第七話 討伐
第七話 討伐
アリスとナイツは、次の行き先を白魔導士の国に決めた。
白魔導士の国には、『おだやかな森』を抜けて、『小さな草原』を通り、『魔導士の塔』につく、その先は、白魔導士の国の下町だ。
最弱のルートといわれている。それを選んだ理由は、レベルが低いからだ。
剣士のナイツのレベルも強さもしらないアリスは、不安だったが、現状を受け入れるしかなかった。
「ねぇナイツ!まずは、ビッグスライムと討伐よね」
「そうだけどさ、倒せる自信がないよ」
「あんた強くないの?」
「俺は・・・レベル2だ!」
「なら余裕じゃない!」
「バカ言うな、討伐依頼の紙見てみろ!推奨のレベルが書いてあるだろ。案内所の依頼は、受領可能レベルというものあるが、最近は転生が盛んで、レベルの低い依頼は、推奨とあかれていることが多いんだ」
「ふ~ん、あんたは転生何回目なの?」
「ゼロだ」
「なら強くないってことね・・・。えぇ~!どうするのよ」
「それはこっちのセリフだ!ずっと死なないように隠れてきたけど、旅なんて無理だったんだ。てか、その依頼おれが受けたわけじゃないのか!」
アリスは、細目をして、ジーとナイツをみていた。
「あんた、サイテーね」
「私一人でいくからいいよ」
アリスは『おだやかな森』へ入っていた。
ナイツは、まだ悩んでいるのか、ついてこない。
アリスは呆れていた。森を少し進むと、小さなスライムがいた。
「あれもモンスターかしら?さっぱりわからないわ」
魔法の練習をしようと思ったアリスは、魔法を使おうとした。
手に魔力を集中させて、イメージした。
「まずは、火!」
ぽっと音立てて小さな火の玉が手の上に出た。スライムのほうに手を向けて、解き放った。
火の玉は、スライム目掛けて飛んで行ったが、ゆっくり動くスライムだが、当たらなかった。
「ムズ!当てるって難しいじゃない」
スライムはすぐに逃げて行った。
このような状態で勝てるのか不安だったが、もう少し森を進んだ。また、スライムが現れた。今度こそ、倒すつもりでアリスは戦略を考えた。
「フレイムレイン!」 雨のように降らせて攻撃をすることを決めたのだ。
スライムに無数の火の玉が飛んできた。見事に的中!しかし、スライムは倒れなかった。
「なんで?なんで倒せないの?」
次の戦略を考えていると、スライムから攻撃が飛んできた。
「冷たい!てか、水かけられただけ?」
スライムの攻撃はたいしたことはないように思えた。しかし、露出が多いせいで当たった部位は、赤くなりヒリヒリし始めた。
「痛い!スライムも命がけね。でも。ミドルフレイム!」
ボーリング玉ほどの火の玉を放した。スライムに的中し、スライムは姿を消した。
いなくなったスライムの近くに行くと何かが落ちていた。
スライムが拾った『薬草』だった。とりあえず手に入れようとしたが、入れ物がない。
ヒリヒリする部位に塗った。すると、痛みも赤みも引いた。
「薬草は大切ね、どこかで入れ物を手に入れないと」
ガサガサ!
