第79淡 対スライムその66
「フンフンフン♪」
夏の陽射しが照り付ける中で、鼻唄混じりに街道を行く俺。
その足取りはどこかスキップめいて、軽やか。
実際、気分は上々である。
「……何を食べようか、ムフフフ。」
今向かっている街、ビベイロには、喫茶店があるのだ。
そこでは、ワッフル、ウエハース等の焼き菓子やクラップフェンのような揚げパン、ドライフルーツにジャムと
カルベリオ村ではなかなかお目にかかれない甘味が俺を待っている。
「前世では、そんな甘党ってわけじゃなかったんだけどな~。
田舎じゃ甘いものは少ないし、ないと有り難みが分かるというか……。」
ちなみにここに到るまで、俺はかなり頑張った。
「スイーツっ!」
ドゴンッ
「ブヒァ……。」
時には猪の脳天をかち割って。
「ドルチェっ!」
バゴンッ
「キュー……。」
時には、兎を問答無用でぶっ飛ばして。
「デセールっ!」
ゴスッ
「クク……。」
また時には、罠にかかった鹿の首元に止めを刺して。
いつも以上に気合いを入れて狩りに勤しんだ結果、その副産物としてレベルも早めに上がっている。
まあ、ビッグレッドスライムもきっちり倒して経験値稼ぎのルーティーンは、継続してるしね。
ビッグレッドスライムとの戦闘も熟れ 小慣れしてきているため、火球や炎柱を回避しながら石を投擲、魔力切れにしたところで、鋤と触手ストレートの応酬……
俺が威力・手数と圧倒して粉砕していた。
そして、海産物系も含め色々と材料をゲットしたら、並行的に製作していた掘り下げ式の土竃を使って冷燻法で薫製を作る。
これによりある程度まとまった量の売り物を確保出来た。
しかし、出来たはいいものの、今度はそれを売らないといけない。
ビベイロの街中に入るのには、その度に入場料を払う必要があるし、中で商売をするには、例え子供のお使い程度でも申請が必要であった。
無論、申請にもお金がかかる。
「なんてこった……。」
途方に暮れる俺であったが、困った時のカルロス爺さん。
カルロス爺さんによれば、全てをフリーにするには、住民登録をしなければならないが、入場料は毎度になるものの少し露店商をするくらいなら冒険者ギルドに登録するのが手続きも簡単&条件が少なく良いらしい。
そんなわけで、入っちゃったよ冒険者ギルド。
レベルとかがバレたら面倒だなっと一瞬心配もしたが、あくまで本人確認が出来ればいい位置付けのものらしく、
受付のお姉さんに簡単な説明を受けた後、魔法陣が刻まれた専用の書込器に手を置いたら、金属製のカードを渡されて終わり。
「銀行カードみたいだな……。」
名前が刻まれたカードは、カードを読取器にかざすと生体データが表示され、本人確認が出来る。
俺の場合だとこんな感じ。
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:7歳
身長:124cm
体重:24kg
出身:カルベリオ村
所属:なし
業:-1
徳:-2
ステータスのレベル以下は、出ない。
そういう強さに関する評価は、A~Fのランクでするのだ。
全部を表示するようにすると書込器と読取器に高等な術式を組み込まなければならないし、そもそも職業や能力による補正も大きいため、ランク評価制度になったとの事。
実績を重ねていく事で、このランクが上がっていくので、数値に惑わされず実力を測れる方式と言えるだろう。
……俺は最低のランク外だけどね。
さてさて、今はそんな事より甘味、甘味、甘味!
期待に胸膨らませ、ビベイロに向かう速度が心なしか上がる俺であった。
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主人公のステータス
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:7歳
身長:124cm
体重:24kg
出身:カルベリオ村
所属:なし
業:-1
徳:-2
Lv:79
状態:正常
体力:37/37
魔力:10/10
筋力:29
反応:18(➕1)
耐久:20
持久:19
※( )内は、前話からの変化値
職業:戦士Ⅱ
能力:棒術経験値向上D、棒威力向上D、重打E、擦過耐性F
技能:棒術Ⅱ、投擲術Ⅱ、探索術Ⅱ
加護:なし
装備:×牛引き鋤、麻の服、木皮の靴、(戦闘時のみ木製短冊胸当て、同背甲、同肩当て、同籠手、同肘当て、同膝当て、同すね当て)




