第十四話 複数の女現れる
第十四話 複数の女現る
アリス達は、何が起きたのか分からなかったが、七剣豪のもとへ急ぐことにした。
ナイツは、何かヤバイ予感がすると思っていた。
その予感は、的中していた。
二人はナイトの国を出て、正義の道という長くまっすぐな道を進んでいた。
その道には、魔物は寄り付かないという。
しかし、魔物は普通に道を塞いでいた。
「待て!なんでここに魔物がいるんだ?」
「知らないわよ、ここもいてもおかしくないじゃない?」
「そんなことない、正義の道は、多くのナイトが通るため、魔物が寄り付かなくなったんだ。今、魔物がいるということは、そのナイトを恐れていないのか知らないだけだ。」
「なら、倒すだけね!」
魔物はこっちに近づいてきた。
「よく見ると、バハムートじゃないか!」
「何それ!」
「太古に滅びたモンスターだ!なぜいるんだ?」
バハムートは口を大きく開けた。
「ヤバイ、攻撃が来る!」
バハムートの口からは紫色の光線が飛び出した。
二人は何とか避けることが出来たが、ナイトの国の城に直撃した。
「えっ!ナイトの城が・・・。」
「なんかやばそうね!逃げましょう」
アリスは逃げようとしたが、バハムートは飛んで先回りした。
「逃げられないわ、こうなれば覚醒するしかなさそうね」
「アリス!それはやめろ!あまり使わない方がいいのだろう?」
「そうだけど・・・。」
そのころとある島
「無事、時空に穴をあけ、封印された力は世界に広がった。強さを抑えて世界の平和を維持しようと考えてきた。先代の者たちの歴史は今終わったのだ。強いものが生きる世界へと変わる。ダンダリオン!お前は、これからどうするのだ?」
「決まっております。アリスの力を吸収しに行きます。我もそして、究極の神へとなる。多分アリスの力は、過去の究極魔神リリスだと思いますので!」
「なら行ってこい」
「はっ!」
ダンダリオンはすぐさまアリスのもとへ向かった。
バハムートとの闘いで避けることで精一杯の二人がいた。
戦いは長期戦になっていた。
その時、バハムートが大声を上げて、逃げていった。
「何とか勝ったのか?」
「でもおかしいわ、攻撃すらできていないのに」
ゴゴゴゴゴゴゴッ!
アリスとナイツはなんか音が鳴っているため周囲を見渡した。
「なんだ!この音?」
「ナイツ!上よ」
空の上には、人の影があった。しかし、その者は片手を上げ、手のひらには巨大な魔球があった。
「なんだ!あの魔球の大きさ!あれを食らえば生きてはいられないぞ」
「私たちが狙いみたいね」
「さぁ!食らうがいい、我が大魔神の力を!ブラックホール!」
大きな魔球を投げてきた!
どう見ても大きすぎて逃げ切ることはできない。
「アリスよ、お前の真の力を俺に見せろ!そして、その力を奪ってやる!」
「アリス!挑発に乗るな!」
「どちらにしても、生きるためには選択肢はないわ!」
アリスは、力を込め始めた。
アリスの周りに黒い闇の渦が発生し、一瞬にしてアリスを包み込んだ。
「ハァー!」
アリスの声と共に、闇が吹っ飛び!アリスは、ブラックアリスへと覚醒した。
「そうだ!それでいい!我がブラックホールに対抗できるか?」
「召喚!」
アリスは、大鎌を召喚した。
そして、大鎌をまわし始めた。
ぶんぶんと音を立てながら回転速度が上がっていき。
赤い稲光を発し、その大鎌ごと、振り投げた。
大鎌は物凄い回転でブラックホールに向かう。
アリスは、飛び上がる準備をしていた。
大鎌がブラックホールを切り裂き始めた瞬間、アリスも飛んだ。
大魔神ダンダリオンは、アリスの行動を予想していたのか、無数の槍を召喚し、ブラックホールの後ろから追加攻撃をしていた。
ブラックホールが半分に切れて、その隙間からアリスが出てきたが、その無数の槍を目の前に、大鎌をつかみ、槍をはじいた。
「それだけでは、この私に勝てないぞ!」
ダンダリオンが近づいてきた。
アリスは、空中で大鎌を振り回し、ダンダリオンに向けて回転大鎌を振り投げた。
ダンダリオンは、アリスの接近途中に大鎌が飛んできたが、それを一瞬にしてかわして、アリスの目の前に現れた。
アリスは、パンチをしたが、かわされて背中を見せてしまった。
「このまま地面に急降下しろ!」
ダンダリオンのたたきつけの攻撃が直撃し、アリスは急降下。
地面に落ちて、大きな砂ぼこりが立った。
その砂ぼこりが少なくなり、アリスが見えた。
アリスは、無事着地していた・
「ふ~う!良かった!アリス!無事か?」
アリスの反応がない。
アリスはゆっくり立ち上がった。そして、上を向いた時、ナイツは異変に気付いた。
「目が赤い!地面に何か文字が出ている!何が起っているんだ?」
「やっと本領発揮か!私の究極の技を食らうがいい!」
空中には超巨大な闇の剣が現れた。
「これで、終わりだ!ダークソードジャッジメント!」
超巨大な闇の剣がアリスに一直線で襲ってきた。
「つまらん!」
「ん?」
アリスがものすごく力を入れていた。それを解き放った瞬間に、アリスを中心に爆風が起きた。
ナイツは吹き飛ばされた。
「うわぁ~」
超巨大な剣は、バチバチと音を立てアリスの素手で止められていた。
そして、手で握りつぶした。
「なっ!まさかこの大技を、片手で受け、指だけで消しただと!」
さすがのダンダリオンもその力に驚いていた。
アリスは、手の平を下にして前に出し、召喚呪文を唱えた。
「目覚めよ!覇王の剣 カオス・プリンセス!」
ゴゴゴゴゴゴッ!
