表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
作業ゲー的異世界転生  作者: 蜜柑太郎
第1章 ホイホイ
87/466

第87淡 対スライムその74

新年になって1週間と少し過ぎたある午後、北風に肩をすぼませながらカルベリオ街道を西にひた走る人影があった。


どうも、俺です。


午前中は、冬季で集団保育所に預けられなくなり、俺自身の自由な行動に制限が生じてくるため、朝イチ調整池のスライムホイホイでビッグピンクスライムを叩いて、レベルアップするだけの経験値と低級の魔力回復薬をゲットした後、昼食までは家の近辺に居たのだが、

午後からは、薪集めという名目を付けて、ビベイロまで向かっていたのである。


「……ついに付加をする日がきたか……。

まあ、出来上がるまでに1~2週間くらいは見ておいた方がいいみたいだけど。」


今回、ビベイロまで行く目的は、商売ではなく、装備の強化。


今まで稼いだ銀貨60枚、つまり金貨6枚分の金額をぶっ込んで愛用の鋼杖スチールスタッフに魔法的な付加を頼む予定である。


ちなみに付加には、魔石を組み込む要領と、魔方陣を刻み込む又は特殊なインク描く要領、そしてこの2つを併用した要領があり、

魔石は効果は高いがかさ張る、魔方陣は、かさ張る事はないが効果が低いという特性がある。


更に、1つの装備に対する付加は原則1つである事から、特に事情がない限りは魔石と魔方陣を組み合わせて一つの効果が出るような要領、つまり併用した要領にする方が効果と取り回しのバランスが良くなるため一般的である。


俺も多聞に漏れず、併用した要領での付加にするつもりだ。


ただ、肝心の何を付加するかについては、未だに悩んでいた。


結局、ビベイロの道具屋に到着しても、決めきれずに店頭でうんうん唸る事になってしまった俺。


「……う~ん、妥当性から言ったら、弱点というか比較的ステータス値の低い反応を向上させるのが1番、次の候補として強点の筋力をより向上させるかっていう感じなんだけどな~。

折角の異世界、属性攻撃とか魔法攻撃ができる付加もそそるんだよね……。

ただ、使い勝手がよく分からないものに、大金を払うのはリスクが……。

でも、もしかしたら新しい戦法に繋がるかも……。」


「君、大丈夫?深刻そうな顔してるけど……。」


しばらく店頭でぶつぶつと呟いていると流石に不審に思った店員が声をかけくる。


声をかけてきたのは、まだ10代後半くらいの若い女性店員。


ピンクがかった瞳にポニーテールにまとめた栗色の髪、身長は高くないが小さくて可愛い感じ……俺よりは全然高いけどね。


水色がかったコットという幼稚園児が着るスモッグの丈を長くしたワンピースに装飾の施されたベルトといった出で立ちで、他の店員と比較すると看板娘的なの位置付けのこっぽい。


「あ、いや、頼まれもので……お使いに来たんですけど、内容をド忘れてしまって、思い出してただけなんでご心配なく~。」


俺は、近付いてきたその娘にもっともらしい理由を話す。


「あら、そうなの?お使いなんて偉いね。……じゃあ、ゆっくりでいいから、思い出したらお姉さんに声をかけてね。」


看板娘もそれに納得したのかすぐに踵を返して、定位置的な所に戻っていった。


それでも時折、こちらをチラチラと見ているが……もしかしたら万引きを疑われてるのかもしれない。


「……さてと、少し思考が乱れたけど、家に戻る時間もあるし、そろそろ本当に決めないとな。……よしっ。」


迷った時は基本に立ち返るべきだろう。


そう考えた俺は、先程の看板娘に声をかける。


「あの注文、いいですか?」


「大丈夫?思い出せた?もちろん、いいわよ。」


「えっと、この杖に反応向上の付加をして欲しいんです。」


それを聞いて看板娘さんは、えっという表情を浮かべる。


付加をして貰うには前世の感覚で何十万ってお金がかかるものなので、この反応は当然といえば当然だ。


「……付加って君が?」


「はい。でも、俺のじゃないです。父さんからの頼まれものですよ。」


一瞬、間を置いて質問してきた看板娘もそれを聞いて、なるほどという感じで羊毛紙を差し出してくる。


「さっきそう言ってたもんね。

じゃあ、この用紙に必要事項を書いて貰うんだけど、文字の読み書きは大丈夫?あ、でも、もし出来ないようなら、私が読み上げて、代筆するから心配しなくていいわ。」


もちろん、既にこの世界の言語をマスターしている俺には造作もないこと。


用紙とペンを受け取り、さらさらと必要事項を書いていき、記載済みの用紙を看板娘に返す。


「はい、どうぞ。これでおいくらになりますか?」


「凄い。その歳で読み書き完璧なんだ……ちょっと待ってて、職人さんに聞きに行くから。」


看板娘は、用紙を持って店の奥に消える。


道具屋に隣接する工房で、こちらのオーダーに対する回答を職人に確認しているのだろう。


しばらくして奥から戻ってくる看板娘。


「代金は金貨5枚と銀貨5枚になるわ。」


事前にある程度、相場を調べていたが、金額を聞いてホッと胸を撫で下ろす俺。


大人にとってもそれなりの金額なため、大丈夫?という表情の看板娘に、銀貨55枚を渡す。


「じゃあ、前金で全額。確認して下さい。」


「えっ…………。

……銀貨55枚、確かに……。あと、納期はちょっと依頼が立て込んでて3週間程かかるわ。」


ドサリとカウンターに置かれた小袋と、その中の銀貨に面食らった看板娘であったが、勘定を終える頃には冷静になれたようで、納期を教えてくれた。


「3週間後ですね、分かりました。

では、宜しくお願いします。」


「は、はい。ありがとう御座いました。あ、お受け取りの際は、これを一緒にお持ち下さい。

注文戴いた証明になりますので……。」


俺は交換用の割符を貰うと慌ててお辞儀をする看板娘を尻目に、カルベリオ村への帰路に就く。


後ろで看板娘が「お使いっていったった小さい子にあんな大金持たせるなんて……」などと言ってた気がするので、今度からは気を付けないといけないかも。


とりあえず、まだ色々見ておきたいものもあったが、店頭で長々と悩んでしまったせいで、途中に薪拾いをしなければならない事を考えれば時間も時間だ。


「……完成するまで3週間か……その間、折角手に馴染んできた杖から鋤に戻っちゃうのは難だけど、付加したらどんな感じになるのか楽しみだな~っ!」


しかし、高揚する気分とともに足取りが軽くなったからか、猛スピードでカルベリオ街道を走り抜けて……結局、予定より早く家に着く事になる俺であった。



ーーーーーー


主人公のステータス

名前:アルベルト=ガルシア

種族:人

性別:オス

年齢:7歳

身長:128cm

体重:27kg

出身:カルベリオ村

所属:なし

カルマ:-1

モラル:-2


Lv:87

状態:正常

体力:38/38

魔力:11/11

筋力:31

反応:19

耐久:21

持久:21(➕1)

※( )内は、前話からの変化値


職業ジョブ:戦士Ⅱ

能力アビリティ:棒術経験値向上D、棒威力向上D、重打ヘビーヒットE、擦過耐性E

技能スキル:棒術Ⅱ、投擲術Ⅱ、探索術Ⅱ、格闘術Ⅰ

加護ギフト:なし

装備:×牛引きプラウ、麻の服、木皮の靴、(戦闘時のみ木製短冊胸当て、同背甲、同肩当て、同籠手、同肘当て、同膝当て、同すね当て)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