第九話 魔導士の塔のひみつ
第九話 魔導士の塔のひみつ
草原でケロベロスとの戦闘で、奇跡の勝利を起こしたアリスとナイツは、草原で疲れをいやした後、魔導士の塔を目指すのであった。
ナイツは、借りていた疾風の剣をよろず屋へ返しに行った。
「よろず屋の主人!この剣ありがとう!軽くて良かったよ」
「いいってことよ、でも、よく勝てたな!レベル低いだろ!」
「ギク!」
ナイツは分かりやすいポーズをしていた。
「隠さなくてもいいよ、いいものを見せてもらったよ。もう一人はアリスっていう人だったね!興味が出てきた!旅するよろず屋!必ずまた会おう!」
よろず屋は手を振って先に草原を抜けていった。
「アリス待たせたな!」
ナイツはアリスが何かを考えているのに気付いた。
「なんか困っているのか?」
「う~ん、この剣(巫女の剣)がどうしても持ち上がらなくて!」
「どれどれ」
ナイツが巫女の剣に触れた瞬間、「バチッ!」と電気が流れた。
「痛たぁ~」
「ナイツは触れないんだ、私は触れるけど持ち上がらない」
ナイツは考えた。
「そういえば、こんな話を聞いたことがある。誰から聞いたのか忘れたけど。武器を扱うのには種類がある。超重量武器~超軽量武器の種類だ。さらにこれには組み合わせるスキルがあるらしい、魔法でも軽くしたり、重くしたりできる。すごいやつは、超重量武器を持って、軽くするのと重くするのを使い分けるみたいだ。」
「私が知っているのは、超重量武器を軽くして持つこと」
ナイツはびっくりした。
「それは、上級魔術だぞ!でも、持ててないか!」
「どっちにしろ、この剣は持っていけない。置いていくしかないね」
アリスは巫女の剣を置いていくことにした。
秘宝といえども、簡単に扱うことはできなかったのだ。
やがて、草原を抜けた2人は、魔導士の塔へたどり着いた。
魔導士の塔は、空高くそびえ立っていた。
「すごいなー、近くで見ると、雲を突き破るほどの高さが分かるな」
ナイツは上を向いて驚いていた。
アリスは、魔導士の塔の入り口の人に話かけていた。
「この塔の中は入れますか?」
案内人「もちろんです。魔導士の方ならだれでも入れます。しかし、入れるのは自分のレベルの階までです。それ以上に上ると、その階に対応できる魔法がないと、負傷してしまいます。たとえは10階では、炎の階と呼ばれ、常に炎の中で過ごすことになります。」
「分かりました。図書館はありますか?」
「はい、塔の真ん中は誰でも使える図書館です。魔法の種類などは、レベル関係なく見ることはできます」
アリスは、何かを調べようと思って中へ入ろうとした。
ナイツが走ってきた。「待ってくれよ、俺も行くよ」
案内人:「魔導士しか入れません。あなたはナイトじゃないでしょうか?剣魔導士は入れますが」
ナイツは嘘をついた。
「俺は、剣魔導士だ。知識を増やしに来たんです。」
「分かりました。ではごゆっくり」
「ふぅ~、何とかは入れたか」
呆れた顔でアリスが話しかけた。
「あんた、平気で嘘つくのね!」
二人は真っ先に図書館へ行き、魔法について意識を増やした。
「火・水・風・雷・氷・土・光・闇の属性があるのね、でもこれ以外にも大昔はあったと書いてある。謎ね!でもまずは基本かな!」
「魔力には量があり、上級ほどその消費が激しい。超重量武器を保持するには、魔力をかなり要する。容量か、それが効いてそう!」
「魔力の量の増やし方、魔力を限界まで使う!だから魔導士は、修行で魔法を使い続けるのね!なんかわかってきた。」
「魔法の種類や威力は、魔力の消費量とスピードが大きく影響する」
「究極魔法は、詠唱も長く、ほとんどの魔導士が、詠唱中に魔力の量が尽き果てるという」
アリスは、魔導士の知識を一気に取り込んだ。
アリスは、図書館の奥に光る一冊の本に気付いた。
「この本を見なさい!」
「この本私に話しかけている」
ナイツはアリスが何を調べているのか分からなかった。
アリスがとった本は、赤い古ぼけた本だ。
取って開いてみたが、すべて真白だった。一体何なのだろうか?
