第十一話 白魔導士の魔法
第十一話 白魔導士の魔法
この街は、白魔導士の街、白魔導士は聖なる魔法を使う者だ。
街は、明るく白をモチーフとしていた。
アリスはその景色に感動していた。
「すごく綺麗な街ね」
「そうか~?」
ナイツは全く興味がない感じだ。
「あんたは、だから弱いのよ」
「なんだと!関係ないだろ!」
「魔法を使う人は、想像力が大切だから、こういう景色を見るのも重要なの!」
ナイツは、呆れた顔をしていた。
「これからどうするの?」
「俺は最近魔法ばかりで、何か学べるチャンスがないか探したいけどな、ここも魔法の街だし」
ナイツは肩を下げて落ち込んでいた。
「ねぇ?ナイツは魔法を使えないの?」
「わかんね~、魔法は学んだこともないし」
「せめて、回復魔法が使えたらいいのにね」
「そうか!ちょっと学んでみようかな!」
ナイツは、回復魔法を学ぶことにした。
二人は、街の人に聞きながら、回復魔法が探せる場所を探した。
そして、一人の顔が見えないぐらい深いフードとローブが一体になっている人から有力な情報を得ることができた。
「回復魔法なら、いい人がいる。街のはずれに、白い街には合わない。真っ黒な家がある。そこに一人の研究員がいる。会ってみるといい。」
「ありがとうございます」
「てか、白い街に真っ黒な家って大丈夫か?完全に怪しい家だろ!」
二人はその家にいった。
そして、ドアをノックした。
出てきたのは、耳が長い人だった。エルフだ!
「どちら様でしょうか?」
「あの~回復魔法を教えていただきたくて」
「う~ん、いきなり来て教えてと言われても、困ってしまいます。私の何か研究材料になあるものがあればいいのですが」
ナイツが突然話だした。
「材料なら目の前にあるぜ、魔法を全く知らない俺と見たことない魔法を使うアリスだ」
「なんと、見たこともない魔法ですか!それは気になりますね!魔法を知らないのは論外です」
「何も使えないのが恥ずかしいんだ!」
「なら魔法を拝見してから判断します。」
「アリス頼む!」
「あんた、勝手に人を売るってどういうこと?見たことない魔法ね・・・。」
アリスは悩んだ、突然だったため、見たことないといわれても、もしかしたら見たことある魔法ばかりかもしれないと思ってためらっていた。
「ナイツなんかヒントないの?」
「ない!魔法はわからないって言っているじゃないか!」
アリスは、考えた!そして、面白いことを考えた!
両手に受け皿を作って、目を閉じた。
「ウィッチボール!」
無属性の魔法のボールが現れた。
「それだけか?残念だが」
「待って、まだ途中よ!」
「火・雷・風」
3つの属性がウィッチボールの中に入った。
ボールは、上半身ぐらいのサイズになる。
「シャンブル!」
ボールの中で激しく3つの属性が混ざり始めた。
やがて、表面に雷を帯びビリビリ音を立てだし、風のようにボールが回りだした。
玉の中は炎が渦巻いている。
アリスは片手でそれを上にあげ、投げる態勢を取った。
ボールは、強い魔力を帯びた魔球へと変化した。
「できたわ、ロギアストームボール・フレア!」
「なるほど!ボールの中に入れ込む量を属性毎に分けることで、メインとサブとサポート役を決めているのか。組み合わせは、無限か!」
「さすがですね!炎をメインにして、風のように渦巻く魔球に雷を加えた感じ!」
「発想は面白い、属性は量によっては相性が悪くなり不発で終わる場合が多い。見事な調合だ!」
アリスは照れた。
「とりあえず、想像力で何とか作り上げているの」
「想像力だけでは限界がある。入りなさい。おっと言い忘れていた。私は、エルフのヒルスだ。よろしく」
「こちらこそよろしくお願いします」
「おれの事忘れないでくれよ!」
アリスとナイツは、ヒルスの家に入った。
そこには、大量の本と、実験台など様々なものが置いてあった。
「私は、回復魔法専門の研究者だ。1000年この研究を続けている。」
「1000年!すごい!」
「たいしたことないよ、まだわからないことも多い。」
ヒルスは、一冊の本を取り、何かの準備を始めた。
「私は、細胞の初期回復魔法を発見した。人は、生まれ持って完璧なものはいない。初めから何かしらの障害を持っているのだ。」
「そんな、全員が障害を?」
「そうだ!そこにいる小僧は、魔法を知らないというより学ぶ気も知る気もない、この意欲の無さもその障害だ。国が分かれるのもすべてその障害を差別したものになる。似た者同士が力を合わせ、違うものを嫌う。」
「そうなのか~俺は、障害を持っていたのか、でも、直すことなんてできないよな!だから、個性であり、障害ではないのではじゃないか?」
「その考え方もできる、私も初めはそれだった。それを治療できる魔法を知るまでは!」
「治せるのか?」
「ああ!だから小僧にその魔法をかけてやる!」
「あっ!俺の名前は、ナイツだ。」
「どうでもよい、しかし、私が治せるのは初期の基本的な細胞だ。進む道の選択視が増えるということだ、強くなるわけではない。」
ヒルスは、ナイツに手の平を向けた。
「コンポーネント・リザレクション」
「少し、時間がかかるがその魔法陣の中にいてくれ!」
激しい光がナイツを包み込んだ。ナイツからは何も見えなくなった。
