第95淡 対スライムその80
「ビリビリも強くなるんかな……。」
春の朗らかな陽の下、憂鬱そうな顔で呟く俺。
既に装備を整えた状態で、スライムホイホイまで来ている。
俺が相対しようとしているのは、パープルスライム。
スモールパープルスライムの上位種である。
覗き込んだ先でプルプルと揺れている赤紫色のやつを鑑定してみると結果は……
種族:パープルスライム
状態:正常
体力:58/58
魔力:24/24
筋力:13
反応:9
耐久:22
持久:14
こんな感じ。
スモールパープルスライムより、全体的に数値が上がっているようである。
ちなみにスモールパープルスライムのステータスはこんな感じ……
種族:スモールパープルスライム
状態:正常
体力:52/52
魔力:20/20
筋力:12
反応:8
耐久:20
持久:12
ただ、俺の関心事項は、多少の数値上昇ではなく、使ってくる魔法に関しての方。
もちろん、能力による補正で飛躍的に戦闘力が上がってる可能性があるので、その点についても毎回、警戒はしているけどね。
「ハァ~、眺めてても仕方ないか。くらわなければいいしね……ではでは、そいっと!」
雷線の威力がどうだろう経験値を稼ぐには、戦うという選択肢以外にない。
俺は、おもむろに拳大の石を拾ってパープルスライムに投擲する。
ヒュッ……ガンッ
投石によりパープルスライムの体面が削れた事から、ダメージはこれまでと同様に通る。
バチバチバチ……
あとは、この雷線がどんなものかだが、
外見上は、放つ光が気持ち大きくなったかなってくらいで、あまり変化はない。
速度も素人の弓矢程度で遅くはないが、早くもないといったところ。
「でやっ!」
とは言え、被弾するわけにはいかないので、短冊籠手の修理用で余分に作った鋼鉄製の小札を雷線に向かって複数ばら蒔くように投げ付ける。
「雷属性っていうのも良し悪しあるよな~。」
俺が言うように、宙を舞う小札の1つに雷線が当たると、吸い込まれるように同化し、ポトリと地面に落ち、それっきりとなる。
小札は雷線に当たって以降、帯電した状態となるが、地面に落ちた時点でその効果も霧散し、完全に魔法としての威力はなくなってしまうのである。
残念ながら、小札が潤沢にあるわけでもないので、5~6回分しかこのデコイ的な使い方は出来ないけどね。
一応、投げ付けたと同時に樹の陰に入るといった2重の処置は取っているが、とりあえず雷線への対策は万全だ。
「ほら、どんどん撃ってこい!」
ヒュッ……ガンッ
あとはガンガンいこうぜ!となる。
挑発を兼ねた投石と雷線の無効化を6回程繰り返した所で、パープルスライムは沈黙。
魔力を使い果たしたようである。
「よっしゃ。アルベルト、行っきまーす!」
そうなれば、近接戦闘に移行だ。
若干、スモールパープルスライムより威力等増した触手攻撃をパープルスライムが繰り出してくるものの、回避や回避し切れないものは籠手を使って打ち落としたり防御したりして、まともな被弾はゼロである。
逆に杖による突きや振り下ろしに加え、細かいジャブを織り混ぜた俺の攻撃は、全てヒット。
攻撃の応酬はあってもダメージ的には一方的にぼこぼこにした感じで、パープルスライムを倒す事に成功する。
「う~ん♪日本一っ!」
勝利の爽快感に俺も機嫌良く拳を突き上げる。
レベルアップに、低級の麻痺耐性薬ゲットの収穫もあった。
「……これ、後片付けがめっちゃ大変なんだよな……。」
ただそこで、ふと小札が散乱した様子に、後に回収作業があるのを思い出し、我に返る。
四つん這いになってくまなく小札を拾い集めるのは、地味に精神的苦痛である。
……ポリポリと頭を掻きながら苦笑い浮かべるしかない俺であった。
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主人公のステータス
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:8歳
身長:132cm
体重:30kg
出身:カルベリオ村
所属:なし
業:-1
徳:-2
Lv:95
状態:正常
体力:38/38
魔力:11/11
筋力:35(➕1)
反応:20
耐久:23
持久:22
※( )内は、前話からの変化値
職業:戦士Ⅱ
能力:棒術経験値向上D、棒威力向上D、重打E、擦過耐性E
技能:棒術Ⅱ、投擲術Ⅱ、探索術Ⅱ、格闘術Ⅰ
加護:なし
装備:鋼杖⬆反応向上F、麻の服、木皮の靴、(戦闘時のみ鋼鉄製短冊籠手⬆筋力向上F、木製短冊胸当て、同背甲、同肩当て、同肘当て、同膝当て、同すね当て)




