないよ」


苦笑しながら遥が言う。


「お仕置きするって言われたから、何だか怖くてね……。 先輩が良い人だって言うのは分かるけど……」


先輩がまだ在校生だった頃、部活で練習していた僕に色々と面倒を見てくれていた事が有ったから、僕は先輩を良い人だと断言出来る。


「私も一緒に、麗奈先輩の家に行くから大丈夫だよ」


「うん」


遥が居てくれるなら安心だ。


そう思った時――


ピロン♪


Seinの通知が鳴った。 恐らく先輩だろう。


僕はスマホを操作してホーム画面を見た。



麗奈:……翔一人だけで私の家に来る事……


画面にはそう表示されていた。


「マ……マジか……」


僕はがっくりと肩を落とした。


「? 」


遥が困った様子で首を傾げる。


「僕一人だけで先輩の家に来いって……」


「そ……そうなんだ……」


「先輩の家が分からないのに……」


「近くにダーク・ベリーズって言う名前のケーキ屋さんが有るよ。 麗奈先輩の家は、青色の大きい立派な家だから直ぐ分かると思うよ」


「教えてくれて有難う。 了解だよ」


僕は遥にお礼を言うと、先輩に「了解です」と返信をした。


その後は、スマホのアプリをしながら時間を潰した。


「ただいま」


玄関から父さんの声が聞こえて来た。


僕はスマホをテーブルに置いて、父さんを出迎えた。



「父さん、お帰り。 毎日ご苦労様」


労いの言葉を掛けて父さんの鞄と車の鍵を持つ。


「翔、有難う。 疲れて腹が減ったよ」


「今、遥がご飯を作ってるよ」


「どんな晩飯か今日も楽しみだ」


そう会話をすると、僕と父さんはリビングへ向かった。



「遥、ただいま」


「お父さん、お帰りなさい。 ご飯はもう少しで出来るよ」


「そうか。 今日の晩飯は何だ? 」


「鳥の唐揚げだよ」


「おっ、良いな」


「お兄ちゃんのリクエストだよ」


遥が僕を見る。


「遥の作る唐揚げは美味しいから食べたくなってね」


僕は父さんの鞄をソファーに置き、車の鍵をテーブルの上に置いた。


「だな、味付けが完璧だからな」


僕と父さんに褒められた遥は照れる。


遥の料理が出来るまで、父さんと一緒にテレビを見た。


「ご飯が出来たよ」


とても嬉しそうな遥の声。


「了解だ。じゃあ食べるか」


「うん」


そう言うと僕達は食べる準備をした。



「頂きます」


三人で合掌をして、僕は遥の作ってくれた唐揚げを頬張る。


薄口醤油の味が舌を刺激し、衣のサクサク感が良い歯応えとなり、鶏肉のジューシーな脂が口の中で踊った。


「美味しい。 やっぱりこの味が一番だね」


「えへへ、喜んでくれて良かった」


遥が可愛くウインクをした。


遥の味付けはビニール袋に鶏肉と薄口醤油を入れ、そのまま三分間放置して溶き卵に片栗粉と小麦粉を混ぜて、ごま油で揚げるのだ。


鶏肉は揉み込まなくても漬けておくだけで充分下味が付く。


僕が唐揚げを食べるのを見て、父さんも唐揚げを口に運ぶ。


「うん、美味い! ごま油の香りも良いし、衣もサクサクだな」


父さんも絶賛した。


「有難う、お父さん」


上機嫌の遥。


遥自身も自分の分の唐揚げを食べて上手く作れたと自画自賛した。


「ご馳走様でした」


僕が一番最初に食べ終わった。


「はーい、お粗末様でした」


やがて遥と父さんが晩ご飯を食べ終わると、僕は三人の食器とコップを洗剤で洗って後片付けをした。

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