十二話〜弁明〜
「ふぅ、疲れたね」
「うん。 でも良い運動になったよ」
僕達は帰宅して買った商品を冷蔵庫に入れた。
「18時を過ぎてるしそろそろご飯作るね」
遥はそう言ってエプロンを着けた。
「了解だよ」
遥が料理を作っている間、僕はテレビを観ながらふと思い出した。
「Seinで先輩を登録しなきゃな……」
僕はSeinを起動し、先輩のQRコードを読み込ませた。
「お、出たな」
画面には可愛らしい茶トラの猫の画像と、先輩の名前が表示されていた。
「この猫は先輩の猫なのかな? まあ良いや。 追加っと……」
僕は早速先輩にメッセージを送った。
翔: 先輩、翔です。 追加しましたよ。 これから宜しくお願いします
すると送って一分もしない内に返信が来た。
麗奈: ……有難う……。宜しく……
先輩の返信早っ! そして口調ブレないな。 先輩らしいと言うか何と言うか……。
僕は先輩に画像の猫の事を聞いてみた。
翔: 先輩がアイコンの画像に設定してる猫は先輩の家の猫ですか?
メッセージ送信後、直ぐに既読が付く。
――先輩、暇なのかな?
僕はそんな事を思った。
麗奈: ……そう……。私の家に来たら……好きなだけ触らせてあげる……
先輩の家か……そう言えば先輩の家に行った事無いよな……。
翔: 了解です。 先輩の家が何処か分からないので教えて下さい
僕は先輩にそう聞く。
麗奈: ……遥が知ってる……。私の家によく遊びに来てたから……
確かに遥は先輩とは仲が良かったな……。
翔: 了解です。遥に聞いてみますね
僕はそう送信し、スマホをテーブルの上に置いて遥を呼んだ。
「遥、先輩の家何処か知らない? 」
料理中の遥が手を止めて、僕の方へ来る。
「麗奈先輩の家は烏道三丁目だよ」
「烏道か……少し遠いね」
烏道は隣町だ。 家から自転車で行くと大体だが20分程掛かる。
「うん。 道が分からないなら私も一緒に行くよ? 」
「それは助かるよ。 じゃあその時は道案内宜しくね」
「うん」
遥はそう言うとキッチンに戻り、料理を再開した。
僕は先輩に遥から家を聞いたと言う事を伝えると、その後も楽しく個チャをした。
だが、急に先輩の様子が変わった。
麗奈: ……翔……一つ聞いて良い……?
翔: はい。何でしょうか?
麗奈: ……遥と何をしたの……?
先輩の相変わらずの即既読に返信のスピードの速さと、この質問に僕は背筋を凍らせた。
何で先輩まで知っているんだ。ひょっとして僕に抱き着いた時か……?
僕が恐怖に怯えていると――
PLLLLL……
Seinの無料通話が鳴った。 相手は勿論先輩だ。
「う……」
出るしかない。素直に先輩に伝えよう……。
『も……もしもし』
『……もしもし……』
先輩の怒っている声が聞こえた。
『す……すみません! 遥と抱き合ってキスしました! 』
『……そう……』
『これには深い理由が有りまして……』
『……聞くだけ聞いてあげる……』
僕は遥との一連の出来事を伝えた。
『……お仕置き……』
『どうしてですか!? 』
折角勇気を出して伝えたのに理不尽だ。
『……遥を抱き締めた時点で疚しい気持ちが有ったと私は思った……』
『そ……それは……』
『……別に慰めるだけなら遥の頭を撫でてあげるとか方法が有った筈……』
『そう……ですね……』
先輩の言う通りだ。 僕は何も言えなかった。
ふと台所を見ると、遥が心配そうな顔で僕を見ていた。
「お兄ちゃん……大丈夫? 私が代わろうか? 」
僕は遥を心配させたくないので、左手でOKポーズをした。
遥は頷きながらそっと微笑み、台所で料理を再開した。
『……許して欲しい……? 』
不機嫌な先輩の声。
『はい……』
『……じゃあ……今週の土曜日……私の家に来て……』
『部活の練習が……』
『……良いよ……』
『はい……? 』
『……私の大学の友達とか……近所の人達に言い触らすから……』
マジか……それは流石に困る。
知らない人達から、シスコン野郎だと勝手に思われてしまうのはキツい。
僕の人生が終わってしまう。
『分かりました……。今週の土曜日、先輩の家に行きます』
『……うん……。待ってるから……』
『はい……』
僕がそう言うと通話が終了した。
「はぁ……」
僕は深い溜息を付きながらソファーに倒れ込んだ。
更新遅くなってしまいすみません(^◇^;)
リアルが多忙になってしまった為、不定期更新になりますがエタらないのでどうかご理解頂ければ幸いですm(_ _)m