「何?」
スライムの群れが現れた。周囲の空気が一気に冷たくなった。
少し奥のほうに大きな動くものが見えた。
どうやらビッグスライムはスライム軍団による湿気が必要みたいだ。
ちょっとだけ大きいかと思ったら3メートルある巨大なスライムだった。
「ちょっと大きすぎじゃない?推奨レベル10ぐらいね。そのぐらいの技か・・・。」
アリスは、魔法は想像でなんでもできると認識していたため、レベル10相当の技を必死に考えていた。
その間にビッグスライムはどんどん近づいている。
突然ビックスライムが溶け始めた。
「えっ何もしていないのに・・・。怖くなって逃げだしたのね!楽勝じゃない!ただのスライムが大きくなっただけだもの」
アリスは勝利した。
「ん?足が動かない。うそ!足にスライムの液体で埋まっているじゃない。」
スライムは見つからないように移動していたのだった。
足を拘束されたアリスは、その場で大きくなるスライムにどんどん飲み込まれていく。
「何?ぬるぬるしているよ~。気持ち悪い。」
下半身はスライムで埋まってしまった。ゆっくりゆっくり、体を埋め尽くしていく。
「どうしよう、私スライムに食べられちゃうの?」
とうとう首下まで埋め尽くされた。スライムはそこでストップした。
アリスは急に苦しくなってきた。
「苦しい、なんか締め付けられている」
ビックスライムの締め付けだ。さらに締め付けはエスカレートした。
「ぎゃ~!息ができない。何とか魔法を当てられないかしら。」
手の平もスライムに飲み込まれていたが、何とかフレイムを出すことができた。
しかし、ビッグスライムの体内で、ジューと音を立てすぐに消えた。
効果があったのか、締め付けが緩くなった。
「これなら、いけるかも、何度もダメージを与えれば・・・うっ。」
突然、ものすごく苦しくて痛い感覚が来た。
「なに?すごく痛い」
ビッグスライムは怒っていた。体内で、拳を作り、全身に無数のパンチをし始めた。
それは、前後、左右と挟み撃ちのパンチだった。
アリスのパンチを受けた部位は、半分以上潰れていた。
「あっ、うっ、ぎゃー」
叫ぶことしかできないアリス。
その時、「アリスを放せ~」と、とびかかってきたのはナイツだった。
ナイツは剣を大きく縦に振り下ろそうとしたが、ビッグスライムが作った拳でパンチされ吹き飛んで行った。
「イタタタタタッ。強いなぁ~」
「うっ・・うっ・・うっ・・。」
スライムの体内でパンチされているのが見てわかる。
アリスは、ただ何度もパンチされ続けていた。このままだと、気を失ってしまう。
しかし、ビッグスライムはパンチのスピードと強さをさらに上げた。
パンチを受けたところは、3分の1まで押しつぶされている。
スピードは1秒間に10発のパンチまで一気にスピードを上げた。
そして、アリスを吹き飛ばすと。スライムが張っていたネットに大の字になって引っ掛かった。
「やめろ~もう瀕死状態じゃないか」
ナイツはもう一度とびかかったが、また、吹き飛ばされた。
3メートルのスライムは、その大きさで一つの拳を作り上げた。
その拳はさらに形を変え、千本の針の拳となった。
「やばい、このままじゃアリスが・・・。」
スライムのネットに大の字で引っ掛かったアリス。
全身の骨は折れ、今にも死にかけた状態だ。
そこに、千本針の拳が勢いよく飛んでいく。
「アリス~」とナイツが叫ぶ。
「我が剣に宿る豪炎よ、今その力を解き放て」
ぼぉぉぉぉぉ~炎の音が聞こえた。
「龍のごとく舞い上がる炎と共に瞬時に切り開く」
さささっ!ナイツの横を誰かがすごいスピードで通り過ぎた。
「瞬殺奥義!龍炎超一文字!」
ナイツを通り過ぎたあたりから、炎で出来た線が残っていた。
その線はまるで龍みたいだった。
アリスの刺さる寸前の千本拳は、真二つになり、炎に包まれ、燃えてなくなった。
周囲のスライムも炎によって蒸発した。
そして、その技を出した人が、アリスの前に、剣を振り切った状態で立っていた。
その男が刀をしまった。髪は長く、180センチほどの身長だ。体はかなり鍛え上げられ、相当の強さと思える。
「大丈夫か!息はあるようだ。そこの小僧、町まで運べるか」
「はっはい!あの・・」
「すぐに治療する必要がある。質問はそのあとだ」
「はっはい!」
町に戻り、宿屋のベッドにアリスを寝かせた。
「君はもういい、あとは任せなさい。」
そう言ってナイツは宿の外にでて待つことにした。
魔導士3人掛かりでアリスの治療に入った。
数分後、助けてくれた人が出てきた。
「なぜ、あんな危険なモンスターと闘っているんだ?」