アリスはその本を棚に戻した。
その時、外が騒がしくなった。
「なんか外が騒がしいな、見に行こうぜ!」
「そうね!」
二人はすぐに外に出た。
すると周りは、一人の老人を見てサワサワしていた。
「あの人、魔法会の総長じゃないか?」
「めったに出てこないと聞くが、よほどのことがあったんじゃないのか?」
「魔法会の総長は、この塔の最上階にいるみたいよ」
「いったいどこに行くのかしら?」
「すごい人みたいな、アリス!」
「そうみたいね!」
みんなと同じように見ていたら、その総長がアリスの方を見た。
アリスは、びっくりしてお辞儀をしていた。
すると、総長もお辞儀をしていた。
「まじかよ、なんかラッキーだな、アリスは!」
「君からは、邪悪な気配を感じます」
「えっ!誰?」
アリスは急に話しかけられたため、周りをキョロキョロした。
「何やっているんだ?お前?」
ナイツには聞こえていないようだ。
「この塔の周りを入り口スタートで右回りに3回、左周りに1回、さらに右に1回まわりなさい。では」
アリスは、不思議な感覚だったが、その言葉を信じることにした。
そして、アリスは言う通りに行動し始めた。
「おいアリス、何しているんだ?散歩なら勝手にやってくれよ」
「嫌ならついてこなくていいわよ」
ナイツは、ついていくことにした。
「あ~グルグル回って、反対に回って何がしたいんだよ」
「まぁ~黙ってついてきて、私もわからないの」
そして最後の右回りの半分を過ぎた時だ。
「なんか、さっきの場所と違わない?」
「はぁ~同じだろ?」
微かに変化していた。空の色は赤くなり始め、塔も古くなってきている。
そして最後の一周を回りきったときには、まったく違う感じになっていた。
「アリス!お前何をしたんだ?何が起きているんだ?」
ナイツは完全に混乱していた。
「あの総長が私に話かけてきて、ここへ行く方法を教えてくれたの」
「何も話してなかったじゃないか?」
「多分、私だけに魔法か何かを使って話したんだと思う。詳しいことは分からないわ」
「帰ろうぜ」
「いいえ、この塔に入るわ」
アリスは、必ず何かあると思って、その塔に入った。
古い扉を開けて広がっているのは、ただの白い床に何もない部屋だった。
塔なのに登りの階段はない。奥に下りの階段があった。
アリスとナイツは中に入った。ドアが勝手に閉じた。
「とりあえず、奥の階段を下ってみましょう。」
「もう、勝手にしろよ、黙ってついていくよ」
ナイツは怖がっていた。
真ん中近くに来た時に、床に魔法陣が現れた。
そして、魔法陣から光が出て、何か人の形のようなものが出てきた。
光が消えるとその姿ははっきり見えた。
形は人だが透明の翼が4本と全身は鎧で覆われ、大きな刀を両手に持っている。
「このモンスターは・・・・図鑑にのってない!」
ナイツは、びっくりして、戦闘になることを恐れた。
突然その出てきた者が話しかけてきた。
「我が名は、ガーディアン、この塔の守護神である。そなたらは、迷い込んだ者か?それとも招かれた者か?」
アリスは迷わず答えた。
「招かれた者よ!」
「ふふふ!ここに来たものは全員そう言う。不審者よ、ここで始末してやる」
「てか、最初から聞く意味なくない?」
アリスは、呆れていた。
「でも、戦闘って!強そうじゃない!」
アリスは、勝てる気がしなかった。
今までの敵とははるかに違う感覚がしたのだ。
ナイツは、戦うしかないと判断して、先手を打ちに突進していった。
剣を振りかぶって、思いっきりぶつけた。
カンッ!と高い音が鳴った。
「愚か者!我に勝てると思うな!」
まったく効いていなかったのだ。ガーディアンは剣を高く舞い上げ、ナイツに向けて振った。