「さて次は君だ!まずは、初期の障害回復を掛けたいのだが、君は、体の形から普通ではない!まずは、いろいろ調べさせてくれないか?」
「いや・・・。普通ですよ!何も変なところなんてありません。」
アリスは、何をされるかわからないから怖がっていた。
「心配いらない、調べたらそれに合う魔法ともう一つ最高の魔法治療を行おうと思っている。」
ヒルスは、アリスの体を触ろうとした。
「やめて!」
ヒルスを突き飛ばした。
ヒルスは、やはり異常と感じたのか、強引でも治すことを決めた。
「すまなかった・・・。ドクターショック!」
「ゔっ。」
アリスの腹部に気絶する電気を帯びたパンチをした。
回復させる予定で、確実に気絶させるため、パンチは、背中に拳が浮き出るほどの強さだった。そして、アリスはその場に倒れた。
研究台に載せられたアリスは、頭から足先まで隅々まで調べられた。
「これは、私も見たことのない状態だ。まずは、腹部を回復させよう」
ヒルスの回復魔法は、腹部、胸部、股部と細い部位に治療を掛けた。
「なぜ、通用しない。どうしてだ!強い回復魔法でやってみよう!」
ヒルスは、強力な回復魔法をするため、各部位を強く握り、魔法をかけた。
「はぁはぁはぁ・・・。ダメだ。俺の力では無理か・・・。すまん」
ヒルスは諦めて、細胞回復と、属性追加の回復魔法を行った。
一時たち、アリスは目を覚ました。
「ん?」
アリスはヒルスを見た瞬間に、怒りが出てきた。
「あんたね~!」
「すまん!」
「えっ?なんで謝るのよ!」
「君のその体を治すことは、私の力ではできなかった。」
女がこの世界にいないからって、そこまで異常に思わなくてもいいじゃないと、アリスは呆れていた。
「まぁ~いいわ、で?初期の治療は終わったの?」
「ああ!二人とも終わった。これでやっと回復魔法を教えることができる」
「俺も使えるのか?」
「もちろんだ!」
「やったぜ!これで本当の剣魔導士だぜ!」
「それは、難しい注文だな。剣魔導士は、剣術と魔術を両方を混ぜ合わせて使う!単体ではないのだ。」
ナイツはあごが落ちた。
「まぁ~旅する上では、回復は必要よ!さあ、教えてください」
ヒルスは一つの紙を手に取り、二人に渡した。
「これを見てくれ、これは、属性の体内回路図みたいなものだ。」
「回復は、心臓から送るってこと?」
「そうだ、ほとんどは脳からが体内魔力への支持が出るが、回復だけは違う。目を閉じて、心臓の音を聞くのだ。その鼓動を手の平に集中させるようにする。目を開けて!手の平に光の渦ができている。これは光属性ではない。聖属性だ。あとは、回復魔法を知識で選択するだけだ。」
「すごい、これが魔法か」
ヒルスは険しい顔をした。
「しかし気をつけろ、回復は、体力を分け合うことがほとんどだ。鼓動を高めすぎて、大きな回復魔法を使うと、その分自分の体力が減る。だから回復専任は、魔力と体力をかなり高めている。」
「なら、剣士が回復を使うのは、小さい回復がメインってことか!」
「そのとおりだ。一つだけ大きな魔法を使う方法がある。それは、魔力の転換ができる者に限る。要するに魔力を体力に変えることができるってことだ。まだ、先になるとおもうから、困ったらまた来なさい。」
「とりあえず、簡単だけど学べたからいいわ!魔法のレシピだけいただければ後は自分たちで何とかするわ」
「そうか、それなら、中級魔法まで書いてあるこのレシピを渡そう」
「ありがとう」
「また来てくれ。その時は、君の体を」
「治さなくていいわ!また、会いましょう!」
アリスとナイツは、ヒルスの家を出て、次の目的地を決めることにした。
「次はどこに行くの?」
アリスはまだ、この世界はあまり知らない。しかし、強くなるスピードは恐ろしい早さだった。
「ナイトの国に行こう。そこは少し遠いいが、モンスターの強さ的にはその道しかない」
「分かったわ、行きましょう」
「その前に、装備屋に行かないか?」
アリスは自分に合うものは置いていないと知っていたため、ナイツ一人に行かせた。
ナイツは戻ってくると、がっくりしていた。
「どうしたの?」
「この国は魔法の装備ばかりで、ナイトの装備は置いてあったが、高級品ばかりだった。」
「まぁ~次の国で買いましょう。」
二人は、白魔導士の国を出て次の目的地へ向かう。
ナイトの国への経路は、魔導士の森を抜け、戦士の墓場を通り、ナイトの訓練草原、古代の剣の象徴を過ぎれば、ナイトの国だ。
そのころ、とある島。
ひゅ~う、ドーン!
「何かが落ちて来たぞ!」
コト、コト、コトと歩く音が聞こえた。
そいつが現れたところには、門番が二人立っていた。
「貴様、止まれ!要があるなら俺たちにいいな!」
「誰に口を聞いている?」
「はぁ?こいつなに言って・・。」
ドタドタ!と門番は倒れた。
その謎の者は門を開けた。
そこは、城だった。そして、中を進んでいくと謁見の間に着いた。
「遅かったじゃないか!」
「今、戻りました。」
「それで、うまくいったのか?」
「はい!」
「なら、あと3人だな!はっはっはっはっは!準備しておけ」
「はい!分かりました。」
「門番を足しとけ!ちょっとは相手が分かるやつにしとけ」
「もうすぐだ、この源世界がすべてこの手に!」
世界では何かが動き始めていた。魔法会の総長や七剣豪、秘宝の剣、ガーディアンの過去、大魔神に謎の島。この先一体何が起るのか?