第二話 転生
「準備はいいか?」
「ま~何も準備するものがないけど、いいですよ」
真っ赤に光る魔法陣が現れた。
「!“#$%&‘()=~|」
何かの呪文を唱えていた。
目の前が真っ赤に染まり、突然、映像が目の前に流れた。
「転生する場合の姿を自分で考えてください」
「オペレータ?まるでゲーム見たじゃない。考えてって言ってもどうしよう」
悩むのも当然だった。転生については全く知らないからだ。それ以上に、あの世とこの世以外が存在していると思ってもいなかった。
「どうしましたか?どんな姿にもなれますので自分の好きな姿になってください」
「え~・・・。なら・・・・。ちょっと恥ずかしいけど非現実的な・・・。」
とある豪華な部屋に、その姿が現れた。鏡に映し出された違う自分を見るのは不思議だった。
「すごくかわいいし、すごくセクシーな体。自分が照れちゃう!」
「そんなことより、すごく豪華な部屋ね!王子様でも出てくるのかな?」と少しワクワクしていた。
「てか、私、死んだばかりなのに何考えているのだろう」
すると魔王みたいなやつが突然近づいてきた。
「どうやら転生は終わったようだな・・・・!」
「えっ、王子様どころじゃないじゃない、怪物じゃないのよ」
心の中で叫んだ。
「お前のその姿はなんだ・・・。それで戦えると思っているのか?」
「そもそも戦うってなによ!」
「話の流からわからなかったのか?呆れたやつだ・・・。まあいい、お前の力を試すしかなさそうだな」
「そもそも、その邪魔になりそうな胸、それは筋肉か?露出も多いいぞ、ダメージが大きくなる、見たこともないほどのたくましくない顔だな!尻も大きいぞ、必要なところの筋力もなさそうなぐらい細い」
「それでいいじゃない!女ですから!」
「女は見たことない、この異世界には存在しないぞ!転生するほど強くないと聞いているからな!」
「やっぱり、女、女ってムカつくわ、あんたがグロトリアってやつね」
「貴様は、何様のつもりが知らんが、あまり調子に乗るなよ」
意外と怖いと思った。
今居る豪華な部屋を出ると、大きな廊下が広がっていた。まるでお城の様だ。「ついてこい」と言われ、そのままグロトリアの後ろをついていくと、大きな扉の前に来た。
扉には、ドラゴンと闘う人の姿が描かれていた。
「ねぇ?ここはどこなの?」
「入ればわかる。お前ひとりで行くのだ」
扉が開き、その中に入って行った。薄暗い廊下に一定間隔でロウソクが燃えていた。さらに奥に進みもう一つの扉を開けた。そこに広がるのは、闘技場だった。それも、ドーム並みの大きさだった。
闘技場の真ん中まで進むと武器の破片や血の跡が床についていた。さすがに怖くなった。
一方、グロトリアは、助手のダンと闘技場の中央外から見える場所に立っていた。
「おい、ダン!あいつは大丈夫なのか?呼び寄せの魔法が失敗したのではないか?」
「はっきり、分かりません。秘伝の魔法であり、今までに成功した話も聞いたことありません。」
「まあ、ドラゴンとの闘いでその強さを拝見しようじゃないか」
「おい、お前の名前はなんだ!」
会場へグロトリアの声が響いた。
「名前?あれ思い出せない?私の名前・・・・。」
「好きな名前にするがいい、転生すれば、前世の能力は引き継がれるが、記憶は薄まっていく、次期忘れるだろう」
「なら・・・・これも憧れの名前だけど・・・アリスよ!」
「アリス、汝の力が魔王族最高の力を持つことを証明してみよ!」
地響きが鳴り始めた。床に大きなダークな魔法陣が現れ、その魔法陣からゆっくり何かが出てきた。そして、死神のようなオーラをまとった人の10倍はあるドラゴンが現れた。
「久しぶりの戦いか、眠りすぎていたわい」
「ん?お前は魔法によって転生されてきたやつだな?どこの世から来た?」
ドラゴンが話してきたが、怖くて口が開かない。
「怪物やろうにドラゴン・・・どうなってるの?あまり考えない方がいいね、よくわからない異世界と言うところに来たのだから、あまり考えても意味がないか。」
「人間界から転生されてきたわ」
その場が静まり返った。
「おい、ダン!人間界とは最弱の世界ではないか!やはり魔法は失敗したか」
「そうですね、完全に失敗です。デスキングドラゴン!そいつは不要です。始末を!」
「ふざけるな!こんな弱いやつのために召喚しただと!ん~どうしよか!お前を食べてもいいのだが、見たこともない姿をしているからな?せいぜい短い命を大切にしな。この死にゆくものの剣を思えに上げようじゃないか!!!」
ドラゴンは戦わずに魔法陣の中に戻った。
「デーモン達にやらせろ!」グロトリアの指示が出た!
