第四話 魔法
第4話 魔法
他の国は、大騒ぎしていた。
それも当然、突然星がえぐれて、遠くの星が爆発したからだ。
何者の仕業か、各国で会議が開かれていた。
ナイトの国
王が将軍たちへ招集をかけていた。
「昨晩、魔族の国から、とてつもない魔法が解き放たれた。過去の文献にしか残っていないほどの強大な魔法だ。魔族が大きな力を手に入れたのであれば、わが国だけでは、勝つことができない。よって他の国との同盟を急ぐ」
魔導士の国
大魔導士が国の上級魔導士へ招集をかけていた。
「我が白魔導士の軍は、鉄壁ともいわれる防御を得意とするが、あれほどの魔法を防ぐ術はない、他の国と協力し、まずは魔族の封印か滅亡させる必要がある。世界が滅ぶ前に」
魔獣族の国
魔獣王が魔獣犬を使って森の戦士たちへ呼びかけた。
「自然を守るべく我々は、他の国と協力し、魔族の国を滅ぼす」
ロギアの国
精霊たちが話し合っていた。
火の精霊「あの魔法は、かつて究極魔神リリスが解き放った魔法だ。あれをまた封印しなければならない」
水の精霊「あれを封印するためには、我々だけではだめだ。他の国の協力がいる」
風の精霊「しかし、リリスの時は、大精霊たちの力を借りなければならなかった。今は、大精霊たちはその封印によって力尽きた。」
地の精霊「私たちだけでやる必要があるのか」
雷の精霊「武器を作る必要があるな、私たちはその武器に魔力を入れることが大きな役目だ」
氷の精霊「魔神に封印された、精霊を復活させることも考えましょう」
各国が同盟することを決めた一方、魔族の国では、それは知られていなかった。
アリスは部屋にいた。
「あの魔法は、私の中のもう一人の力、あれはやりすぎね。できるだけ、もう一人の私の力を借りないようにしないと」
独り言を言っていたが、もう一人のアリスには聞こえていた。
「あんた一人じゃ何もできないよ。せめて魔法でも使えるようになればいいのだが」
「魔法?使えるの?できれば教えてくれない?」
「私が、お前の体を操作するのは簡単だが、それで覚えることができるかはお前次第だ。」
「分かったそれでも教えて」
「魔法は、想像力だ。この世界では、想像力が勝負を分ける。そこにある鎌を持ってみな」
アリスは、大鎌を持とうとしたが、びくともしなかった。
「うぅ~重い・・・。」
「それしゃーそうさ!その鎌はダイナミックロックと言う魔法で超圧縮した鉱石でできている。相当重く作っているからよ」
「どうして持てるの?」
「武器は、魔法で持つのだ。魔力を手に集中させ、武器へ流す。持つときは軽いが、相手へのダメージはその重量でかかる。」
「攻撃力が高い訳ではないってこと?」
「その通りだ、しかし、魔力に限界がある。振り下ろすときには魔力を抜くなど、うまく使わなければ、すぐに魔力がなくなる」
「とりあえず、魔力を武器に入れる訓練をするぞ、手の平に魔力を集中させるんだ」
「・・・・・」
「は~体を借りるぞ!」
アリスの体が勝手に動き、手の平が顔の前に来た。
そして、手のひらに渦のようなものが出てきた。
「この渦が、魔法を唱えるときにでる。感覚は分かったか?想像してみるんだ」
アリス自身が、手の平に集中しながら、渦ができるように想像した。
渦は急に大きくなった。部屋中のカーテンが揺れた。
「なかなかやるじゃないの!想像力は高いじゃないか?」
「想像は任せて、私、ゲームいっぱいしていたから」
「ゲームとはなんだ?」
「そうかこの世界にはゲームがないのね。これで武器を軽くすることを想像すればいいのね。」
「そうだ」
アリスは、大鎌に手をかざして、握った。大鎌はすっと持ち上がり、今までの重さを感じさせなかった。
「やったー!出来た!これで武器は使えるね」
「せいぜい頑張りな!じゃあな」
もう一人の自分は静かになった。そこから、アリスは、他の想像をして様々な魔法を唱えることにした。
手の平に集中し、火を出し、水を出し、風を出し。簡単なことにびっくりしていた。
「想像だけってラッキー!私の得意分野じゃない」
コンコンコンと部屋のドアがなった。
「どうも、ダンです。お休みいただけたでしょうか?」
「ありがとう、でも、戦闘はやっぱりわからないわ」
「それは、ゆっくりでいいでしょう。それより、あの魔法をどうやって使ったのですか」
とりあえず、ありのままの話をした。
「そうですか、もう一人の自分ですか。それは、二重転生の可能性があります」
「二重転生?」
「えぇ、誰かと転生が同時に行われ、1つの体に2つの魂が入るときに起きます。」
そんなことがあるのかと、驚いた。
「その2つの魂はやがて1つになります。どちらかは消えてなくなります。しかし、能力はどちらとも残るため、転生にとってはかなり強くなれる転生ですね」
「ふ~ん、ダンはいろいろ知っているのね」
「常識とでも言っておきましょう。一時は自由にしときますのでごゆっくり」
そう言ってダンは、部屋の外に行った。
その晩、ダンがやけに詳しいことを疑ったアリスは、グロトリアとダンの会話をこっそり聞くことにした。
王室の間から光が見えたため、近くに行くとグロトリアとダンが会話をしていた。グロトリアは体調がすぐれない様子だった。
「後どれくらいだ」
「後10分待って下さい。そうすれば、あなたにその力が宿るはずです」
「この力を絵に入れれば、あとは、あの女の力だ!」
「焦らないでください。あなたが今2重転生している相手は、魔獣族の最高騎士であった百獣王ガオスです。命がけです」
「これで10人目だ!これで私もかなり強くなるぞ」
「意味わからない話だわ、なぜ好き勝手に2重転生ができるの?」
アリスは部屋に戻った。その時だった。
ド~ン!と闘技場の方から音が鳴った。
急いで走っていくと、20人ほどの白いマントを羽織った人たちがいた。
「魔王グロトリア!出てこい!」と白いマントの族が大声で叫んだ。
周囲に魔法陣ができ、魔族最強の戦士軍団が現れた。
そして戦闘が始まるが、20人の力は圧倒的であった。各国の優秀な戦士だけを
集めたからだった。
魔族の最強の戦士軍団は、ほぼ全滅した。そして、魔王の魔法陣が合わられた。
「何の用だ」
「滅びの魔法を使ったのはお前か、お前を討伐するように命令が出ている」
「やれるものなら、やってみろ」
戦闘が始まったが、10人も転生で吸収したグロトリアに力は圧倒的だった。
「ダン、なぜ各国の戦士たちが束になっているのだ」
「先ほど調べました。どうやら同盟を結んだみたいです。あの技を封印しようとしているのでしょう」
「ならば、早く吸収しなければ、あの女を殺すしかないだろ」
「それは、後日しましょう。まずは、この20人の転生が落ち着いてからにしましょう」
「その20人を全部俺の体内に転生させる。」
「まさか、奴らを吸収するとなると。負担は半端じゃありません。」
「構わんやれ!」
1週間ほど研究室から、グロトリアが出てくることはなかった。
その間アリスは、さらに魔法を磨いていた。