第十話 隠された部屋
第十話 隠された部屋
魔導士の塔で地下への階段を見つけた二人は、その階段を下ることにした。
階段は古びていてずっと誰も通っていない感じだった。
二人は階段を降り始めた。
すぐに下の階へ着くと思っていたが、階段は螺旋状になり深く続いていた。
「なんか薄暗くて怖いな!」
ナイツは何かが出るのではないかと感じ、恐る恐る進んでいた。
「とりあえず、何も出ないことを祈りましょう」
アリスはいたって冷静だった。
そして、階段を下りていくと何もない広い空間にたどり着いた。
「私が見た、空間に似ているわ」
アリスは周りを見渡した。
「それって、アリスが言っていた例のやつがでるんじゃないのか?」
「きっと大昔のことよ、だから大丈夫よ」
空間には何もなく、昔、すべて撤去されたと思われた。
「もどりましょう。何もないわ」
「ふぅ~よかったぜ」
ブーン!と音が鳴った。
「なんの音かしら?」
周りを見たが何もない。
「おい!床を見てみろよ!」
床には薄く光る円ができていた。
「円?薄いけどなんだろう・・・。あっ!下がって」
アリスは急に焦りだした。
「ガーディアンよ!今ここで戦ったら、私たちは死ぬわ、強すぎるもの」
「まじかよ!早く逃げようぜ」
「そうね!」
急いで逃げようとしたが、階段が見当たらない。
二人は危機を感じた。
それほど明るくないが、魔法陣から光がはなたれ、人の形をしたものが現れた。
そう、ガーディアンだ!
「やばい、もう、終わりだわ」
しかし、何か様子が変だった。
「ちょっと待って、でも、ガーディアン?弱ってるみたい」
「えっ!」
二人は驚いた。
出てきたガーディアンは、羽が折れ、ガーディアンの持っていた大きな剣が、ガーディアン自身に突き刺さっていたのだ。
フラフラしているガーディアンだが、守護神の意思は持っていた。
「不審者、我が名において、ここで始末してやる」
「ガーディアン待って!そんな体では戦えないわ」
「黙れ!お前は・・・。昔相手をした記憶がある!」
アリスは夢じゃなかったのか?と混乱した。
「貴様の邪悪な魔力は、消さなければならない」
アリスは気づいた。
「あなたは、目が無いのね」
「目など必要ない、ガーディアンは気配と魔力を感じて戦う。目は偽りを映しかねない」
「やっぱり、私の二重転生は、きっとその邪悪な魔力の持ち主だわ。一つだけ教えてほしいの、いつ私と戦ったの?」
「遥か昔のことだ、その後お前は、何度か現れた。最後は私をここまで追いやったのだ。そして、今日とどめを刺しに来たのだろ」
「そんなことない、あなたと戦うつもりなど、すこしもない」
ガーディアンは、魔力を帯び始めた。
「貴様は、これまでの戦いを否定し、このガーディアンと戦いたくないと言う、守りきれなかった私を最後まで侮辱するつもりだな!!覚悟しろ、これが最後の戦いだ!」
アリスは、まさか挑発することになってしまうとは、思ってもいなかった。
「アリス、来るぞ!」
「うん、でも、相当強いよ!」
ガーディアンは体から剣を抜いた。大量の血?が流れた。
「私には時間がない、どちらにしても滅びる。ならば最後に貴様を道ずれにする。」
ガーディアンは、剣を構えた。スピードは相当落ちている。
剣を振ってきたが、避けるのは簡単だった。しかし、問題は攻撃が聞かないこと。
ナイツがスキをみて切りかかった。
「ゔっ」
「えっダメージを食らった?」
「くそ、魔力が足りぬ。魔力さえあれば鎧を固くすることができるのだが」
「相当弱っている。魔力で防御していたのね。なら、今なら攻撃をあたえることができるわ」
しかし、ガーディアンも攻撃を止めない。
ガーディアンは大きく剣を振った。
アリスは避けたが、斬撃が飛んできた。
「危ない!」
ナイツが剣を立てにして斬撃を受けたが、肩に傷を負った。
「しまった。やはり強いか!」
アリスもファイヤーボールを繰り出すが、ファイヤーボールは剣で切られた。
もう一度、ガーディアンは剣を振って斬撃を飛ばしてきた。
しかし、斬撃は一発じゃなかった。軽い斬撃だが、斬撃100連発だった。
ナイツは何とか避けたが、アリスは間に合わない。
「アイスシールド」
盾を出し、数発は防げたが、アイスシールドは破壊され、斬撃を受けた。
全身のあちこちが斬られ、浅い傷をたくさん負ってしまう。
「痛い・・・。全身が・・・。」
「大丈夫かアリス!」
「大丈夫じゃないわよ、見ればわかるでしょ。」
「くそ!回復魔法が使えればいいのに!」
ナイツは、ガーディアンに立ち向かった。
ガーディアンを引き留めるので精一杯だった、ナイツを見て、アリスは、一つ挑戦することを決めた。
「ナイツごめん!失敗したら、負けるかもしれないけど。この術に挑戦よ!」
アリスは両手広げた。手のひらに魔力を集中させた。
「火・水・風・氷・雷・土!ハー!」
アリスの手から各属性の魔球が現れた。
「なんと!6つの属性を感じる。まさか、そんなことあるはずがない!」
「おお~すげーなアリス!属性は過去3つが限界といわれてきたのを!」
「えっ?そうなの?まぁ~いいわ。とりあえず、レインボーショット!」
魔球は円状を描き、ガーディアンに飛んでいった。
「そんな攻撃は避けてしまえばいいだけだ!魔力も弱い!」
アリスは右手を開いて前に伸ばした。
「ん?」
「そんなことかと思ったのよ!ショート!」
手のひらを閉じた。
魔球はお互いがぶつかった。反する属性、結合する属性混じって異変が起きた。
そのすきにアリスはガーディアンに向けて走っていた。
そしてその異変が起きているところに手をのばし、何かを引っ張り出した。
「聖獄の槍召喚!」
槍を持ちすぐに投げる姿勢を取った。
「ホーリー・クロス・シャドー・ストライク!」
槍は、光の速さで、ガーディアンに向かった。
「ガーディアン・ガード」
ガーディアンと槍はぶつかり、激しい光を出していた。
ビリビリと音を立てていたが、ガーディアンにひびが入っていくのが分かった。
そして・・・。
槍は、ガーディアンを突き抜けた!