3人の赤、青、黄の上半身の筋肉が異常に発達した生物が襲い掛かってきた。
「私、戦ったことがないのに・・・。てか、もう死んじゃうの?」
闘技場の端っこまで走って逃げた。途中で剣を落としてしまった。3人のデーモンは血で染まった大きな斧をもって歩いて近づいてきている。
「どうしよう、もう人生の終わりよ・・・。」
その時、何かが聞こえた。
「良かったまだ、転生したばかりだからつながったか!」
「えっ?誰なの」
「誰とか気にしている場合じゃないだろ!何かの戦いを見たことあるか?」
「えっ!ゲームの中ならあるけど・・・。」
「良かった、なら同じだ!これはリアルなゲームだと思えばいい。魔法で転生された者は、転生の時にボーナスをもらえる!」
「ボーナス???意味不明???」
「好きな攻撃をしてみればいい!・・・会話はこれが限界みたいだ。いつか会えたらまたよろしく!」
「ちょっと待って・・・・ねぇ・・・もしもし?・・・あ~、死ぬなら思いっきり反撃してみようかな!?」
デーモンはもう目の前だった。そして、デーモンが大きく斧を上にあげた。その隙にデーモンの股の方へ走った。
ズーン!闇をまとい素早い行動が出来た。
「えっ?何?このスピード!いける!」
急いで死にゆく者の剣を手にした。
「てか、剣の名前が嫌だ・・・・!武器を変化させられないかな?」
目を瞑り、念じてみた。そうすると胸の奥から黒い煙のようなものが広がる感覚がした。それを手先の剣に流すような感じで動かした。
ズーン!と低い音を立てて武器が変形した!巨大な首切り鎌に変わった!
「なんだか悪魔みたいな武器だわ!ま~とりあえず倒してみようかな」
鎌を大きく振った!
「え~~~~い!どりゃ~~~~!」
空振り・・・・・・。
デーモンは再び近づいてきた!
「どうしよう・・・当てる自信がない・・・!」
後ろからフンフンフンと音が聞こえて、自分を通り過ぎて、デーモンの方へその音が向かって言った。
ズバ!ズバズバズバ!
デーモン達は体が突然ばらばらに切られて、死んでしまった。
「意味が分からない!鎌を振っただけなのに!そんなことより、グロトリアのところに行かないと」
急いで闘技場を後にして、廊下を通った。奥の扉が半分開いていて、少し光が見えたから、その扉まで向かって、部屋に入った。
そこは、王の謁見の間であった。グロトリアは王座に座っていた。
「えっあいつ王様なの?」
「魔王様でございます」
「あなたさっきあいつと話していた」
「ダンでございます。まさか上級の死神族が出す、大かまいたちを使えるとは、びっくりしました。転生後のあなたのレベルは1なのです。」
「よくわからないけど、レベルもゲームみたいな感じなのね?」
「ゲームとは何ですか?」
「いいえ、何でもありません。それより・・・」
「あっいけません・・・。」
「グロトリア~~~、良くも私を殺そうとしたな!」
謁見の間にアリスの声が響いた!謁見の間にいるものがびっくりしていた。それもそのはず、魔王に対して、罵声を浴びせたからだ。
グロトリアはこちらを見て、目を赤く光らせた。
「ゔっ、苦しい・・・。」アリスは倒れた。