第97淡 対スライムその81
「我は放つ、岩の迫撃っ!」
ヒュッ……ドンッ
「キュー……。」
遠距離から突如として飛んできたソフトボール大の岩が頭部に当たり、一撃で天に召される野兎。
もちろん、俺が投擲したものであるが、距離にして20mをジャストミートさせており、精度は上々と言える。
横たわる野兎を拾い上げ、葦製の籠に入れる俺。
「これは家用にするかな。」
相変わらずビベイロで売り物にする薫製作りも続けているが、
1ヶ月程前にアレハンドロに狩りに連れていって貰った後、林一帯から森の際までなら狩りに出る許しを得ていた。
母マルタは狩りの真似事程度と思っていたので、少し心配したが、
アレハンドロには、弓術の急激な上達に加え、投擲の実力を一部垣間見せると、新米狩人としてある程度の行動の自由を認めてくれたのである。
━━━━ 昨日 ━━━━
……パキッ……パキッ……パキッ……
「アル……いつの間にこんな……。」
ガルシア家一同が見守る中、家の前に立てた的の中心部に次々と俺の投げた石礫が命中していく。
その度に20m程離れた的の木板から乾いた命中音が聞こえていたのだ。
「弓の腕がめきめき上達してるのは、知ってたけど、投擲がこんなに上手いとはね。」
先程からアレハンドロは、感心しっぱなしだったし、母マルタと妹メイシャは手を叩いて歓声を上げていた。
「アル君、ほんと上手ね~。」
「兄ぃに、凄い凄いっ!!」
フッ、スライム相手に投げ続けたのは、伊達じゃないっ!
まあ、本来の実力なら拳大の岩でも同じ芸当が出来るが、それはやり過ぎというものだろう。
「……確かにこれなら林までなら独りで入っても大丈夫そうだね。」
アレハンドロは、外見の爽やかさとは反比例して、冷酷とも言えるくらいのかなりの合理主義者だ。
投擲の腕に加えて、この1ヶ月間、狩りに一緒に出て、俺が最低限自分の事は自分で出来る事を知っているのもあって、すぐに独りで狩りに出る事に対して理解を示す。
マルタ母さんは、腕は認めつつも難色を示していたが、「アレクの子供だもんね。」と最後は了承してくれた。
これをもってついに俺は合法的な行動の自由を勝ち得たのである。
……森の際どころか、隣村より更に奥深くまで探索しちゃうけどね。
━━━━ 現在 ━━━━
そんなこんなで川縁でささっと野兎の血抜きをして、朝の狩りを終えたら、そのままスライムホイホイでスライム叩きに移行だ。
装備を整えた俺にとって、パープルスライムも難敵ではない。
雷線は、小札散布で防げるし、近接戦闘となれば全ての面で圧倒出来る。
「フシュー……。」
今日も散々拳で語らった後、直突を弱点の核に当てる事に成功し、パープルスライムを霧散させた。
各種技能もこの1ヶ月で1段階上がったし、レベルも今の戦闘で上がってLv97。
その上、新装備ゲットのための資金も貯まりつつある。
「……うんうん、そろそろ次に購入する装備をどんな感じにするか詰めておかないとな。」
効果を実感しているだけに、装備を夢想して、思わず不敵な笑みが浮かぶ。
その上で具体化するには、細かい効果等をカルロス爺さんから確認しておく必要がある。
スキップ混じりに教会へと向かう俺であった。
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主人公のステータス
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:8歳
身長:133cm
体重:30kg
出身:カルベリオ村
所属:なし
業:-1
徳:-2
Lv:97
状態:正常
体力:39/39(➕1)
魔力:12/12
筋力:35
反応:20
耐久:23
持久:22
※( )内は、前話からの変化値
職業:戦士Ⅱ
能力:棒術経験値向上D、棒威力向上D、重打E、擦過耐性E
技能:棒術Ⅲ、投擲術Ⅲ、探索術Ⅲ、格闘術Ⅱ、弓術0
加護:なし
装備:鋼杖⬆反応向上F、麻の服、木皮の靴、(戦闘時のみ鋼鉄製短冊籠手⬆筋力向上F、木製短冊胸当て、同背甲、同肩当て、同肘当て、同膝当て、同すね当て)




