第77淡 対スライムその65
ドゴォンッ
「フシュー……。」
俺の鋭い突きにより飛び散るビッグレッドスライムの身体。
赤色の破片が陽の光に照らされ、キラキラと輝きを放ちながら舞っていたが、
ビッグレッドスライム本体の方は空気が抜けるような音とともに霧散していた。
何とも爽やかな(?)晩春の朝の一コマである。
さて、もう夏も間近という事で、俺は第2次探索を本日から決行しようとしていた。
そして、既にその前にルーティーンであるスライム叩きを終わらせた。
結果、またレベルアップして、筋力があと1つ上がれば30の大台に乗る。
村人基準だと凄いが、この数値が戦士としてどうなのかは、未だによく分からないけどね。
いずれにせよ、あとは探索に向かうだけという状況になっている。
今日は、カルベリオ村から西方に足を延ばしてみる予定ね。
そして、スライムを叩いていた調整池から西進して、牧場まで至った所で、おもむろにお手製の羊毛紙地図を開く俺。
海海海海海海海海海海海
海海海海浜浜浜海海海海
海海海浜林林林浜海海海
浜浜浜牧畑□林森浜浜浜
森森林牧畑丘池森森森森
森森森森丘山丘森森森森
森森森丘山山山丘森森森
森森丘山山山山山丘森森
森丘山山山山山山山丘森
※1 □:カルベリオ村、牧:牧場、畑:田、浜:海岸、池:調整池、林:人の手が入ってる森
※2 1マス約1㎞四方
……地図上では、こんな感じなのだが、
実は地図には記載していないもののカルベリオ村から東西にカルベリオ街道と呼ばれる道が走っている。
元々の成り立ちは、その名の通りカルベリオ村創建の際に、20㎞近く西にあるビベイロという街とカルベリオ村を繋ぐ道として整備されたものらしい。
まあ、前世の感覚からすれば、ただ踏み固めただけで舗装もされていないため、街道と言うにはみすぼらしく感じるが、
そのおかげか今は、ビベイロとの中間地点にもショーバという名前の村が出来ているし、
カルベリオ村から東に向けて街道が延長され、延長先にもブレイラという小さな村が出来、
これらを繋ぐ道として、重宝されてるようだ。
俺は、そんなカルベリオ街道を西に小走りで進んでいく。
もちろん服装は、戦闘のための装備を見られては不味いので、外して麻の服のみといった至ってオーソドックスな村人の格好。
「小さな荷馬車がやっとって感じの道だけど、起伏もあまりないし、海風も樹々で遮られてて、結構歩きやすいな。」
順調に快足を飛ばすと小一時間程で、10㎞近くの距離を進む事が出来た。
もう隣村のショーバまで目と鼻の先である。
「……ん~、別に知り合いがいるわけでもないからな~……周りでも見てみるか。」
しかし、特にショーバ村に用事があるわけでもないので、村自体には入らず周囲をくるっと回る俺。
村を周回したり、休憩がてら地図を記入していたら、意外と時間が早く過ぎて帰るのにいい時刻になってくる。
ちなみに新たに描いた地図は、
今までの地図から西に5~6㎞範囲が広がってこんな感じ。
海海海海海海海海海海海
浜浜海海海海海海海浜浜
林畑浜浜浜海海海浜林林
畑□畑森森浜浜浜牧畑□←カ
牧畑池森森森森林牧畑丘 ル
森林森森森森森森森丘山 ベ
?????森森森丘山山 リ
?????森森丘山山山 オ
?????森丘山山山山 村
周回した限りショーバ村は、調整池に関してはカルベリオ村と比べると小さいが、あとはあまり変わらない規模であった。
村を囲むように畑が広がっているので、農作物の生産量はカルベリオ村より少し多いかもしれないけどね。
「……ふ~、今日はこんなもんかな。
街道沿いに進めば、1時間くらいでここまで来れるなら、ビベイロまでなら何とか日帰りで行けそうだな。」
ビベイロにも特に用事はないが、街という事で、どんなものか単純に興味がある。
今の所、城壁に囲まれ石畳の急な坂道が続く……前世で旅行したヨーロッパの古い街並みのイメージ。
剣と魔法の世界なので、多少の違いがあるかもしれない。
そんなわけで、明日を楽しみにしつつ家路に就く俺であった。
ーーーーーー
主人公のステータス
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:7歳
身長:122cm
体重:24kg
出身:カルベリオ村
所属:なし
業:-1
徳:-2
Lv:77
状態:正常
体力:37/37
魔力:10/10
筋力:29(➕1)
反応:17
耐久:19
持久:19
※( )内は、前話からの変化値
職業:戦士Ⅱ
能力:棒術経験値向上D、棒威力向上D、重打E、擦過耐性F
技能:棒術Ⅱ、投擲術Ⅱ、探索術Ⅱ
加護:なし
装備:×牛引き鋤、麻の服、木皮の靴、(戦闘時のみ木製短冊胸当て、同背甲、同肩当て、同籠手、同肘当て、同膝当て、同すね当て)