ナイツは、避けれないと思って武器を立てにして、真面に攻撃を受けた。
余りの衝撃でナイツは部屋の壁まで吹き飛んだ。
ナイツの剣は、真二つに割れた。斬撃も飛んだため、ナイツは頭から股まで、深い傷を負った。一発で気を失い瀕死状態になった。
「ナイツ~~~!」
アリスは叫んだ。
「強過ぎよ!あの総長は私たちを始末するためにここにおびき寄せたのね!」
「次は貴様だ!ん?貴様の魔力、感じたことあるぞ、闇の王国から来たのか?ならば、排除せねばならん」
「何言っているのかわからないけど、簡単には死ねないわ」
ガーディアンはものすごいスピードで剣を振ってきた。
アリスは、剣を避けるのが精いっぱいだった。
「逃げ足だけは、早いな。だが残念だ!」
ガーディアンが姿を消した。
一瞬で後ろに現れて、アリスも振り返ったが、ガーディアンの蹴りが腹にダイレクトに当たった。アリスの体は、くの字に曲がり、高く舞い上がった。
「ゔっ!苦しい、がはぁっ」
アリスは気を失いそうだった。
そのままアリスは落下し始めた。
「闇の力を持つものよ、ここで消え去るがよい」
ガーディアンは、落ちてくるアリスの心臓に大きな剣を突き刺した。
剣は深く突き刺さり、首から股付近まで入り込んだ。
剣を払い、アリスは瀕死状態で、床に叩きつけられた。
「楽にしてやろう」。ガーディアンはアリスの真上に浮いていた。
ガーディアンは、両手の剣を高速で五月雨突きを繰り出した。
・・・・・・。
「アリス!アリス!おい、アリス!起きろ!」
「えっ?私死んだはずでは?」
ナイツが一生懸命呼びかけていた。
「お前大丈夫か?倒れたと思ったら、死ぬかのような叫び声だしてよ」
「ここは、塔の入り口の前だ!」
アリスは考えた、「どこからが本当なのかしら」
ナイツと話しをしたアリスは、塔を回って最後の一周に入るときに倒れたという。
「なら、総長が伝えたかったことがあるはず」
アリスは急いで塔の中に入った。
ガーディアンが出てきて自分がトドメをさされたところに行ってみた。
そこには、銅像が立っていたが、銅像の周りをよく見ると、地面に剣を刺した後があった。
「もしかして、ここは塔じゃなかったのかも」
「何言っているんだ?」
「あれは、過去の出来事を見せてくれたんだわ」
アリスはキョロキョロして、突然走っていった。
ナイツも追いかけていった。
「ここ、図書館だぞ」
「あの奥の棚のとこらへんだったはずだけど、あっさっきの本」
アリスは、赤い古びた何も書かれていない本のところに行った。
「なんだ?その本?」
「ここに何かヒントがあるはずなの」
本を開いて中を確認したが、何もない。表紙には何か絵が載っていた。
「ガーディアンだわ、この絵ガーディアンの絵よ。でもどうすれば」
分からなかったアリスは本をしまったつもりだったが、反対に入れてしまった。
すると棚全体が光出した。
「さぁ通りなさい、棚を通り抜けることができる」
アリスは、棚をするりと通り抜けた。
ナイツも一緒についてきた。
そして目の前には、地下に続く階段があった。
「まさか、階段があるなんて、アリス大発見だな!」
「でも、何があるのか怖いわ、ガーディアンが守っていたけど、今はいない。昔何か起きたのよ」
「ガーディアンも倒されて、秘宝でも盗まれたってことか、でも今は比較的平和じゃないか!」
「とりあえず先に進みましょう」
アリスは、なぜ自分がそこにたどりついたのか理解はできなかった。邪悪な力もなんのことかさっぱり、昔、残酷な戦いが行われていたこと、かなり強い者たちがいたことは、何となく感じていた。
この先に待ち構えているものは、何かは分からないが、それを確かめるために、二人は先へ進むことにした。