地面が揺れた。
地面から恐ろしい魔力を帯びた剣が出てきた!
「あれぞ、究極魔神の秘宝ではないか?やはりリリスだったか!その剣、もらうぞ!」
ダンダリオンは物凄いスピードでアリスに襲い掛かってきた。
しかし、アリスは召喚した剣を手にした瞬間!ダンダリオンより空高く飛んでいた。
「何?」
「てか、私、リリスじゃないし! カリンよ!」
ダンダリオンは、カオス・プリンセスで一瞬にして10回斬られていた。
「まさか、これほどの力とは・・・・。貴様はいったい何者だ?」
この言葉を最後にダンダリオンは、バラバラに斬られ消えてなくなった。
その魂がどこかに飛んで行ったのが見えた。
魔族の国の城跡で、黒い大きな物体が叫んでいた。
「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉ~!」
その黒い大きな物体は、アリスがはじめ戦おうとしたドラゴンだった。
そのドラゴンはどんどん体が小さくなり、人の形になった。
「どうやら、カリンが復活したようね!では準備をしなくちゃね!」
その体は、アリスに似ているような感じだ。
ナイツは、何かが抜けたような感覚に陥っていた。
「大魔神が死んだ・・・。これでかたきはとったのか・・・。」
「あれ、君なにしけた顔しているの?」
「おお、アリスか、すまないな」
「私は、カリンよ!」
「いや、アリスだろ!かたきありがとう」
「あら、あんたアリスって子から何も聞いていないのね」
「なに言っているんだ?」
「かたきはとってないわよ!あはは!」
「どういうことだ?あんたの仲間を殺したのは」
「やめてぇ~!」
急にアリスに戻ることが出来た。
そして、アリスとカリンの心の中の会話が始まった。
「あんた、よく入れ替わることができたわね!」
「私の口から、言うわ」
「すきにすれば!いつかあんたの体ごと乗っ取るわ!ダンダリオンのやつ、勝手に私の力を封印しやがって」
「ごめんナイツ、あなたの身内や仲間を犠牲にした技は、私の技なの。何も知らずに転送されて、ピンチになったときにとっさに出たの・・・ナイツ?」
ナイツは下を向いていた。
「ナイツどうしたの?」
「ははっ!俺なんのために旅していたんだっけ、ずっと隣に討つべきやつがいたのに、何楽しんでんだっけ?俺はなにやっているんだ?」
「ナイツ!あんまり思いつめないで、私はあなたを気付つけるつもりはないの」
「もういいよ!俺の目的は一つしかなかったから、それしか生きる意味がないからさ・・・。」
「ナイツ・・・。」
ナイツは、急にアリスをにらんだ!
「えっ!」
「お前は、俺がここで倒す!」
「えっ!待って!仲間でしょ?」
「楽しくなってきたじゃないの!あんたらアホね!とはいってもあんたの体が死ぬのはごめんだよ!」
カリンが出てこようとしていた。
「これは、私とナイツの問題、あんたは出てこないで」
ナイツの様子が変だった。
「ハァー」
ナイツは青い光の渦に巻き込まれた。
「これって私が覚醒するときと同じ」
青い光は天にまで上り、一気に吹き飛んだ。
ナイツの目は、青色に光、アリスをにらんでいた。
「ナイツ、どうか落ち着いて」
「黙れ!お前をここで斬る!」
ナイツは、ありえないスピードでアリスに襲い掛かった。
カン!と高い音が鳴った。
カリンが出てきて、カオス・プリンセスと青色のオーラをまとったナイツの剣が激しくぶつかった。
「あんた、強かったのね!でも、その青い目、どこかで見たことあるわ」
カリンはナイツを吹き飛ばしたが、ナイツは吹き飛んだ後に、一瞬にして姿を消し、カリンの背後に周り込み、一発斬りこんだ。
「うっ!なに?まさかここまで速いとは!」
「う・る・さ・い」
ナイツは話せなくなってきていた。
さらに全身に青い稲光が舞、星が揺れるほどの力を放出していた。
「あらら、何か暴走している方がおりますわ」
どこかから声が聞こえた。
ナイツは、激しく揺れる剣を高く上げ、カリンに向けて振り払った。
「ポン!」
「ん?」
一瞬にしてナイツの攻撃は消えた。
そこに立っていたのは、女神みたいなオーラを出した。美しい女性だった。
「まずは静まりなさい!」
女神みたいな人は、カリンとナイツの大いなる光で包み込んだ。
二人はその場に倒れた。
「アリス!カリン!また会いましょう!」
そう言って消えていった。
「転送!」
「ん?どうなっているんだ?二人とも倒れている!」
「どうやら、何者かがその場を収めたようだ。」
「しかし、ナイツがあの子だったとは」
「そのことは、本部についてから話そう」
「二人は、離しておく必要がありそうですね」
「恐ろしい力を持つからこそ、戦いを避けさせていた」
「七龍の力を重複転生したのがナイツだったってことか」
「かれこれ、何万年前の話だ!」
七剣豪がナイツの大きな力に気付いて、どうにか抑え込もうと考えたが、それを何者かが阻止してくれた。
世界の異常に対し、強者が表に出始めていた。
謎の女神、アリス、カリン、リリス!この者たちは、数少ない女だが、特別な力を持っていることは確かだ。