第78淡 対クラブその3
ドゴンッ……ドゴンッ……ドゴンッ
海岸に響く打撃音。
「ピギィ……。」×複数
次々と屠られていくエビルクラブ達。
それらは、何度も鋤でヒットされ、ぶっ飛ばされた上に、真上から重打を叩き込まれていたのだ。
そんなわけで、夏だっ!海だっ!海産物祭だっ!!という事でエビルクラブ等叩きに精を出す今日この頃。
今まで遭遇した中では、エビルハーミットクラブと並んで断トツに硬い魔物であるが、
俺のステータス値の上に重打が合わされば、そう多くない手数で倒せる。
更に、朝イチでビッグレッドスライムもサクッ倒して経験値稼ぎのノルマも既に果たしていた。
それ以降は、海岸沿いで狩りと鍛練を実施していたのだが、
今回はいつもと違う目的が含まれている。
それは、干物作りの材料確保である。
今までもオヤツとして色んな材料で作っていたが、俺がしようとしているのは自分で消費するためではなく売り物としての干物作りだ。
「待ってろ、ビベイロ!待ってろ、スイーツ!!」
気合いを入れて、新たな獲物探しを続ける俺。
それというのも、ここ1ヶ月ちょっとの間、第2次探索としてカルベリオ村から東西に足を延ばした。
結果、辿り着いたビベイロという街で、色々欲しいものが出来てしまったのである。
街というだけあってカルベリオ村とは比較にならない規模を持つビベイロ。
周囲2㎞に塀と壕が築かれ、その内外に3000人を優に越える人々が暮らしている。
また、港には交易船が出入りしており、武具や回復薬の類いはもちろん、村では普段お目にかかれないような食べ物に溢れていた。
しかし、垂涎のモノが沢山あるにも拘わらず、先立つもの……つまり、お金がないのである。
「……子供によくある(?)親の懐からこっそり……っていうのもリスクが高いし、そもそも村はほぼ物々交換だから、貨幣自体があんまりないもんな~。」
そんな経緯もあり、干物売って小遣い稼ぎをする事にしたのだ。
ちなみに第2次探索の成果としては、カルベリオ村の一般的な村人が知っている世界……西は隣のブレイラ村、東は同じく隣のショーバ村、そしてビベイロという範囲を7歳にして踏破した事である。
その他、周囲を探索したのをまとめるとこんな感じ。
海海海海海海海海海海海海海海
┓海海海海海海海海海海海海海
┗┓海海海海海海海海海海海海
森┃海┏━◇━━◇━━◇海海
山┗◆┛森森森森山森森森\海
山森┃森山森森山山山森森森\
山山┃山山山森山山山山森森森
山山┃山山山山山山山山山森森
※1 ◆:ビベイロ、◇:左からショーバ村・カルベリオ村・ブレイラ村、━:道
※2 1マス約4㎞四方
こうして見ると、この地方は、全般的に南高北低の地形で、南に山地、北に海、そしてその間の狭い平地が森を占めている。
それぞれの街や村もカルベリオ村と同じく先人達が森を伐り拓いて作っていったのだろう。
そんなこんなで、今、用があるのはビベイロのみ。
目標は明確である。
「……ここらを一通り回ったら、南西の森も行っておくか……猪の痕跡辺りを見付けられたらだな~。」
海岸線を望みながら呟く俺。
しばらくの間は、小遣い稼ぎに勤しまざるを得なさそうである。
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主人公のステータス
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:7歳
身長:123cm
体重:24kg
出身:カルベリオ村
所属:なし
業:-1
徳:-2
Lv:78
状態:正常
体力:37/37
魔力:10/10
筋力:29
反応:17
耐久:20(➕1)
持久:19
※( )内は、前話からの変化値
職業:戦士Ⅱ
能力:棒術経験値向上D、棒威力向上D、重打E、擦過耐性F
技能:棒術Ⅱ、投擲術Ⅱ、探索術Ⅱ
加護:なし
装備:×牛引き鋤、麻の服、木皮の靴、(戦闘時のみ木製短冊胸当て、同背甲、同肩当て、同籠手、同肘当て、同膝当て、同すね当て)