ガーディアンはその場に膝をついた。
「最高の戦いだった。まさか、光と闇の力を帯びた、攻撃をするとは、おぬしは、邪悪な魔力の持ち主でもあるが、何か違うものがあるみたいだ。」
ガーディアンは床に完全に横たわった。
「私が消えたら、石が残るはずだ、それを持っていけ、そして召喚獣の国へ行け。そこに行けば理由はわかる」
そして、ガーディアンは消え去った。
コロン!と落ちたのは、輝く石だった。ガーディアンの盾の印が彫られていた。
それをアリスは広い、胸元にしまった。
戦いよる傷だらけ状態で、周囲を見渡すが、何もない。
「何もないから帰るしかなさそうね。」
「そうだな」
二人は肩を下ろしてがっくりしていた。
ガタン!
「うわぁ!なんだ?床が落ちたのか?」
「違うわ、床が下がろうとしている。」
そして床がさらに下に下がり始めた。
かなり奥深くまで行ったところにあったのは、一つの扉だった。
その扉を開けて、中に入ると、いくつかの本棚と一つ机が置いてあり、奥には、何か大きな結晶玉を置いていたかの台があった。
そのとき!
「誰だ!ここは、私の部屋だ。勝手に・・・。君たちは?」
「あなた死人でしょ!」
少し黙り込んだ相手は、話始めた。
「その通り私は死人だ、この後ろに置いてあった。魔晶石を取られたからんな。その時に殺された。」
「もし、魔晶石が目的ならあきらめて帰りなさい。」
「いいえ、そんなのも何も欲しくない、この世界を知ることが私の目的なの」
「そうか、なら君にお願いがあり。魔晶石を魔晶石の生まれた場所に戻してほしい。
「わかりました。」
「よし、いいものを上げよう。私の机の下の床下に隠してある。」
では、私は、深い眠りに入る。と言って消えていった。
床下を開けてみると、そこには一冊の本が置いてあった。
アリスは迷わず開けた。
まず、この本を読むのではない。頭に入れるのだ。
魔法の使い方にはたくさんある。
攻撃・回復・強化・吸収だ、近年吸収は禁止されて、かき消されているが
実際には使える。そうできないように仕向けている。
その吸収を使うのだ、そうすれば、本に書いてある全魔法ぐらいは簡単に覚えることができる。
「よし!やってみよう!
アリスの頭の中に多くの知識が入り込んできた。
その瞬間、手に持っていた本は、燃えて消えた。
「えっ大事な本じゃないのかしら」
カタカタカタカタ方!
突然後ろから 足音が聞こえた。
振り返ると「貴様ら何をやっているのだ?」
「こんな部屋は知らないぞ、連行だ。ついてこい!」
二人は塔から出て、白魔導士の城に連れていかれた。
大きな城の門くぐった。
謁見の間では、陛下にお願いをする方が多かった。
次に、アリス達が連れていかれた。
「陛下、魔導士の塔に地下を発見し、その中で怪しげな行動をとっていた二人です。」
「なんと、あの塔に地下があったか、何かあったか?」
「何もありませんでした陛下」
アリスは丁寧に話をした。
「そうか、まずは牢獄に入れておけ、まだ、何が起っているのかわからんからじゃ」
そう言って二人は牢獄行になった。
「ナイツ、何があってもたくさんのことをしゃべらないようにして」
「なんだよ!」
「私はこの世界の常識が無いの、だから、何でもしようとする。
それが裏目に出なければいいけど。」
アリスは下を向いていた。
「なんとなく気付いているの、私は普通とは違う、何か特殊な能力を持っている。だから世間に知られると、どうなるかわからない!利用される。研究対象にされるなどね」
「分かった。明確になるまで話さないようにする」
「ありがとう、ナイツ」
ガチャ!と牢獄のカギが開いた。
「やっとでられる」
「なぜ、出られるのですか?」
「あの地下には何もないことが分かったんだ。」
釈放された二人は、ガーディアンと魔法の本については、決して話さなかった。
アリスが、使う技は、バラバラだが6属性使いはレアだという。
白魔導士の町に着いた二人は、これからどうしていくのか?