第72淡 対スライムその61
冬も半ばを越えたある日の朝。
今日も今日とて、家を抜け出し、スライムホイホイに向かう俺が居た。
懸念していた妹のメイシャがついてこようとする件であるが、とりあえず、母マルタの可愛がりようを見ている限り、当分は大丈夫そうである。
俺オリジナルの積み木やパズルを与えて、完全にメイシャの気を逸らしてしまう等、色々小細工を弄してはいるけどね。
それはさておき、今日は午前中にスライム叩き、午後にはカルベリオ村西側の牧場から、丘沿いに南方向へ探索する予定である。
そろそろ春先に起こるゴブリンやコボルトの侵入を見越して、活動範囲を拡大してもいい頃だろうと判断したためだ。
「……冬の間は、時間もあんまりかけられないし、速度を発揮して、サクッと未踏地を探索しときたいな~。」
そうこうしている内に、スライムホイホイ初号機に到着。
「ふんぬっ!」
早速、中に湧いている赤いやつ、スモールレッドスライムに投石を開始。
ちなみに赤いからといって3倍強いみたいな特殊なスライムではない。
ヒュッ……ドスッ
……ボゥゥっ……バンッ
投石の弾着から、少し間を置いて返ってくる火球。
投石はスモールレッドスライムにヒットしたが、当然、俺に向かってきた火球は弾いている。
ボボボボボゥッ
「よっと!」
その後に来た炎柱も横っ跳びで回避。
「次は、火球か、はたまたもう一度炎柱か?」
いずれにせよ、次で、スモールレッドスライムの魔法は打ち止めとなる。
俺は、それを見越し、正面からスライムに向かって駆け出す。
ボゥゥッ……バンッ
来たのは、火球。
前進しながらも、鋤を角度を付けて振るい、これを弾く。
「突き突き突きぃっ!」
ドゴォッ……ドゴォッ……ドゴォッ
3発全部、重打を付加しての突きである。
1発目は、スモールレッドスライムの触手突きと交錯するような格好となり、身体をひねる等避けながらであったため、威力は若干低下したものの、
続く2発目、3発目で一気に押しきった。
「フシュー……。」
そして、スモールレッドスライム消えた後には、薄紅色の液体の入った小瓶が残る。
鑑定した結果は……
品名:体力回復薬
品質:低級
効果:体力を10回復
備考:連続使用可
今の俺が体力の1/3近くに当たる10ダメージ受けると、どの程度の怪我になるか、カルロス爺さんの話から予想した範疇でしかないが、
命に別状ない怪我だったら治るイメージ。
「なかなか良いもんが出たじゃん。
まずは、使う必要が生じないようにするのが第一だけどさ。」
アイテムドロップは毎回あるわけではないが、今までより明らかに良い物が出ているので、結構期待するようになった。
今回は、その期待に応えるアイテムだったわけだ。
大きな変化事項はなかったが、レベルアップも果たして、ハッピーうれぴー。
その後は、あまり長い時間、村を離れていられので、すぐに帰路に就く。
で、午後からは、南方探索だ。
今まで実地確認して作ったお手製地図の範囲は……
海海海海海海海海海
海海海浜浜浜海海海
海海浜林林林浜海海
浜浜牧畑□林森浜浜
森林牧畑丘池森森森
森森森丘山丘森森森
森森丘山山山丘森森
※1 □:カルベリオ村、牧:牧場、畑:田、浜:海岸、池:調整池、林:人の手が入ってる森
※2 1マス約1㎞四方
……こんな感じたが、今日は、南南西方向の丘沿いに足を伸ばす。
特に何かを発見したり、魔物と遭遇したりもなく、森を快調に走り抜ける事が出来た。
まあ、探索に1時間ちょっとしか使えないから、既知点から更に南西に1㎞程度進んだだけで終わったけどね。
ただ、春までまだ多少なりとも探索に費やせる期間がある。
塵も積もれば山となるという事で、既知の世界を拡げる野望に燃える俺であった。
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主人公のステータス
名前:アルベルト=ガルシア
種族:人
性別:オス
年齢:6歳
身長:120cm
体重:23kg
出身:カルベリオ村
所属:なし
業:-1
徳:-2
Lv:72
状態:正常
体力:36/36(➕1)
魔力:10/10
筋力:27
反応:17
耐久:18
持久:18
※( )内は、前話からの変化値
職業:戦士Ⅱ
能力:棒術経験値向上D、棒威力向上D、重打E、擦過耐性F
技能:棒術Ⅱ、投擲術Ⅱ、探索術Ⅱ
加護:なし
装備:×牛引き鋤、麻の服、木皮の靴、(戦闘時のみ木製短冊胸当て、同背甲、同肩当て、同籠手、同肘当て、同膝当て、同すね当て)




