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守護と霊と宗教

また投稿。

 これはAさんとBさんから聞いた話です。


 皆は「守護霊とは?」と質問されたら、どう答えるだろうか。

 恐らく「悪い霊から自分を守ってくれてるうしろの○太郎のような存在」というのが一般的(?)な答えだろう。

 だが、AさんBさんからすると、この答えは間違ってるという。


 二人が定義、又は言葉として認識する守護霊とは、神社や神棚で祀られている神様だったり、生前修行や徳を積んだかなり神様に近い霊を指す。

 確かに、うしろの百○郎は神に近い存在だが、そんな霊はおいそれと人には付かないそうだ。

 二人曰く、守護霊が付いて守っているモノとは、土地や団体(会社や家など)や国そのもの。

 つまり、百太○に守られている一○郎は、それだけで類い稀なる幸運を持つ本物の選ばれし者なのだ。


 なら「守護神は?」となると、もうそこまでくれば創世神話や伝説に登場する大神様になってしまうのだとか。


 じゃあ、普通に人に付いて悪い霊から個人(若しくは自分)を守ってくれている存在を何と言えば良いのか。

 それもAさんBさんに言わせると、そのものズバリ「個人(若しくは自分)を守ってくれている霊」と言う。

 言葉として厳密に言い表すなら、そうとしか言いようが無いそうだ。


 出逢いの回で「お前を守護している霊は強い」というBさんの台詞がある。

 普通に考えれば態々「お前を守護している霊」としなくとも「お前の守護霊」という台詞にすれば良いし、そのほうが簡単でしっくりくるだろう。

 しかし、俺はあえて「守護」という言葉と「霊」という言葉を切り離した。

 こうする事で「守護霊」ではなく「守ってくれてる霊」と二人の主張通りの表現したのだ。


 ハッキリ言って、そんなのどっちでも良いよと皆は思うだろう。実際、二人から教えられた最初の頃は俺もそう思っていたし、どちらかと言うとCさんもそんな感じだった。

 でも、何故かその辺の話になると、AさんもBさんも「守護霊」と「守ってくれてる霊」とに言葉を分けてた。

 Cさんもその事が分かっていたから、二人の前ではちゃんと分けて話していた。

 そうなると、当然二人は俺にも厳密に分けるようにと強く諭して来る。

 油断して俺が「守ってくれてる霊」の事を「守護霊」などと言おうものなら、文脈から察したどちらかが「守ってくれてる霊な」と態々訂正する程だった。

「そんなにキッチリと分ける程なんですか?」とBさんに尋ねても、二人の中では守護霊=神様という図式がガチガチに固まっているからなのか、それによる神様への信心からなのか「お前は、神様と普通の霊を一緒にするのか? 人間に例えるなら(ゴ○○リ)と同じだと言われてるようなもんだぞ。お前をこれから(ゴキ○○)と呼んでやろうか?」と半ギレで返された。

 Bさんは外見こそ荒俣○だったが、設計事務所の作業着を着たまま中古のVirago(ビラーゴ)(アメリカンのバイク)で店の前に乗り上げ、年相応にオラオラで、多国籍パブ好きで、尚且つ悪魔崇拝者(サタニスト)を自称していたのに。


 話は変わるが、Bさんは同じ東洋人でも日本人かそれ以外の国の人(これは生きてる人)かを、守ってくれてる霊を見て判別出来ると言っていた。まぁ、そんな真似しなくても大抵はルックスで判別出来るとも言っていたが。

 実はBさんは、霊を煙で認識するが、霊の姿形がハッキリと見えない訳ではない。

 寧ろ、薄ぼんやり程度でAさんみたいな見え方も出来るし、そのように見える事の方が多い。この仕組みを利用するのだ。


 さて、その日本人判別法だが、先ずは御託から入りたい。

 Bさんが言うには、日本は古来より日本独自の仏教(大乗仏教と上座部仏教という意味ではなく、日本風にアレンジ、発展した日本独特の仏教、次からは便宜上、日本仏教と呼称する)と土着信仰を含めた神道系(次からは便宜上、日本仏教と神道系をひっくるめたものを日本宗教と呼称する)の国なので、先祖代々日本に住んでる人が、つい最近キリスト教やイスラム教に改宗しようとも、日本人の先祖の大多数は日本宗教信者だったとなる。そして、守ってくれている霊の殆んどは先祖霊なのだとか。

