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心霊写真ツーリング

またまた低時間クオリティ

 これはAさんから聞いた話です。


 Aさんが高校生の時、ただでさえ霊感が強いのでよせばいいのに、夏休みを利用し数日掛けてバイクで心霊スポットを巡って写真撮影をするという心霊写真ツーリングをやろうという事になった。

 と言ってもメンバーはたったの二人。Aさんと、同じ高校の友達の仮にDさんとしておこう。

 そして夏休みになり、テント等といった荷物をバイクに乗せ、心霊写真ツーリングは開始された。


 バイクツーリングの醍醐味は、自然の多い田舎巡り。

 必然と巡る目当ての心霊スポットも自然の多い場所なので、条件は整っている。

 しかも、またよせばいいのに、態々夜を狙って撮影をしていたそうだ。


 でも、いざ色々な心霊スポットを巡っても、Aさんの触手には然程霊的なモノは感じない。

 確かに多少は感じるのだが、ビンビンには感じなかった。

 色々と巡り、またハズレかと思いながらも、それでも一応は巡った先々でパシャパシャと何枚も撮影していた。


 そんなこんなで、二人が次の心霊スポットへ向かう為、下りの山道を走っていた時だ。

 当然、下りは登りよりも危険だし、山道なのでカーブも多い。

 なのに、Dさんは全然スピードを弛めない。

 危ないと思ったAさんは、Dさんと並走して、走っていても聞こえるようにヘルメットのバイザー(ヘルメットの前面に付いている透明の部品)を上げ「もっとスピード落とせ!」と叫んだ。

 するとDさんもバイザーを上げ大声で「ブレーキが効かない!アクセルも戻らないしクラッチも効かない!」と叫んだ。

 並走しているAさんが、Dさんのバイクのアクセルに手を掛けたが、やはりアクセルは戻らない。マジでヤバい状況だった。

 このままでは、本当に大事故になってしまう。

 どうするか悩んだ二人は、ある決心をした。


 俺も昔はバイクに乗っていたし、ツーリングをした事もあるから知っているのだが、山道のカーブには外側に大きく幅を設けて砂利を敷き詰めた場所が所々に存在する。

 山道を通る人なら見た事が有ると思うが、よく其処で車やバイクが一旦休憩していたりもする。

 殊更調べた訳でもないのだが、多分この場所はスピードを出しすぎてカーブを曲がり切れなかった車両の為のセーフティーゾーンだと思う。

 AさんとDさんが出した現状の打開策は、次にこのセーフティーゾーンに差し掛かった時、態と転倒しようというものだった。と言うか、それしか思い付く手は無かった。


 そして、セーフティーゾーンに差し掛かりDさんは態と転んだ。

 これも、バイクに乗っている人なら分かると思うが、上手く転べば横滑りして服は破れても全くと言っていい程怪我はしない。

 Dさんも砂利で滑り上手く転べたせいで、怪我も無くピンピンしていたそうだ。

 胸を撫で下ろした二人は、セーフティーゾーンで転倒したバイクを立ち上げて、またエンジンを掛けてみる。

 エンジンが掛かる。エンジンが掛かるという事は、クラッチが効いているという事だ。

 そのままニュートラルに入れてみると、やはり入る。

 アクセルを吹かした後もちゃんと戻るし、ブレーキも効いている。

 ここまでくれば、流石に分かる。

 これ以上、心霊スポット巡りは危険過ぎると二人は判断した。


 そうなると、後はバイクに乗って地元へ帰るだけ。

 実は、転倒したDさんのバイクはこれといった故障も無かったのでそのまま乗れたのだが、Dさんは同じバイクを運転して帰るのは嫌だと言った。

 そこで、取り合えずAさんが公衆電話の有る所まで行って(当時携帯電話は無かった)バイク屋にバイク回収を依頼。

 やって来たバイク屋にバイクとDさんを乗せて貰って、Aさんは一人でバイクに乗って地元へと帰って行った。


 で、話はここで終わりではない。






 無事に地元へと帰って来た二人は、一応撮った写真を現像し、Aさん宅で写っているか調べる事にした。

 現像から戻って来た写真はかなりの枚数有ったが、現地で然程霊的なモノを感じなかったと同じく、どれもこれも今一ピンと来るモノは無かった。

 白いモヤやオーブのようなありきたりのモノはいっぱい有るのだが、ハッキリと写っている写真は一枚も無い。

 色々と調べた末にこりゃダメだ、録なのが無いとDさんは言ったが、Aさんは部屋の中でばら蒔かれた大量の写真に変な違和感を覚えた。

 暫く写真の束とにらめっこしていたAさんだったが、遂にピンと来た。


 Aさんは写真をパズルのように縦に横にと組合わせ始めた。

 そのパズルが完成した時、AさんとDさんは血の気が引いた。

 白いモヤだと思っていたモノが写真が組合わさる事によって、一つの大きな顔になったのだ。

 しかも、撮った撮影場所は別々の場所なのに、色々と組合わせる事によって顔は完成する。

 その男とも女ともつかない顔は完全に此方を睨んでいたそうだ。

 確かに、大量の白いモヤが写っている写真を組合わせれば、何かしら顔のようなモノが出来るかもしれない。

 だったとしても、今までの経緯から二人が恐怖を覚えるには十分だった。


 二人は、写真を全部持って速攻で寺へ駆け込んだ。

 そこの住職に訳を話すとメチャクチャ怒られ、家族も連れて来てバイクも持って来いと言われた。

 全員でお祓いを受けた後、(くだん)のバイクは廃車となりました。


 ただ、写真だけは寺に預けてお祓いした後、どうなったかは分からないという。

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