「ビッグスライムの討伐依頼を受けたからです。」
「なに?あれは、ビッグスライムではない、デーモンスライム3だ。
3転生+レベル50ぐらいは推奨とされるモンスターだ。」
「え~~~!生きていただけでもラッキーだったってことか!ところであなたは?」
「私は、ゴーエンだ!」
ナイツは驚いた。
「あの、七大剣豪の1人の豪炎のゴーエンさん!」
「その通りだ、しかし、なぜあのモンスターがここにいるのだ」
調査員が走ってきて、ゴーエンに何かを渡した。
「そうか、ご苦労だった。またも悪魔の石発見か。」
「悪魔の石ってなんですか?」
「君は知らなくていい。いや、知らない方がいい。もし知りたいのであれば自分で調べるんだ。強くなってから知るべきことだ」
「分かりました。」
ガチャっと宿のドアが開いて、魔導士の1人が出てきた。
「治療には3日必要です。治癒魔法を与え続けてもそれぐらいかかります。」
「分かった。頼んだぞ。」
「君、もっとモンスターを知れ、旅をするのであれば、知恵がいる。そして、弱い敵だろうが、戦闘を重ねるんだ。それが最初の試練だ。」
「わかりました。」
何とかアリスが復活する間は、戦闘のトレーニングをすることにした。
「なにもできなかった。これでは、誰も助けられない。」
そして、3日が過ぎた朝、魔導士が疲れ果てた状態で、出てきた。
何かの調査をしていた。ゴーエンと合流し、何か会話をしていた。
「終わったか」
「はい、もう少し休めば完治するかと、しかし、あれほどの攻撃を受けて生きていたこと自体が信じられません」
「それで、調べたか?」
「はい、普通の者とはいろいろ違いがあります。魔力の流や発生源も普通ではありませんでした。体も今までに見たことない形をしています。スキャンしましたが、当てはまる種族もありません。」
「なぞだな、今後監視するようにしろ」
「はい」
「君、近くにいてやりなさい」
「ありがとうございました。」
ナイツは頭をさげて、アリスの部屋に行って、見守っていた。
その夜、アリスは目を開けた。
「私、生きているのね。死ぬかと思ったわ」
「俺が何もできずにごめん」
「本当よ、でもありがとう。」
アリスは微笑んだ。
「明日になれば、元気なるって、上級の魔導士たちが3人係で回復させたからだな」
「そうね、また、明日からよろしくね」
そして翌朝、アリスは、完全復活をする。
「あぁ~やっぱ気持ちいいな~これ枕より柔らかくて暖かい」
ナイツは、アリスの胸らへんで顔を擦っていた。
アリスは、かなり怒っていた。女の概念がないと言われても、アリスはそういう文化のあるところにいたからだ。
「ダブルライトニング」
両手に電気の火花を出し、ナイツの頭に両手をぶつけた。
「痛ってぇ~~~」
ジューっと煙を立てて、ナイツは部屋の床に倒れた。
「死んで当然ね!」
ナイツはぴくぴく動いていた。
「あら死にそこないがいるわ」
上から見下ろす感じで、ナイツをにらんでいた。
「もうよくなったのか?」
宿屋のおっさんが話しかけてきた。
「はい、おかげさまで!」
「おまえさん、助けてくれた人に感謝しないと!瀕死ってもんじゃなかったぞ。」
アリスは、そんなにひどかったのかとびっくりした。
「ありがとう。」
「あの少年にも、お礼言っときな、必死だったぞ!」
ふ~ん、ナイツ意外といいところあるじゃないと心で思った。
ナイツはフラフラしながら、宿屋の外にでた。
「あら、遅かったじゃない。旅に出る準備はできる?」
ナイツは、はっと目を覚ました。
「もちろんだ!」
「あんた、切り替わり早いね。ま~戦闘で使えればいいけど」
「相変わらず、きついなぁ~」
二人は笑いながら、街を出ることにした。
おだやかな森を抜けようとしたとき、大きなスライムが現れた。
「えっ!また?」
「大丈夫、あいつはビッグスライムだ。この前は、超強いデーモンスライム3だったそうだ。ビッグスライムぐらいなら鍛えた俺の攻撃で」
剣を刺すが、スライムが大きすぎて弱点に届かなかった。
「くそ~あのビッグスライムの中心にある玉があいつの弱点なんだ!」
「そうなの?なら早く言ってよ!」
アリスは、走り出した。
「お前じゃまだ・・・。」
「アイスニードル・フィンガー」
アリスは手に氷の刃を出し、弱点に届く長さの攻撃を繰り出した。
スライムの心臓部に見事に的中し、ビッグスライムは倒れた。
「えっ?アリス強くなった?」
「いいえ?ちょっと考えただけよ」
ナイツは、悔しかった。いいところを見せられなくてガッカリしていた。
二人はおだやかな森を抜けて、小さな草原にたどり着いた。