 Bさんは霊を煙として認識出来る。しかし、Aさんみたいな見え方が出来る霊となると、生前日本宗教信者だった霊だけなのだ。

 よって、その人に付いて守ってくれている霊が、薄ぼんやりでもハッキリと見えたら、その人は日本人となる。

 まぁこれだと、国際結婚等で、つい最近外国籍に帰化した人までは判別出来ないが。


 それに、宗教的な面で色々と疑問が残ると思うが、取り敢えず答えを聞いた質問だけを上げてみる。


 1、先祖が代々隠れキリシタンだったら見えるのか?

 2、例え日本在住でも先祖が日本宗教信者ではない外国人だったらどう見えるのか?

 3、宗教と関係無い動物霊は見えるのか?


 先ず1だが、これは見えるらしい。

 安土桃山時代に伝来したキリスト教が、時代と共に禁止され始め、弾圧が強くなるにしたがって、隠れ蓑としての神道系の土着信仰と合わさり日本独自のキリスト教、つまり日本宗教となったので見えるのだそうだ。

 と言っても、これはあくまでもBさんの予想。霊の見た目が東洋人なら生前キリスト教徒だったのか仏教徒だったのかの判別が出来ないし、本当に先祖が隠れキリシタンだったとしても、そんなレアな人には中々お目に掛かれない。


 次に2だが、モヤッとした煙程度でしか見えないらしく、最も感じにくいのだとか。

 一応、霊としては認識出来るのだが、やはり守ってくれてる霊が生前生粋の日本宗教信者じゃないと煙でもかなり見え辛いらしい。

 例外なのが、生前日本宗教信者じゃなくても強力な怨念を持つ霊。見え辛くとも圧力(プレッシャー)が半端無いという。

 逆に、生前日本宗教信者じゃなくても力の強い守ってくれてる霊だと、見え辛くとも強く眩しい光を発しているそうだ。

 やけにBさんがこの辺に詳しいのは、多国籍パブ好きたる所以だろう。

 余談だが、Aさんは外国人だろうが他宗教だろうがガッツリ見える。それでも普通の日本の霊に比べると見えにくいと言っていた。


 ここで一つ。Aさん情報によると、悪霊が生前キリスト教徒だった場合、幾ら有り難い念仏を唱えても何の意味も無いらしい。

 英語しか知らないアメリカ人に日本語でどれだけ話し掛けても全く理解して貰えないのと一緒なのだとか。

 元々キリスト教徒だった悪霊を徐霊、若しくは浄霊したければ、聖書を読んで悪魔払い(エクソシスト)をするしかなく、又その逆も然り。生前仏教徒だった悪霊に、幾ら聖書を読んでも意味が無く、やはり念仏を唱えないといけないそうだ。

 なので、独自で霊を追い払う(すべ)を持っていたAさんとBさんでも、それが全く通用しない霊の溜まり場である外国人墓地には絶対行きたくないと言っていた。


 そして3なのだが、これは煙としてならちゃんと見えるそうだ。

 またこれもBさんの予想だが、動物には宗教など関係無い。更に、動物には出生国も関係無い。当然だ、宗教だ国籍だと言っているのは人間だけなのだから。

 言わば動物とは、何物にも染まっておらず何もかもがフリーの状態。

 だからこそ、宗教的には見えなくとも宗教感が邪魔する事なく、煙として生前の形がハッキリと見えるので、何の動物かが分かるとの事。

 ついでなので付け加えておくと、動物霊は動物だけあって、何の他意も無く無邪気に寄って来るらしい。


 それを踏まえて店でこんな一コマがあった。


「おい、此方にくんなよ」


 と言ってBさんが自分の斜め上前方へシッシッと手を振る。


「ちょっと~、此方に押し付けないで下さいよ~」


 と言ってAさんも自分の斜め上前方へシッシッと手を振る。


 最後は俺の方に来たらしいのだが、俺には何も見えないし何も感じなかった。

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